【Chapter/END 宇宙を継ぐもの】その1
「くそっ! 弾幕が濃すぎるぜ……」
クシャトリアは砲撃中枢まであと少しというところで、足止めを喰らっていた。防衛システムが厚いため中々、接近できないのだ。無理に接近しようとしたら……追尾粒子砲にやられてしまうのがオチだ。
「弾幕が一瞬だけ薄くなった?」
クロノは確認した。防衛用の粒子砲発射口の動きが一瞬だけ止まったのだ。それこそ一秒あったか、なかったかの狭間なのだが。
近くにいるアヌヴィスもそれに気がついたのか、次々と発射口に突撃してゆく。しかし途中、無数の追尾粒子砲を喰らい撃墜される。
「今だッ!」
クシャトリアは発射口に向かって突撃した。無数の追尾粒子砲がクシャトリアに襲い掛かるが、それをクシャトリアは右に回転し先行の粒子砲を避けて、後方の粒子砲を一旦スピードを下げてホーミング誘導を行い、一気にアンカーで弾き飛ばした。
そして、スラスターを展開しアンカーを前に構えて発射口を近距離で砲撃。穴の開いた発射口から、クシャトリアは世界樹内部に潜入した。
「ふぅ……ここが砲撃中枢への道か」
クシャトリアはしばらく飛翔していると、狭い円形の道を見つけた。やけに機械的な外壁。間違いない。ここが砲撃中枢への道だろう、とクロノは確信した。そして、ステップを勢いよく踏みつける。
「ホーミングレーザーッ! 避けてやる!」
クシャトリアは飛び交うレーザーの中に出来る間をすり抜けながら、砲撃中枢へと向かう。そして、行き止まりだった場所を脚部ミサイルポッドを展開し、発射して外壁を破壊した。その向こう側には砲撃中枢らしき、巨大な球体状のマザーコンピュータがあった。真っ暗であまり分からなかったが。
「こいつ!」
クロノは操縦桿を握り締めて、素早く自分の方へ戻す。クシャトリアは脚部バーニアを前方に吹かしてホーミングレーザーを回避。どうやら砲撃中枢自身も防衛機能を持っているらしい。クロノは何を思ったのか、ダブリス級のアリューンに回線を繋ぐ。
「……アリューン、どうやら砲撃中枢の防衛機能は厚いらしい。俺でもどうなるか分からない……だが、俺はお前と約束したもんな。生きて帰るって……だから、言って欲しいんだ。愛してるって」
「クロノさん……」
「お願いだ。万が一のことも考えて……」
「そんなこと言えるわけ無いでしょう! 私は……そんなクロノさんを見たくなんかありません! 生きて帰ってきたら言ってあげます。だから、生きて帰ってきてください! 万が一も糞もありません!」
「アリューン…………なんでだろうな、俺ってば弱気になりすぎていたようだな。分かったよ、生きて帰ってくる……必ず!」
そう言うとクロノは回線を切って、クシャトリアで砲撃中枢へと突撃を開始した。飛び交う無数のホーミングレーザー。弾道は網目状にクシャトリアを囲い込むが、クシャトリアは両翼を切り離して誘導爆発を起こさせる。なおも迫ってくるホーミングレーザーを回避しつつ、間合いを詰める。
「俺は……こんなところで死んで溜まるかって言ってんだよーッ!」
クシャトリアの脚部と左肩はホーミングレーザーに貫かれて爆発する。誘爆を防ぐ為、その部位を切り離す。そして、クシャトリアは砲撃中枢である、蒼く光る球体の前にてアンカーを切り離して、近距離で粒子砲を乱射する。
「終わった……なッ!?」
砲撃中枢は粒子砲によって膨張し爆発。しかし、残った無数のホーミングレーザーがクシャトリアの機体を貫く。穴だらけになったクシャトリア。しばらくして、激しい爆発音が聞こえた。
宇宙に響く轟音……。
「はッ! ここは……戻ったのか、俺たちは」
ショウの意識はオリンストの中に戻ったようだ。ナギサもいる。そして、オリンストの前方にはハザマもいた。
「ナギサ、すでにマナ還元は最終段階まで進んでいる!」
「はい……そのためにもッ!」
「させるかぁぁぁッ!」
そんな中、ハザマがオリンストに向かって圧縮粒子ブレードを振りかざしてきた。それをエクセリオンブレードで受け止めるオリンスト。
「お前だって……お前だってユイリスに触れればッ!」
「触れたさ! だけど、僕にはもう何もないんだ! 僕は世界を殺す資格しかないんだ。権利だ! 義務だ!」
「俺には大切な人がいる! だから、彼女を守りたいと思って戦ってきた! お前の言うことには正直、言い返せないところがある……たしかにそうかもしれない。だから、俺は個人の意思でお前を倒す!」
「僕の言うことが正しいと認めたかッ! ショウ・テンナ」
「ナギサがいない世界なんか、認めるものかッ!」
オリンストはハザマを弾き飛ばす。オリンストはエクセリオンブレードを構えなおす。そして、再度突撃。ハザマはオリンストを粒子化して避けると、エクセリオンブレードを掴んで高圧縮粒子砲を放つ。エクセリオンブレードは爆発。その黒煙の中、オリンストは右手の握り拳でハザマの頭部を殴った。
三回往復で殴ったところで、ハザマはオリンストの右手を掴み、近くの蔦でできた柱にぶつける。そして、叩きつけられたオリンストの背後から漏れ出したマナ粒子が、オリンストに浴びせられる。
「このような醜い世界に何があるッ!」