表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/25

悪魔

二人が歩き出したのはいいが、男が目指している銃ショップまでは歩くには遠すぎる。

少し先にガレージがあるので、二人はとりあえずそこに向かうことにした。

「少し怖いところも多いかもしれないけど頑張れよ。慣れるしかねえから」

男は少女に向かってそう言う。

少女の前でも構わず殺戮をする予定の男に、少女は頷いた。

「よし、いい子だ。」

男は少女の頭を撫でた。

ガレージに到着し、男は自分の車であるセダンの鍵を解除する。

「さぁ、乗ろうか。」

荒れ果てた世界でうまく運転できるか心配だったが、男はエンジンをかけ、車を走らせ始めた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

車を走らせているが、やはり辺りに溢れた車のせいで進めず、迂回しなければいけない道もあった。

そして途中で生存者である女の人を見つけたが...

「あれはお母さんか?」

男が少女に問いかける。

「ううん。違う。」

少女は首を横に振り母親ではないことが確認できた。

「無視するか。」

横を通り過ぎるタイミングで、案の定窓をたたかれる。

「なんだよ」

窓を開けて窓を叩いてきた女に男が声をかけた。

「ちょっと降りなさい!女の子も!」

「この子は無理だ。俺だけ降りる。」

降りるように請求されたので男は一度車から降りる。

「で、なんだ。」

なぜ降ろしたか聞いた次の瞬間、女は男につかみかかる。

「私を助けなさい...!はやくっ」

今にも感染者が来そうなほどの声で叫ぶ女に、男は腹に蹴りをとりあえず食らわせる。

「黙れ、そんな余裕はない。」

腰からナイフを取り出し、抵抗しようとしてくる女に向ける。

さすがにナイフに恐れおののくが、まだ助けてほしそうな目で男を見つめる。

「私も限界なの...お願いっ...」

「無理だ。」

腹を抱えて立ち上がる女の顎を殴り、倒れたタイミングで近くのポールと手首を手錠でつなげた。

「な、なにするのっ...」

「この世界では、生きるか死ぬか、それか殺されるかだ。」

女のポケットから携帯を出し、指紋を使ってロックを解除する。

時計のアプリを取り出し、タイマーを30秒後に設定し、音量を最大にして男はその場を去る。

もともとこの男には、女に対して苦い思い出があるようだ....

「ごめんなさい!私が悪かったから!助けて!」

車に乗り込み、発進し始めた男に泣いて詫びるが、すでに男は話を聞いていない。

・・・・・・・・・・・・

車が去り、タイマーが大音量でなるが、手錠でつながれている彼女には解除する術を持たない。

たちまちその場に感染者が現れ、彼女の腹を噛みちぎり、内臓をむき出しにさせて殺した。

まだ、車が発進してから30秒後の話である。


__私が...悪かったから....__


死ぬ間際まで、彼女は男に詫びていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ