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お題シリーズ6

激突の瞬間

作者: 仲仁へび



 うちのパーティーには、何の因果か勇者と魔王がいっしょくたになっている。


 ごく普通の冒険者パーティーとしてやっていくつもりだったのに、道端に身ぐるみはがされた勇者が倒れているわ、川岸にどんぶらこされた魔王が倒れているわで、つい親切を働いてしまったのだ。


 そしたらなつかれた。


 おたがいにおたがいの正体は知らないようだが、いつばれるかと思うと、ひやひやしてしまう。


 俺、普通の冒険者なのに、なんでこんな事に気を使わなくちゃいけないんだろう。


 勇者は支援組織のある王都につくまで辛抱だし、魔王は隠し拠点のある廃村へ向かうまでだ。


 けど、こいつら短気だからしょっちゅう互いのことがばれそうになるんだよな。


くちの悪い勇者「なんだとてめぇ、もっぺん言ってみろや!」

無駄にあおる魔王「何度でも言ってやるさ、脳筋野郎! お前が考えなしにモンスターに突っ込んでくからフォローが大変なんだよ!」

脳筋な勇者「んなのこっちの勝手だろうが、頭でっかち。作戦なんぞ考える前に一発殴ったほうが早ぇっつーーの」

頭でっかちな魔王「考えなしに街道に寝転んで身ぐるみはがされたお前に説教されたくない!」


 ああ、またやってる。


 もうとっくみあい始めてるよ。


 たがいに魔力のオーラを出してぶつけ合ってるし。


 見ているとそのうち、拳を交えてけんかをし始める。


 ボコすか、バカすか、相手をなぐるけど。


 一応手加減はしてるんだよな。


 でも、今日はどうやらやりすぎてるようだ。


のんだくれ勇者「今日ろいう今日ふぁ、許さふぁねえ!」

のんだくれ魔王「貴様を木っ端みじんにしてやるべ!」


 オーラが出すぎて周辺から慌てて動物たちが逃げていった。


 嵐みたいな風になって、俺の体は吹き飛ばされそうだ。


やばい勇者「覚悟するふぉおおおおお!」

やばい魔王「やるべええええ!」


 勇者ろれつがまわってねぇ!

 魔王普段は隠してる方言が出ちゃってる!


 あいつら俺が隠してた酒、隠れて飲んだな!


全力出し気味な勇者「うおおおおおおお!」

全力出し気味な魔王「ふおおおおおおお!」


 理性というリミッターがなくなった馬鹿野郎共は、全力気味でオーラを出して、戦いをおっぱじめ始めた。


俺「うわああああああ! やめろ馬鹿ども、目立つ、被害が出る、地形が変わる!」






 数時間後、俺たちはたどりついた町で冒険者ギルドのお姉さんに叱られてしまった。


 次やったら、冒険者登録削除されちまうような怒り方だったな。


俺の背中をバシバシする勇者「落ち込むんじゃねぇ、行くあてがなくなったら俺んとこで面倒見てやろよ」

俺の肩を慰めるように叩く魔王「お前のようなただの酔いどれ冒険者に、人間の世話などできるか! 来るならこちらだ」


 それはありがたいけど、元はといえばお前らのせいだからな。


 行く先々であんなケンカしてたら、どんな温厚な人だってキレたくなるわ。


 ちょっとは反省してくれよなぁ。



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