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【Chapter/51 リバース・オリンスト】その4

「……あれは?」


 オリンストの眼前には同盟軍艦隊の無残な姿が。そして、無数のアヌヴィスの残骸。すべて、リヴェンストにやられたものだ。


「ショウ……あれを」

「マスティマに……ハザマ!?」


 世界樹の頂上にて、二つの閃光が螺旋状の軌道を描いていた。ここから、かなりの距離がある。世界樹のコアの近くでは無数のリヴェンストと戦っている、同盟軍艦隊の姿があった。


「急ぐぞ! あいつはもうすぐ全てを滅ぼす!」

「はい!」


 オリンストは白銀の翼を羽ばたかせて、世界樹の頂上へと向かった。




 同時刻、交戦中のマスティマとハザマ。世界樹の頂上は深緑に囲まれており、中央部には湖があった。ここだけ、宇宙空間でない気がする。しかし、すべてはマナから創りだされたものだ。そして、深緑はコアを破壊されてもなお、マナの粒子を放出していた。


「こんな所に連れ込んで……くそっ!」


 マスティマの右腕がハザマのビットから放たれた粒子砲によって熱される。


「がぁっ!」

「オリジナルのアテナはその程度なのか?」

「ふざけるなッ! まだ、私は死ねない!」


 ハザマはマスティマを掴んで、世界樹の枝に叩きつけた。枝は巨大な樹木に近い形をしている。マスティマが叩きつけられた衝撃によって、マナの粒子が勢いよく噴出す。マスティマの視界が深緑に包まれた。

 キョウジは操縦桿を前に引き倒そうとするが、いっこうに反応しない。右手をやられたようだ。しかし、左手はかろうじて生きている。マスティマは左腕でハザマを殴り飛ばして、体勢を立て直す。

 殴り飛ばされたハザマも体勢を立て直して、両手から高圧縮粒子砲の発射準備を取る。光が両手を中心にして集められている。

マスティマは左手で不知火を構える。そして、ハザマを睨みつけた。


「これで……終わりだ!」

「………………………………ッ!」


 ハザマがマスティマに向かって突貫してきたのに対し、マスティマは不知火を一瞬にして抜刀し、ハザマを横に両断……しようとした。しかし、ハザマの機体はマナ粒子化。マスティマの不知火をすり抜けて、懐に入り左手の高圧縮粒子砲を構える。


「消えろ」

「まだ……やれるッ!」


 マスティマは死んでいたはずの右手で脇差を抜刀し、それをハザマの左手に突き立てる。ハザマの左手は閃光の余韻を残しながら、宙を舞った。そして、マスティマは不知火でハザマの右腕を切り落とす。


「やはり……マナ粒子を浴びたおかげで少しは回復したようだな。右手が少しだけなら動くようになった」

「だけど……この場所は僕にとって都合の良い場所だということを知ってくれよ? ここは君にとってアウェーな場所なんだって!」

「何ッ?」


 ハザマの両手は周囲のマナ粒子を集めて、元の形を造りだした。再生能力……マナを司る存在のハザマにとって、マナによって造りだされた機体をマナ粒子で再生することなど容易いことであったのだ。

 そして、ハザマは背中のビットを展開して、傷ついたマスティマの各部を粒子砲で狙撃。マスティマの四肢は消滅した。そして、マナ粒子が造りだした湖に落ちる。マスティマの頭部と胴体が微かに湖の表面から出ていた。その前にハザマが立ち、見下げる。


「ここまでだな……僕の計画を邪魔した罪は重い……死ね」

「……ッ! ショウよ……私の屍を超えろッ!」


 そして、高圧縮粒子砲がマスティマの機体を消滅させた。


 私は正しかったのだろうか? リューレンに聞いても返答は無い。キョウジは手を前に出した。そこには小さい頃の自分がいた。両親に捨てられた自分を拾ってくれたリューレン。

 刀ばかりを振り回していた頃だ。無邪気な頃。その隣にはいつもリューレンがいた。微笑みながら……。その時、キョウジは確信した。


 自分は正しかったのだと。

【次回予告】

 君はいつも冷たかった。

 だけど時々、優しかった。

 無邪気に笑っていた君。

 また出会えても、すぐにあえなくなるんだろうな……そうだろ、アスナ。

 次回【Chapter/52 紅蓮の業火を纏う君へ】

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