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【Chapter/50 未来への咆哮】その1

 私は何でここにいるの?

 無機質な私が初めて感じた想い。どうして、ここにいるの? 無感情なはずの私。空っぽな私。だったら……。


 少女は顔を上げて両手を前に出して呟く。


「射程圏内に敵艦侵入……迎撃を開始」




「敵、高圧縮ホーミングレーザーを発射!」


 サユリはソウスケの方を振り向いた。


「来たか……Aフィールドを急速展開! 持ちこたえろよ!」


 ガイアは側面部から無数のホーミングレーザーを放つ。ホーミングレーザーの細長く蒼い閃光は互いに交わりながら、個々の目標に向かって突貫してゆく。先行した一発は被弾したものの、残りはすべてAフィールドで防いだ。


「リョウ、艦体の損傷箇所は?」

「第七ブロックE区画……航行に支障はないでしょう」

「よし! 全砲門開けぇぇぇぇぇッ! 目標の敵艦に向かって発射ッ!」


 ダブリス級の砲門が開き、そこから無数のミサイル、粒子砲が放たれる。そのほとんどがガイアに命中するものの、大したダメージにはならない。どうやら敵もAフィールドを展開しているようだ。

 ガイアは深緑のバリアに包まれており、緑色の船体が深緑に染まっているように見えた。やはり、Aフィールドの無効距離まで突貫し、近距離で砲撃を行うしか、有効な手段はないだろう。それができるのはダブリス級のみ。


「やはり、こいつもアテナか……全エネルギーをAフィールドに注げ! 一分一秒でも長く持ちこたえさせるんだ!」

「残り……三十秒ですッ!」

「サユリ……安心しろ。大丈夫だ……」

「でも、このままだと三分の二の地点で解けてしまいます!」

「くそ……ッ! Aフィールド、前方に集中!」


 ダブリス級を覆っていたAフィールドは前方にのみ展開されるようになった。そのせいで後方部がノーガードになり、敵の集中砲火を受けることとなる。それを承知でダブリス級はそのままガイアに突貫していった。


「後方に向けて……迎撃ミサイル……一斉射ッ!」


 ダブリス級の後方と側面部はベリクス級の砲撃を受けていた。その砲撃を迎撃ミサイルでなんとか凌ぐものの、数機のアヌヴィスが艦体に取り付く。そして、ダブリス級の解体を始める。


「量産型アテナが後方に取り付きました!」

「リョウ、後方にいるアテナを一掃しろ! 迎撃ミサイルを近距離で撃ち込め!」

「ですが、それだと……」

「このままだと、突撃もままならないぞ!」

「はい! 後部ミサイルポッド展開、発射!」


 ダブリス級の後方部は炎と黒煙に覆われる。ボロボロになった後方部だが、エンジン部はあまりやられてはいなかった。


「敵との接触可能距離まであとどのぐらいだ?」

「先の砲撃により、若干の減速が見られましたが、あと四十秒ほどで可能です!」

「Aフィールドの展開可能時間は?」

「あと十秒……九……八……七」


 ダブリス級は側面部に取り付こうとするアヌヴィスを、迎撃ミサイルで吹き飛ばす。


「……六……五……四……三……一」


 右側面部アヌヴィスの脚部ミサイルが命中。第八ブロックC区画が壊滅状態に。


「二……………一…………」


 ソウスケは固唾を呑む。


「0! Aフィールド展開、解除されます!」

「突撃ィィィィィッ!」


 ダブリス級は一気に速度を上げてガイアに突っ込む。急激な加速のせいで、被弾箇所が大きく爆発して艦体が揺れる。

 ガイアはAフィールドの展開が解除されたと同時に、最大数のホーミングレーザーをダブリス級に向かって放つ。それはダブリス級の各部に命中して爆発する。しかし、速度は緩まない。


「ダメです! 敵の砲撃が激しすぎて……艦隊がもちません!」


 リョウの叫びとともに、艦橋の前方にアヌヴィスが現れる。そして、右手のマシンガンを構える。ゆっくりと……それはスローモーションのようにも感じられた。全てが終わる……そう皆が確信したとき。


「きゃッ!」

「サユリ……くそっ! ここまでか……」


―――そんなこと……させない!―――


 その時、ダブリス級が光に包まれて全身からホーミングレーザーを発射した。前方にいたアヌヴィスもホーミングレーザーに機体を貫かれて、爆散。

 そして、ダブリス級は変形トランスフォーメーション。巨大な単眼の巨人が姿を現す。それは……流麗のダブリスだった。

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