2.守る殴る治す、三拍子揃った蛮族
息抜きに書いていたものを投稿します
《では、ステータスの設定をしていきましょう。》
メッセージボードの表示が切り替わる。
ステータスについては、公式サイトやβテスト時の感想記事、攻略サイトでいくらか予習して来ていた。
体力や魔力は実数値で表記されず、視界に表示されたバーの増減で残量を確認するらしい。どの能力が影響するかも大まかに判明しているらしく、攻略サイトでは『最強ステ振り』が紹介されていた。……今日から本サービスが開始するのに言い切って大丈夫なのだろうか。
メッセージボードを操作してステータス変更画面を呼び出す。
未設定状態がこれだ。
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<名> ━━━━
<レベル> 1
<メイン職業> ━━━━
<ステータス>
⚫STR【10】
⚫INT【10】
⚫VIT【10】
⚫MND【10】
⚫RES【10】
⚫DEX【10】
⚫AGI【10】
⚫LUC【10】
⚫保有強化値【80】
<スキル>
⚫【】 ⚫【】
⚫【】 ⚫【】
⚫【】 ⚫【】
⚫【】 ⚫【】
⚫【】 ⚫【】
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攻略サイトでのオススメは、遠距離アタッカーだった。物理型でも魔法型でも扱い易いらしい。
まあ、分からなくはない。
それから『Ours Inner Garden』では矢が100単位から購入できるそうで、初期は出費が嵩んで避けられがちな弓を使うハードルが低いらしい。何よりエネミーに近付かないで済む点が人気であった。
次世代を謳うだけあり、『箱庭』は感覚の再現度が凄まじい。それはこの数分で私も体感していた。
それだけに戦うとなると迫力が馬鹿に出来ないそうだ。
現実の人間は、犬にも勝てないと聞く。
ここはゲームであって、能力が上がっていると言っても正面切って戦うのは中々に難しいのだ。それが犬のようには可愛らしくない化け物であれば尚更の話だろう。
当然オススメはその辺りも勘案されていて、近接戦闘は評価が低めになっていた。
後衛から順に並べられていると言っても良い。
さて私だが、その近接戦闘がやりたかった。
一般社会で武器を振り回して戦う機会などまずない。いや、あってたまるかと言う話でもあるが。ただ、折角だから普通は出来ないことをやってみようと決めたのだ。
なら魔法使いとかあるだろうと思われるだろうが、ゲームで魔法的なアレソレが使えないことの方が少ない。つまり、別のゲームで欲求は満たせる。現実に存在しないものの再現度など分かりはしないのだから。
対して、現実に近い感覚でしばき合えるのはこのゲームの他に無い。きっとその内発売されるだろうが、今はここでしか出来ないのだ。
そう言った訳で近接系に進めていく心積もりなのだが、ここで二択にぶち当たる。
走り回るか、足を止めるか。
プレイ中に多少ずれることはあるだろうが、ある程度成長の方向性は決めておきたい。
どちらにするか。
「……いや、考えるまでもなかったか」
呟きが漏れる。
他ゲーでのプレイを振り返って見れば、私は機動戦闘を苦手としていた。
走り回りながら戦うのは難しくないかい?
悲しいかな、少なくとも私には出来ない。
手も足も頭もフル稼働させて動線敷いて攻撃捌いてスキル使ってダメージ稼ぎながらタイミング見て仲間と連携して動きを予測して……。
無理だ。処理が追い付かない。
これがコマンド選択制のゲームであったり、ターン性のバトルであったりすれば話は変わるが、『OIG』はアクションゲームなため自分で動く必要がある。
ならばどうするか。
──選択肢を減らすのだ。相手のものも、自分のものも。
相手の攻撃はひたすら防御して、こちらが攻撃に出るのは崩しが効いた時だけ。
ポジショニングはともかく、基本的に移動はしない。
そうやって出来ることを削って、することだけを残せばコンセプトが完成する。ある意味極振りみたいなものだな。
方向性が決まったなら、後は簡単だ。
それに合わせてステータスを振る。
反射神経はある程度中身の人間に準ずるそうだから敏捷値は最低限で、クリティカルを狙わないから技量値も最低限で良し。
魔法は捨てるので知力値も最低限。
これで3つ分のポイントが浮く。
……幸運値も序盤は良いか。後で振る必要はあるだろうが。
4つ分のポイントを他に回せるとなれば、どうするか。
RPGで楽しいのはステ振りとチャート決めるのとラスボスの手前までだ。
つまり今、最高に楽しい。
調整を重ねること十数分、楽しい時間はあっという間だった。
火力は欲しいので筋力値に多く振り、抵抗値は少し抑えた。
耐久値と精神値ではMNDの方を優先する。正直な話、好みの問題だ。
神官戦士、好きなんだよなぁ。
ポチポチいじりながらネームも設定して、スキル選択へと移っていく。
ただ、ある程度方向性が定まっていることと初期選択スキルは限られていること、それから選べる数が5つまでとなっていることでステータス程悩まずに進められた。
なんなら鼻歌混じりである。──いや嘘だ。
悩まされた。
剣は格好いいが刃筋を立てねば切れないところが処理を増やしてくる。槍は片手で扱うにはいささか大きい。
防御のためには盾が外せない。となれば、片手で扱える鈍器、メイス辺りが無難だろうか。いや、斧も良いがここはやはりメイスにしよう。
神官ならば鈍器が鉄板だ。
そうして武器や戦闘スタイルに合わせて、ステータスの設定が完了した。
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<名> ゼンザイ
<レベル> 1
<メイン職業> ━━━━
<ステータス>
⚫STR【45】(+5)
⚫INT【10】
⚫VIT【25】
⚫MND【30】
⚫RES【20】
⚫DEX【10】
⚫AGI【10】
⚫LUC【10】
⚫保有強化値【0】
<スキル>
⚫【インパクト】 ⚫【】
⚫【シールドバッシュ】⚫【】
⚫【ヒール】 ⚫【】
⚫【筋力強化】 ⚫【】
⚫【祈り】 ⚫【】
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これは中々に良いのでは?
ステータスが表示されたメッセージボードを眺めながらうんうんと頷く。納得のいく出来栄えだ。
そもそも、神官戦士が低tierなのでそこはそれだ。
名前についてはいつも使っているものだ。大した由来があるわけではないが気に入っているので使い回している。
さてさて、実際に運用してみないと分からないところもあるだろうし、これをベースに育成していこう。
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・スキルについて
【剣術】や【○○魔術】のようなスキルも存在しますが、上位の物でありメイキング時に選べる対象ではありません。