22話 休憩の一時。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ハーフーハーフーハーフー」
「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。」
現在居場所は城門前。そう。狼から全力で逃げてきた所。途中川や崖や岩などを使って撒いてきたがそれでも中々しつこく、そして最悪な事に運動神経が良いので逃げるのに精一杯だった。
「大丈夫か?」
城門前に2人が汗をかいてへばっているのを見て衛兵が心配そうにこちらに話しかける。
「あぁ。大丈夫だ·····」
·····あれ?なんで衛兵が話しかけて来るんだ?そんな仕様は聞いたことがない。それか会社の方で作った遊び心か?
「どうかしたのか?」
「いや。何でもない。少し強い魔物に襲われて命からがら逃げてきたところだ。」
逃げてきた影響かフラフラして完全では無いが喋れないことでも無いので軽く話す。
「そうなのか。気おつけてくれ。ここの所魔物の出現率が高くなって来ている。君達も死なないようにな。」
「はい。ご忠告痛み入ります。」
そう言って城門に戻って行く。私達は城門へは入っているのでこれ以上話しかけられる事は無いとは思うが面倒事にならない内に移動するか。
「ヒスイ。移動出来そうか?」
「は···はい。中々アグレッシブでしたね。」
「あぁ。そうだな·····ヒスイ。その言葉どこで覚えたんだ?」
次から次へと知らないよく分からないことが出てくる。頭が痛くなりそうだよ。
そしてヒスイも頭が回っていなかったのか少しの間は分からなかったが10秒ぐらい経つと理解し始め自分の失言に気づき慌て始める。
「え?あ。そ···その〜。ルースのパソコンを見てしまいました。」
「え?」
「··········」
でも。ちゃんと正直に言う。うん。可愛い。
しかしヒスイはそうじゃないらしく、怒られる前の子犬のような表情で私の言葉を待っている。そして私は何を答えれば良いのか分からずこんがらがっている。どうしろと?
「えーー、まずどうやってパソコンのパスワードを解いたんだ?」
「勘·····です。」
「··········」
···············うん。え?
「ほ···ホントなんです!少し見てみたいな〜と思って開けたら開けれただけなんですよ!!信じて下さい!怒りますか?」
「····いや。···怒りはしないが···なんと言うか持ってる奴は持ってるんだな。と改めて思うよな。」
「え?怒って無いんですか?」
「まぁ。見られたものをどやかく言っても仕方ないしな。ヒスイどこまで見たんだ?」
「全部です。」
「は?」
「全···部です·····。」
「··········」
ここに来て新たな新事実。どうやら彼女──ヒスイは学習能力が物凄く高いらしい。それも超が着くほどの。はは。もう少し早く知りたかったよ。そうすればもっと難しいパスワードにしたのに·····ははは。
とはいえ、引きずって居てても仕方が無い。切り替えないと行けないわけで·····。
「怒ってないから行くぞ。まずは食事をしよう。」
「ほ···本当に怒ってませんか?」
「怒ってない。怒ってない。少し私のやりたい事に強制的に手伝って貰おうとは思ってないから。」
「それを怒ってるんですよ!!」
街中でヒスイの声が響いたが無視して先に進む。本当に怒っては無いぞ?ただ、秘密を知られてしまったので恥ずかしい事を少しやってもらおうとは頭に掠っただけだからな?
その後は2人で雑談という名の私が攻めて頂けの話になったが──食堂に付き近くに空いている椅子に座った。
私達が座ったのを確認したからか近くにいた可愛らしい女性が近くに来て水差しを渡してくれる。
「はい!どうぞ!決まりましたか?」
「ありがとう。オススメで頼む。ヒスイはどうする?」
「同じのでお願いします。」
「わかりました。お父さん!!注文入ったよー!!」
元気な声が辺りに響く。元々ここは元気な野郎が多いので元気な声を出さないと聞こえなくなるという事も有るだろうがそれでも雰囲気は良くて居心地はいいと思う。昼間っから酒を飲んでいる奴は居るが。ゲームの世界なのに……。
少し反省会をしつつ待つこと数分。さっきの女性が手にお盆を持って運んで来た。
「はいよー。シシルの肉とスープそしてポールだよ。」
「おーーい!!酒を頼む。」
「はーーい!!もう。大丈夫。大丈夫。ゆっくり食べてねー!」
そう言って厨房へ戻って行く。それを見送って手を合わせて·····
「「いただきます。」」
2人で食べ始める。まずはシシルという鹿の肉を燻製にして柔くしたお肉を一つ。
「美味しいな。」
「はい。柔らかくて中から肉汁が出てきます。」
ここは当たりだな。次からもここに行くとしよう。
そして次はスープ。中にはじゃがいもみたいな物やブルーベリーみたいな物が入っていたが食べてみるとこれまた美味しい。
そして最後にポールという食べ物。それはポテトサラダに似ていると思う。こちらの世界ではこれが主食になっているがこれもこれで美味しいので普通にいいとは思うが毎日これだと流石にお米が食いたくなるな。
ゆっくり食事を満喫し食べ終わる。
「「ご馳走様でした。」」
二人とも息を吐いて二人でクスッと笑う。そんなやり取りが嬉しくなっていると·····
「おい。そこの嬢ちゃん。」
さっきからチラチラ見ていた男が遂にヒスイに声を掛けてきた。そう。嫌なことにそこら中の野郎がヒスイの事をチラチラ見ているのが先に越されたことに喧騒が大きくなる。
はぁ。これ。面倒になる奴だよね。と思いつつもヒスイの表情を見て対応するのだった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━




