表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

「アルト3」綺麗な身体

如月 直樹は、海音に憧れていた。

憧れの海音と、一緒に裸の付き合いに?

 




 ┈┈••✼••┈┈晴蘭自宅茶の間┈┈••✼••┈┈



「セーラ、諦めな!」


「ぶみゃあぁあぁあぁあぁ~~~たぁ~すぅ~けぇ~てぇ~~~」


「・・・・・・」

 放心状態の直樹。



 この後晴蘭は、みんなから失禁するほど「コチョコチョの刑」に処された。



 そして、少し落ち着いて。



「おの・・・なんで俺は、好湾さんの家に連れて来られたんですか?」



 場違いな感じがして、男1人で居るのが辛くなる直樹。



「ああ、うん そりゃあまあ、その・・・如月君を その姿のまんまやと帰せやんと言うか(汗)」


「帰せやん?」


「とにかく、その服を着替えた方がええかも? ほら、後ろ襟から肩から背中まで血だらけやから」

 海音が言う。


「うおおっ?! なにこれ? 血っ?」


「にゃははっ! ブラッディ直樹!」

 気を紛らわすつもりで、おどける晴蘭。


「セーラちゃあん?」

 ジト目で晴蘭を睨む千春。


「んきゃ?! ごみんちゃ(汗)」

 耳を倒し、しょんぼりする晴蘭。



 確かに、このまま帰る訳にはいかなさそうだ。

 上半身血だらけで街中を歩けば、そりゃあ通報されるだろ。



「えーと、ナオちゃんやっけ?」

 母親が、直樹用に着替えを持ってくる。


「あ、はい!」


「これ、アンタの着替えな! その前に、お風呂に入っちょいなーよ!」


「ええっ?! お風呂!・・・ですか?」


「ほな、俺が連れてっちゃるわ!」

 晴蘭が風呂場へ案内する。


「お! おお・・・・・・」




 ┈┈••✼••┈┈風呂場┈┈••✼••┈┈



「着替え、ここに置いとくからな~ 身体洗うスポンジ・タオルは新しいの使ったらええから! シャンプーとリンスとコンディショナーは好きに使って!」


「あ、う、うん! ありがとう」


 パタン!



 晴蘭が、直樹を風呂場へ案内し、茶の間に戻って来てから少し経った頃。



「うぎゃぁぁぁぁああああ━━━!!」


「おぅわっ?! なんなっ!!」


「「「「?!・・・」」」」


「晴蘭! ちょっと見て来て!」


「あ、う、うん!」


 パタパタパタパタッ!



 晴蘭は、風呂場へ急いだ!

 そして風呂場の扉を開いたら、直樹がパンイチになって、脱衣場の隅っこで体育座りをしていた。



「な、如月・・・く、君? どーしたん?」


「・・・・・・」


「ええ~~~と(汗)」



 なにしろ、なんで直樹がこんな事になっているのかなんて、嫌でも理解している晴蘭。

 自分のせいで、直樹は女の子に変身してしまったのだから。

 本当なら、今日1日だけだった。

 女装役剤を間違えなければ。。。

 明日の夕方には、元の身体にもどるはずだったのだが、晴蘭は「女装役剤」と、「女装役剤1year」とを取り違えて、直樹に飲ませてしまったのだ。

 つまり直樹は、今日から1年間、男に戻れないって事になる。

 それを、どう伝えれば良いのか・・・



「えっと~~~ご、ごめんねぇ?」

 おどおどしながら直樹に話す晴蘭。


「・・・・・・」


「お・・・私のミスで、今日から1年間女の子に変身したまんまになっちゃう・・・ってゆーか、なんちゅーか、ええ~と、で、でも! 来年の今日には、元の身体に戻れるはずやから!」


「・・・・・・」


「ど、どないしょ?」



 ダメだ!

 俺の言葉なんてまったく、何の慰めにもならないし届かない?!

 こういう時、どんな言葉をかけたらいいのか?

 もして俺だったら?

 いやいやいや! どんな言葉をかけられても、たぶん気持ちは晴れないだろう。

 ああ~~~もぉ~~~どないしたらええんよ?!


 晴蘭が、どうにも出来ずに頭を掻きむしっていたら、海音がやって来た。



「どうな?」


「あ、海音・・・」


「!!・・・・・・」


「・・・・・・あかんか そら、あかんわなあ? 許せやんわなあ? まあ、直樹? ホンマにすまん! 俺がお前に飲ませたのが、1年間女に変身する魔法薬やったのを確認もせんと飲ませてしもた! 俺の、俺のせいや! ホンマにすまん!!」


「ちがう! 海音さんのせいじゃない!」


「「?!・・・」」



 直樹は、顔を上げて海音に言う。

 涙をポロポロ流しながら。



「も、もしあの時、海音さんが俺に魔法薬を飲ませてくれんかったら、たぶん俺は死んでたと思う」


「そ、そうか・・・う、うんまあ、そうなんやけどな? でも、お前は・・・」


「・・・・・・」

 何も言えない晴蘭。


「せやけど、せやけど、ホンマにこんな事が起こるやなんて! こんな事がこの世にあるなんて!」


「う、うん」


「・・・・・・」


「でも、俺は・・・・・・」


「うん?」



 直樹は、頭の中がぐちゃぐちゃだった。

 また立ち上がって、洗面所の鏡に映る自分を見てみる。

 今、自分の身体は女の子に変身している。

 男の頃の面影は確かにあるが、誰が見ても女の子にしか見えない。

 少しつり上がり風な一重が奥二重になり、少しまつ毛が濃くなっているように見える。

 広い肩幅は変わらないが、筋肉質で骨ばっていたのが、女性らしく少し肉付きがよくなったように見える。

 骨格も明らかに女性のそれだ。

 胸は少し膨らみが確認できるが、確実に女性のそれだ。

 ウエストはキュ!と引き締まり、腰からヒップにかけては、日本人女性らしく小さめだが、女性らしいラインだ。

 まだパンツは脱いでなく確認していないが、そこには確実に「象さん」が居ないのは解る。

 足は木製バットのようなガチガチだったはずなのに、少し肉付きが良くなったように見える。

 ただ、それ以上を確認する事が出来ずにいた。

 自分の身体が女の子に完全に変わってしまっている事に、思わず絶叫していまったのだった。


 だが、今こうして海音に声を掛けてくれたのが、嬉しくて嬉しくて。

 こんな状況なのに、自分の気持ちが理解できなかった。

 ふと考える事は、海音に口移しで魔法薬を飲ませてもらった時の事を、何度も何度もビデオをリピート再生するかのように、思い出していた。

 そんな夢のような場面ばかり思い出して、余計に頭ん中が、ぐちゃぐちゃになる。

 全然、考えがまとまらない。


 どうしよう? どうしよう?

 このまま、こうして居ても仕方がないのは解ってる。

 でも、このまま時が過ぎて欲しいと考えてしまう。

 そしたら目が覚めて、全て夢だったら?と期待してしまう。


 このまま1年間も女で?

 そんなん無理やろ!考えられへん!

 解ってる! 解ってるけど、気持ちがまとまらないし、何も決められない。

 こんな凄たを、憧れの海音さんに見られたくない。

 でも早く、こんな状況から脱したい。

 ダメだ、まったく気持ちが動かない。

 どうしよう?どうしよう?どうしよう???


 すると、海音さんが俺の手を引いてくれた。



「ほら、直樹! とにかく風呂に入ろ!」


「え? あ・・・・・・」


「なんやったら、一緒に入るかえ?」


「へっ?・・・・・・えええっ?!」



 えええええ~~~?!

 海音さんが、俺と一緒にお風呂に入ってくれる?!

 そんな、そんなこと・・・・・・

 夢みたいなこと、有り得るんか?

 そんな、そんな事・・・・・・


 って、えええ?!

 俺の目の前で、海音さんが服を脱ぎ始めてる?!

 うそ?! マジこれ?! なになに?!


 思わず、見入ってしまった。



「ちょっ、そ、そんな凝視すんなよ 恥ずかしいやろ(恥)」


「いや、あ、ごっ、ごめん!!」


「まあ、ええけどね 今は女同士やし?」


「女同士・・・・って、ええ?!」



 海音さんは、あっという間に真っ裸になった。

 見ちゃいけない! 見ちゃいけないって思うのに、目が離せない!

 自分も見られるのが恥ずかしいのに、目が離せなくて、身体が火照ってくるのが解る。

 いやいやいや、何この状況?!

 マジ? 現実? 夢?

 ヤバい! マジヤバい!

 バクバクの心臓が、胸を突き破って出てきそうだ!


 気が付いたら、手を引かれて風呂場の中に居た。


 俺は、股間を隠して、ただただ立ちすくんでいた。

 身体を洗う海音さんを、ずっと見ていた。

 やべえ! なんて綺麗なんや。

 嫌らしい気持ちではなく、美しい美術品を見ているかのような感覚だった。


 海音さんは、あっという間に身体を洗い終えて、湯船に浸かってしまった。

 ああ・・・もっと見ていたかったのに。



「ほら、何してんの? 直樹も身体を洗えよ!」


「え? あ、えっと・・・・・・これ?」


「あ、それ俺のスポンジ・タオル・・・って、まあええわ! それ使ってくれてええよ」


「!?・・・・・・あ、あっ! そっか これ、海音さんの・・・・・・」


「はやく洗え! 他の人も風呂待ちやから」


「え? あ、ああ、うん」


「・・・綺麗やな?」


「えっ?!・・・そ、そうかな」


「うん 背ぇ高いし、羨ましいわ」


「そ、そ、そう・・・かな・・・・・・」



 やっば! マジやっばあ!!

 憧れの海音さんが使ったスポンジ・タオルで、身体を洗う?!

 うわっ! やば! 心臓が飛び出しそう!

 心臓が、首とコメカミにもあるようだ!

 やばい!やばい!やばい!

 海音さんに、見られまう!

 俺の・・・俺の・・・・・・って!

 男のシンボル(古風)、付いてないし!!


 その後は、ただがむしゃらに身体を洗った。

 どこから洗ったのかさえ覚えていない。

 気が付いたら、脱衣場で濡れた髪をタオルで拭きながら、後ろ姿の海音さんが服を着る様子を見ていた。


 なんて綺麗なんや・・・


 海音さんの、綺麗な身体が羨ましくさえ思った。

 こんなに小さいのに、ホンマに綺麗や。

 極端なくらい小柄な身体に、膨らみかけの、まるでお椀のような綺麗な形の胸。

 キュ!と引き締まったウエスト。

 日本人には無い、ツンと上がった丸く形の良いヒップ。

 少し太めのプリプリの太もも。

 限りなくコーラ瓶に近い体型の、ポン!キュ!ボン!

 もみじの葉みたいな小っちゃな手。

 金髪に青い瞳。

 まるで人形みたい。(直樹評価目線)

 海音さんは、スポーツブラを着けて、パンツを穿いたら、俺に海音さんが着けているのと同じようなスポーツブラと、女の子用のパンツを、俺に渡してくれた。


 ・・・・・・が、これを着るのか?


 少し躊躇った。

 パンツを持ちながら、洗面所の鏡に映る自分の姿にトランクスを穿いた姿を想像して思った。

 確かに今の自分の身体にトランクスは不似合いだとしみじみ思った。

 鏡に映る自分と、海音さんを見比べて、生まれて初めて、長身の自分が嫌になった。


 どうせ女の子に変身するのなら、もっと低身長の方が良かった・・・


 女の子の身体になっても、身長はほとんど変わらない。

 海音さんは、俺のこの身体を羨ましいと言ってくれたけど、俺の方こそ海音さんの身体の方が羨ましく思うのに。


 複雑だった。



「あ、ほらコレ着て!」


「え? スウェット?」


「うん 帰る前に楓さんに頼んでおいたんやけど、時間が無くてな? 今日のところは、これで我慢してくれな!」


「あ、うん 大丈夫・・・」



 俺は、海音さんから渡されたスウェットを着た。

 好湾さんのお母さんが買ってくれた?ものだと言う。

 俺の身長に合うレディースが無かったのだろう。

 渡されたのは、メンズだった。

 特に、嫌では無い。

 むしろ、有難い。



「さ、行くか!」


「あ、うん」




 俺達は、茶の間に戻った。




恵まれた身体なのに、人によっては、そうでもない。

なんでも、自分の持つものよりも、他人の持つものの方が良く見えるものである。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ