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5話 少女の正体



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


「魔法少女と言うのはご存知ありますか?」


その言葉に、何となく言い様のない直感が働く、それにニュースで見た、あの言葉が脳裏に焼き付く。


「あぁ。良く世間一般の人がそう言っているな。」


もしかして·····この少女は·····


「私····魔法少女なんです。」


「·····なるほど。」


直感は的中。それなら色々と納得出来る。壊れかけている建物にいた事も。熱を出して横たわっていた事も。そんなにビクビクと震えていることも。


「だからもう。私はここには·····」


「じゃあ、どうするか?」


「え?」


「和泉さんは政府から逃げているんだろう?だったらここに隠れるのは良いが、行かせん何も無い。暮らすには少々不都合が多いがどうする?」


「え?わ····私は魔法少女で···迷惑は掛けられません。」


「和泉さん。」


「は···はい。」


私は体制を立て直しつつ前屈みになって話すと、言葉に真剣に聞こえたからか、背筋をを伸ばして聞いてくれる。


「和泉さん。今、心に思っていることを言ってごらん?そしてそのまま言うんだ。」


「で···でも。」


「なら、言い方を変えようか。もし本心を言ってくれなければ君にいっぱいプレゼントとしてしまうよ?」


私の冗談とも本気とも取れる言葉を言うと和泉さんは目が見開いて驚いた後目線をそらし、こちらをチラッ目線を向けて優しく笑う。


「·····ふふ。分かりました。ここに居させてください。その代わり私に出来ることが合ったら教えてください。」


「何でもとは···なら、あれをしてもらうかな。」


「えっ?あ····あれ?」


「あぁ。」


私は一つ思い出して少女に部屋に来てもらう。これを見せるのは少々恥ずかしい事ではあるんだが。


「さっきも見ましたけど、凄い書類の数ですね。」


少女·····和泉さんは驚きながら感心するような声で話す。

ゲーム関係とは何千万人もの人がやっていると色々な疑問が出てくるものだからな。


「それなんだが。この書類。一緒に手伝えるか?」


「え?」


「分けるだけでいい。解決済みと保留と早急の3つに分けて欲しい。」


「で·····でも。私、分かりません。」


「大丈夫だ。それを今から言うから。」


私は少女に向かって安心するように心配事を一つづつ無くす。


「わ···分かりました。頑張ります。」


ムンすっと気合いを入れてくれて居て、どことなく子犬に見えるのは錯覚だろうか?


とにかく、手伝ってくれるのはありがたい。ゲームの色んなことで手を付けられずに居たのだ。

私は一つ一つ出来るだけ分かるように話しつつ、分からない所はもう一度話す。


それを繰り返していくと、段々両量が分かってきたのか少しづつだが早くなっていき、質問の内容も具体性なことに変わっていく。


ただ、書類仕事も意外と時間はかかる。気づけば夜の11時。そろそろ精神的にキツイだろう。


「よし。今日はこの位にしよう。」


私の言葉に「ふぅーー」という力が抜けたような声が横から聞こえる。


「新崎さん。凄いです。」


「私に取っては和泉さんの方が凄い。私が少し教えただけで吸収し自分なりに考え、ここまで進歩するのは教える側としてはやりがいがあって嬉しいよ。」


「そんな。私なんかまだまだです。新崎さんはテキパキと物事を進めていて、分からない所はスっと教えてくれてやりやすかったです!」


「そう言って貰えると嬉しいよ。でも。そろそろ就寝時間だ。」


「そうですね。では私はゆか·····」


「待て。」


「はい?」


「君はこっちだ。」


私が指を刺したのは私のベット。


「えっ…いえいえ!!私は床で寝ますよ。元々ここは新崎さんのお宅ですし!!」


「いや。待て。ここは女の子を優先に·····」


「いえいえ!!新崎さんが寝てもらて·····」


「いやいや。それこそ·····」


······························。


「ハーハーハー」


「フーフーフー」


約一時間ぐらい言い争いをしてしまった。これは困った。まさかこんな所に落とし穴があるとは思わなかった。


「な···なら。」


和泉さんはそう言って急に顔を赤くする。


「ん?」


「なら·····一緒に寝ませんか?」


そんな急な言葉に初めはフリーズしてしまったが意味が分かり始めるとこちらも赤くなる。


「だが·····君はいいのか?こんなどことも知らない男なんかと。」


「良いんです。··········貴方が良いんです。」


「ん?すまん。最後の方が聞こえなかった。」


「な·····何でもありません!!」


顔を赤くしながら顔を隠している姿は何かやましい事をしているかのような錯覚がして来る。


「そ·····そうか。」


私がそういうと、少女·····和泉さんはゆっくりとベットの中に沈んでいく。それに続き私も入る。


背中合わせで左右に分かれる。どうも気分がおかしい。深夜ハイテンションになって居るのかもしれない。


「新崎さん。今日はありがとうございました。」


「なんの事だ?」


「私。本当は、あのまま死のうと思ったんです。上を見て冷たい所で消えようと思いました。」


「··········。」


「でも。新崎さんと出会って新崎さんを見てみて、もう少し生きてみようかなと思っていました。」


「そうか。」


俺は一言だけ喋る。


少し沈黙が続き何か喋ろうと思った瞬間。後ろから寝る時特有の呼吸音が聞こえる。


私は身体の向きを変えてそちらへ覗き込むとどうやら、疲れて寝てしまったらしい。


「おやすみ。和泉さん。」


私はそう言って向きを変え眠りについた。


人を助ける時ってどんな言葉を言えば良いんだろうな。

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