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【Chapter/17 生きるもの←→眠るもの】その1

 ショウは一人、展望デッキで宇宙そらを眺めていた。


 あの時、俺が感じた違和感。あのアテナのコアの声。狂気的で執拗なまでの攻撃。バラバラなチームワーク。あれは一体なんなのだろうか? 分からない。だけど、やつらはまた来る。俺が答えに気づいた時点で何も変わらない。今はダブリス級にいるみんなを守ることが第一優先だ。


「ショウ! なぁなぁ」

「なんだよシュウスケ」


 そんな小難しいことを考えているショウの背中をシュウスケはドンッと押した。少し、ショウはうなだれる。


「すんげーもん見つけたぞ!」

「なんだよ、一体。有名女優の裸か? やめとけ、あれはアイコラってやつだよ」

「なんで決めつけるかなぁ……」


 高校にいた頃はそればっかじゃねーか。


「いやぁ、これだよ、これ」

「わっ! 流石、シュウスケ。犯罪にまで手を染めるとは……」


 シュウスケがポケットから取り出したのは女性の下着(下だけ)だった。ショウは呆れる。しかし、シュウスケは続けた。


「落ちてたんだよ! 俺はこれを届けようとしている紳士様なんだよ!」

「じゃあ、何で見せびらかす?」

「いい《にほひ》がしたからだ!」


 お前はいつ変態になった? もとからか……。


「嗅いだのか?」

「ちょーーーーーーーーーーーーーーーーっとだけな」


 シュウスケは目を細くしてショウを見つめる。



「それを俺にどうしろと? 紳士様」

「届けろ!」

「なんでだよ!」

「恥ずかしいからだ!」


 匂いを嗅ぐ勇気はあるのに……。


「ほら。お駄賃は高いから……」

「おい! 俺に渡すな!」


 その時、ナギサがその場を通りかかる。そして、ショウの目の前で止まる。ショウの手には例の下着が。


「先輩、これ……私のですけど。てっきりどこかで落としたと……」

「違うんだ! 誤解いだ、誤解! シュウスケが拾ったんだ!」

「責任転嫁か、ショウ! 見苦しいぞ!」

「この、裏切り者!」

「……シュウスケ先輩はそんなことしません」

「そうだ! ショウ、素直に謝れ! そうすればホーリエンジェル・ナギサ様はきっとお前を許してくれるだろう」

「綺麗なように言うな! 殺す! 後で絶対殺す!」

「…………」


 ナギサから出る漆黒のオーラがショウを襲う。無言がショウの脳内神経を圧迫。目の前が歪んで見える。


「…………ショウ変態」

「違うってば! これはシュウスケがッ!」

「諦めろ……君の負けだ。速やかにその《武器》を縮めろ。どうせ一生使わずに終わる逸物だ」


 シュウスケはショウの下半身を見てそう言う。


「伸びてなんかねーよ!」

「…………変態な上に最低人間ですか…………キモいですね…………」

「終わった……」

「人生、終わった時が新たなる人生の始まりなんだ」


 シュウスケはわけの分からない哲学もどきを語っている。


「ショウ先輩…………最低!」


 ナギサからキツいビンタがショウに向けて放たれた。そして、クリーンヒット……。


「明日があるさ。いつか君が卒業できることを切に願う」


 腰が抜け呆然としているショウにシュウスケは耳元で呟く。


「お前はどうなんだよ?」

「俺はすでに中学生の頃に卒業した」

「うぜぇ……」

「……え? 私のことがウザいって?」


 ナギサは虚ろ、かつ狂気的な目で振り向く。しかし、顔は笑顔だ。


「違うって!」

「いいですよ。私もあなたのことが……ウザいですし」


 ウザいですし。

 ウザいですしウザいですし。

 ウザいですしウザいでずしウザいですし。


 その言葉がショウの頭の中で繰り返し再生される。何度も、何度もリーピートされ……。


「誤解だって……」

「しつこいですね」


 その時、警報音が鳴り響いた。敵が来たようだ。


「くそっ! 早いな」


 ショウは舌を打ちをした。


「ナギサ、手を!」

「……もっと別の言い方があるんじゃありませんか?」

「ぐぅ……手を重ねてください!」

「仕方ないですね」


 はぁ……モチベーション下がるなぁ。


「こい! 白銀のオリンスト!」




 敵は前回戦った、ガレスとアグラヴァイだ。ガヘリスはダブリス級とヴァルキリー級が引きつけてくれているらしい。敵の二機のアテナとの接触まで五分をきった。まだ、ナギサは不機嫌(?)だ。


「なぁ、あのことは今は忘れろよ。後で説明するから」

「いりませんよ」


 ナギサは笑顔でそう返した。裏に殺意を込めて。


「きますよ!」

「へ?」


 オリンストの目の前に先に現れたのはガレスの方だった。その大きな翼を広げ突貫してくる。それをオリンストは軽々と返す。動きが見えすぎだ。しかし、そのガレスの大きな翼の裏にはアグラヴァイが隠れていた。そして、アグラヴァイはその鉄の大剣をオリンストに振りかざす。


「ぐっ、ラグナ・ブレード!」


 オリンストはラグナブレードで応戦する。しかし、もう一方から再びガレスが突貫してきた。しかし、それはオリンストにとっては好機だ。オリンストはアグラヴァイの大剣をラグナブレードで弾き、ガレスが突貫してくる場所から遠のいた。ガレスが突貫してくる場所にはアグラヴァイしかいない。このまま行けば敵同士の相打ちも狙える。はずだった。

 しかし、アグラヴァイはガレスを全身で受け止める。次に、アグラヴァイはガレスの口部にある発射口をオリンストの砲に向ける。そして、放たれる粒子砲。それはオリンストの肩に直撃。堅牢な装甲は溶ける。


「こいつら……前回と全然違う!」


 ショウは操縦桿を握っている両手に力を込めた。

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