【Chapter/52 紅蓮の業火を纏う君へ】その2
「あの光……ダブリス級の近くに!」
「ショウ、ダブリス級のみんなが!」
オリンストは大きな爆発のあったダブリス級の方へ向かう。ダブリス級に群がっていたリヴェンストを翼の羽で蹴散らすと、イフリートの方を向いた。
「イフリート……何で?」
「ナギサ、あたしはここにいるよ!」
声が聞こえた。その声は確かにアスナだった。オリンストとイフリートは背中合わせになり、数千機ものリヴェンストの大群に、周りを囲まれる。
「どうして……生きてるんですか?」
「生きてるんじゃないの……イフリートの結晶石が一時的に修復されただけ……ここにいるのは私だけど、すぐに消えちゃう」
「そんな……」
「でも、あたし、ソウスケに会えたから幸せだよ?」
「とにかく、こいつらをぶっ飛ばしてから、ゆっくりと話しようぜ!」
「ええ、ショウ! そのために、あたしはここにいるんだからッ!」
イフリートとオリンストはリヴェンストの大群の殲滅を開始した。オリンストは翼の羽を展開して、オールレンジ攻撃を。イフリートは両手に持った焔刀でリヴェンストの大群に切り込み、次々と両断していく。圧倒的な数のリヴェンストの大群であったが、イフリートとオリンストの性能に敵わず、攻撃が一切できないまま数だけを減らしていった。
二機のリヴェンストはイフリートを挟み撃ちにして突貫。しかし両機とも、イフリートの焔刀に止められる。
「こんなことで……あたしはッ!」
イフリートは咆哮。そして、焔刀は二機をそのまま縦に両断する。向かってくる数万本ものホーミングレーザーも、イフリートの周りに渦巻く劫火の前に消え去っていく。
そして、劫火は無数に枝分かれしてリヴェンストの大群を包み込み、全体を溶解させた。そこには焼け爛れた装甲のリヴェンストの屍が数百機。その中心に、なおも劫火を身に纏うイフリートの眼光があった。
「ソウスケに……触れるな!」
ダブリス級に向かって粒子砲を放とうとするリヴェンストに向かって、イフリートは突貫。イフリートの焔刀は衝撃波を創りだし、ダブリス級の目の前のリヴェンストを消し去った。
「すごい……あれが本当のイフリート」
「さっさと行きなさい、ショウ! ダブリス級はあたしが守るから!」
「一人で大丈夫なのか?」
「恋した乙女は強いのよ!」
「……死ぬなよ」
「死ぬも何も……元から死んでいるのよ、私はッ!」
イフリートの前には数十万機ものリヴェンスト。これほどの数のリヴェンストを一機のアテナが蹴散らそうとしている。宇宙を覆う無数の敵にも恐れず、腕を組んで周囲を劫火で包み込むイフリート。
「これぞまさに一騎当千ってやつ? ソウスケ、あなたの大切な人も、あなた自身も……特別に守ってあげる!」
イフリートの劫火は更に温度を高める。それは次第に蒼に変わり、イフリートの装甲をも蒼く染めてゆく。
「ショウ、世界樹へ……彼がコアと接触する前に」
「世界樹の中にある本当のコア……ナギサ、行くぞ!」
オリンストは翼を広げて世界樹の頂上へと向かった。それ見たイフリートは右手の焔刀を構えて呟く。
「ショウとナギサ、後方は任せなさい!」
イフリートの蒼い劫火は再び攻撃を開始した。