【Chapter/27 それでも君は】その2
「クラウド艦長! アスナは?」
「今は睡眠薬で眠らせて倉庫のほうに閉じ込めてある。牢獄だと彼女のメンタルに影響しかねないからな。普通の部屋と変わらないところのほうが落ち着くからだ」
現在、アスナは倉庫の中に監禁されている。また、騒動を起こされてしまっては困るからだ。ソウスケは長い取調べを受けた後、クラウドの元に向かった。先の脱走騒動の後処理で忙しい中、彼はソウスケに現状を丁寧に話してくれる。
「アスナ自身は殺されないだろう。ただ……君が」
「僕はどうなっても良いです。アスナが生きていれば。でも……」
「彼女に助かる見込みは無い。このままイフリートに乗って死ぬだけだ。辛いことを言うようだが君には現実を知る義務があるからな」
「アスナに会えないでしょうか?」
「罪人と直接面会させるのは軍規に違反するが……いいだろう。私がなんとかしてやる。彼女を少しでも幸せにしてあげろ。三十分だ。鍵は渡しておく」
「ありがとうございます!」
ソウスケは早足でアスナのいる倉庫まで向かった。鍵はクラウドが開けてくれる。そして、ソウスケはアスナと会った。アスナの瞳は虚ろだったが、入ってきたのがソウスケだということぐらいは判断できた。
「ソウスケ……ソウスケ!」
アスナは両手に手錠をかけられているため満足に動くことはできないが、ソウスケが近くにやってきた時には顔を近づけてソウスケとキスしようと顔を寄せた。ソウスケはその姿を見て無言でキスをした。
「ごめんね……私、あんなことしてしまって」
「…………」
ソウスケにとってスガモは良き戦友だった。この艦の艦長になったときもスガモは相談に応じてくれた。そして、あの時も……。フクザツな気持ちではあったものの悪いのはアスナではないと悟り、ソウスケはもう一度アスナと口付けを交わす。
「自分でもこの体が壊れてきているのは知っている。体中が痛くなることもあるし、食べたものの半分は吐いてしまうし……。最近はおしっこも出なくなってきてるの。一日に一回しか出ないの。おかしいでしょ?」
「大丈夫だ。だから泣かないで……」
ソウスケがアスナを抱きしめるとアスナの表情は少し和らいだ。
「いいよ……好きにして」
「いいのか?」
「もうこんなこと無いと思うから。好きな人と繋がりたい」
「僕のこと……好きなの?」
「あ、ああ! 好きってわけじゃないわよ! でも、ソウスケが欲求不満そうにしているから! バカ……。私、初めてなんだから!」
「ありがとうな。僕なんかを好きになってくれて」
「好きじゃないわよ! サービスよ、サービス!」
「でも、嬉しいよ」
そう言うとソウスケの手はどんどん下がっていく。アスナはソウスケの耳元で囁いた。
「電気……消してね」
「分かった」
そう言うとソウスケは倉庫の電気を消した。
「司令部からは「作戦は続行、引き続きオリンストの撃墜のため尽力せよ」とのことだ。司令部は現状を分かっていないようだな」
ソウスケは徹夜で資料を読んでいる。資料にはオリンスト戦闘記録や有効兵器の事がびっしりと書き込まれていた。
「「オリンストの装甲は粒子砲で溶かせる」か……。正直、こんなのだけじゃ分からないなぁ。問題はイフリート抜きでどうオリンストを落とすかだ。この艦隊はターミナス級一隻とグリムゾン級七隻、それにサヴァイヴ級二隻。どう戦ったとしても勝てるかどうか……いや、ネガティブに考えるな!」
しかし、敵はオリンストの他に変形するアテナもいる。問題は山積みだ。しかし、ソウスケはどこかに穴があると確信していた。
「もしかして……そうだ! オリンストは有能なレーダーを持っていない。ある程度の敵の位置は分かったとしても正確には分からないんだよ。それにこの地形……。吹雪を利用すれば敵の視界はグッと狭くなる!」
ソウスケはすぐに机に向かいパソコンの電源をつけて作戦を立てた。この作戦はアスナが生き残るための大事な作戦だ。これが成功すればアスナは助かるかもしれない。
「オリンスト……ああ、落としてやるさ! 絶対に!」
【次回予告】
遂に交わった二つの艦
吹雪の吹き荒れる中、遂に作戦が決行される。
その中で少年は何を見るのだろうか?
それは誰にも分からない。
次回【Chapter/28 血戦】