29話 ある部屋の研究資料
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「どうで·····その子はまさか。」
「あぁ。多分精霊が言っていた魔王だろう。」
「まだ幼い·····ですね。」
「何か…合ったんだろうな。」
ヒスイと合流し、魔王を見せる。ヒスイも過去にあるので幼い子供を見るのは辛いのだろう。
「これからどうしますか?この子も居ますし。」
「まずはここから出て森に行こう。森の方がコチラより安全かも知れない。」
「そうなんですか?」
「さっきこの子がいたところに紫色の霧が合ったんだが直感が物凄く警告していてな。」
「分かりました。行きましょう。」
二人は少し小走り気味に洞窟から出て、少し広い場所で休憩を入れる。
「ルース?どうしたのですか?」
少しソワソワしていたのが気になったらしくヒスイが疑問を掛けてくる。
「さっき小さな部屋が合ってそこで色んなものを回収したんだ。」
「色んなものですか?」
「あぁ。例えば本とかな。」
「その本はどちらに?」
「今は私のストレージの中だ。」
「見ないのですか?何かこの子のことが書いてるかもしれませんよ?」
そう。本当はイコール何かしらの研究をしていたに違いが無いわけで見れる物なら見たいのだが。
「それが見えないんだ。魔法でガッチリ固められてる。解除方法が分かれば開くとは思うが。」
「その本。見せてくれませんか?」
「いいぞ。これだ·····」
そう言って渡したのは少し風化している皮の本。しかし、ボタンを取ったり入れたりするタイプだがそのボタンが、魔法か何かでロックされている·····それが5冊ある。
「これは·····確かに、難しそうですね。」
「これ以外はある程度軽く調べたが普通にどこでも売っている道具や素材ばかりだな。」
「やはり·····これが。」
「あぁ。」
何かしらの情報が見える。アタリかハズレかは見ないと分からないが。
「どうしますか?見れなそうですし、この子も寝ていますし。精霊さんも居ませんし。」
「精霊も居ないのか?」
「はい。いつの間にかどこかに行っていました。」
「そうか。」
新種の魔物が見つかる事は無かったが、それ以上の厄介事が出来てしまった·····流石にこれを突き出す訳にも行かない。
「ヒスイはどうしたい?」
「この子のこと·····ですよね?」
「あぁ。ストレージにも入らない。もしかしたら私達が消えた後も居続ける可能性がある。しかも·····」
「しかも?」
「魔王だからな。人類の敵みたいなもんだ。孤児院に出してもいいがバレたら処刑案件だな。このゲームに処刑があるかどうかは分からないが。」
「それは嫌です。」
「言うと思った。」
ヒスイが他人を蔑ろにする事は無い。ヒスイは何があっても助けるだろう。そのサポートをしてもいいが·····まず関門はラルフルムに入ること。
しかしそれは不可能。なぜなら衛兵一人一人が嘘発見器見たいな物を持っているので確実にバレる。
なら·····答えは一つ。
「旅に出るか。皆が安全に暮らせる所まで。」
「旅ですか?」
「魔王がどのくらい強いのかは分からないが、ラルフルムは安全な場所では無くなった。なら別に安全な場所を見つけないといけない。」
「確かにそうですけど·····」
「もしゲームに居続けるなら助ける方法はある。」
「本当ですか!?」
「あぁ。··········ヒスイ。いや。すいかの能力を使えばいい。」
「私の能力·····」
「すいかの能力は絵やゲームの世界、はたまた、小説の世界にも入れるのなら当然引っ張り出すことも出来る。」
「そうですね。」
「ただ、ここで心配事があるんだがな。」
「心配事ですか?」
心配事·····と言うよりは不安の方が言葉としては合っているとは思うが。
「その子。一様データとしてここに居る。もし現実世界に送って消えてしまう可能性もゼロじゃない。」
何かの容器があればきっと確実に成功はするだろう。ただ、魔王にとってはどっちにしろ不自由をする事になるし、元気に大見得を切って遊ぶことは出来ない。
「なら。違うので試させてください!」
「そんなにバンバン能力は使えないだろう?」
「それは·····そうですけど·····でも。可哀想です。無理やり鉄格子の中に入れるのと変わらないと思います。」
「··········二回だけだぞ。不具合が起きたらこちらに戻ること、約束出来るか?」
「はい!!」
あとは魔王の許可も貰いたいところだが、ゲーム時間がそろそろヤバい。最大で十二時間それ以降は一回ゲームを辞めて一時間休まなければ途中で始めても強制的に辞めされられるように出来ている。
二人は同じ時間で、やり始めたため現実ではあと30分も無いだろう。急ぐ必要がある。
「ヒスイ。一回やめて現実世界で干渉してくれ。魔物は私が倒す。」
「はい!!」
そう言ってすぐにヒスイのキャラクターが透明に消える。きっと今頃向こうで起きている頃だろう。水だけは飲んで欲しいが、焦ってるので飲まなそうだな。
·····待つこと三十秒。目の前が光り出す。
「ルース!!」
「おっと。」
急に目の前にヒスイ改めてすいかが現れ私に抱き着く。無事に成功してきたらしい。
「まずはこれを。」
「これは?」
「十字の剣だ。小さいので向こうにやってもアクセサリーとして平気だろう。もう切れないと思うしな。」
「ほんと?」
「あぁ。·····時間が無いぞ。すいか。」
「あ。うん。」
そう言って目をつぶって集中する。辺りが光初めて目の前から姿が消える·····
三分後、また光だし·····
「ルース!!出来ました!!」
「本当か!!それは向こうに?」
「はい。記念にしようと思いまして·····」
「それで良い。·····行くか。すいか」
「はい。少し緊張しますね。」
「大丈夫だ。落ち着け。すいかならできる。」
私はそう言って優しく頭を撫でる。
「あ。·····ありがとうございます。元気が出て来ました·····もう少しお願いできますか?」
自分で言っていて恥ずかしいのか、耳まで真っ赤にしながら目線を右に寄せて合わせないようにしている所が可愛い。
「こんなので良いなら喜んで。」
「ありがとうございます。」
もう少しこうしていたいが、もう時間は無い。しかし失敗しては行けない。もし失敗すれば魔王だけでは無く、すいか自身にも危害が及ぶ。私に出来ること無いので歯痒いが·····せめて応援だけでもしたい。
「頑張れ。すいか。私もすいかが行き次第後に追って行く。」
「はい。待っていてください!!」
「絶対に戻ってこい。」
「はい!!」
無事を祈る。上手く行ってくれ。
「ありがとうございます。ルース、いえ。まこと、行ってきます。」
「行ってらっしゃい。待ってるぞ。」
「はい!!」
そう言って草の地面に寝ている魔王の手をすいかが握り目を瞑る。辺りがだんだん光が強くなり行こうとした瞬間·····
「グァァァァァ!!!」
「チィ!!」
私は急に現れた三体の狼に予備として買っていた短剣を投げ注意を引く。
「まこと!?」
「大丈夫だ!!それよりも集中をしろ!!失敗するな!!」
私は狼達に視線を向けなければならないため、すいかの表情は見えないが何となくだが大丈夫な気がする。
「ヒスイ。頼むぞ。」
私はそう言って狼に向かって剣を振る。幸い三体とも私の方に視線を向けているため平気だ。
「お前らの相手は私だ。無視すると痛い目にあうぞ?」
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