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【Chapter/13 ソラを翔ける少年と少女】その1

「Aフィールド、限界時間です!」


 サユリは恐怖に満ちた声でヘーデに言った。そしてダブリス級を覆っていた緑色の半透明の球体は消える。


「六時の方向に急速に接近してくる物体があります……これは!」

「なんだリョウ!」


 ヘーデがそういい終わる前に敵は艦橋の目の前に現れた。クシャトリアの眼光がヘーデを睨みつける。しかし次の瞬間、クシャトリアは何者かに蹴飛ばされた。そこにはオリンストの姿がある。


「ショウ!」

「帰ってきたか……」



 ショウは操縦桿を握り締め、ナギサに呟いた。


「いくよ……」

「はい」


 ナギサはそれを返す。

 オリンストの目の前にはクシャトリアがオリンストを見つめていた。そして、オリンストにフルスロットルで向かう。オリンストはそれを右手だけで受ける。


「九時の方向に赤いヤツです!」

「くっ!」


 オリンストはもう一方から来るイフリートを左手で受ける。しかし、イフリートの刀はオリンストの左手に食い込んでいく。


「この左手にグラディウスアローを! この右手にラグナブレードを!」


 その時、オリンストの両手が光を放つ。そして、現れたラグナブレードでクシャトリアを吹き飛ばす。クシャトリアは間一髪、それを避けるがオリンストと距離を取ることを余儀なくされた。

 オリンストは左手に現れたグラディウスアローでイフリートを撃ち、貫く。そして、イフリートの右手は宙を舞う。しかし、再度イフリートはオリンストに向かい刀を振りかざす。左手のグラディウスアローはそれを逃さず、イフリートの左手を切り裂く。

 両手を失ったイフリートだが隠し腕を使い、オリンストの両足を掴もうとするがそれもラグナブレードで両手とも切断される。四肢を失ったイフリートは文字通り、手も足も出せずオリンストに蹴られ海に落ちた。


「後方より……例の消えるヤツです!」

「ナギサ! 位置は分からないか?」

「分かりません……けれどどこの方向にいるかは分かると思います!」

「それでジョートーだ!」


 刹那、オリンストの真後ろにクシャトリアの機影が映る。


「見えたッ!」


 オリンストは下半身を一八〇度に回しクシャトリアの本体に蹴りを入れた。体勢を崩したクシャトリアはそのまま海中に沈む。しかし、それは不可抗力ではなくわざとだった。

海中に隠れたクシャトリアの姿は完全に見えなくなるがショウはいたって冷静だ。そこにはナギサがいる。それだけで安心できる。


「位置は?」

「敵が高速で動いているため分かりませんが……一定の法則はあります! おそらく敵はオリンストの周りをぐるぐると回っているようです」

「それじゃあ……」

「ミサイルきます!」


 その時、オリンストの真下から多数のミサイルが飛ばされてくる。そのミサイルはそのまま行けばオリンストの直撃コースだ。


「見えます! ミサイルの弾道が!」


 ナギサはそう言うとショウの体に右手をスルリと入れた。そこからショウの頭に何かが伝わってくる。それは青色の無数の線。

 その線と線の間に僅かな隙間があった。それも大量に。


「見えるよナギサ……見えるよ!」

「よかった……」

「へ?」

「きます!」


 迫ってくるミサイル群をオリンストはそのミサイルとミサイルの間をスルリスルリと掻い潜りクシャトリアの本体に向かっていく。外れたミサイル群はその美しい弾道を残しながら爆発する。

 オリンストの両手から光の剣が発生。そして、海中にいるクシャトリアを攻撃する。クシャトリアはその反動で海中から飛び出す。

 それをオリンストは逃さずクシャトリアから放たれた黒い何かを光の剣で切り裂きクシャトリアに向かう。クシャトリアは右足でオリンストを蹴り飛ばそうとする。オリンストも左足でそれを受ける。ぶつかり合った二本の足は互いに強い衝撃を伝え合う。


「こんな足でッ!」


 オリンストは左足に力を入れる。次の瞬間、クシャトリアの右足が千切れ宙に舞った。クシャトリアはもう一本の足も出すがそちらもオリンストに蹴り飛ばされ宙を舞う。


「これでぇぇぇ!」


 オリンストは両手に光の剣を再度発生させそれをクシャトリアの両翼に振りかざした。クシャトリアの両翼は二つとも折れる。なす術がないクシャトリアはオリンストに抱えられた。


「ふぅ……」


 ショウは深くため息をつく。

 オリンストの目の前には傷つきながらも歓喜に満ち溢れているダブリス級の姿があった。

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