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惨状

しばらく走り回ると、どれだけひどい状態になっていたのか段々と理解できるようになっていた。

道路には血が飛び散り、車からは火が出ている......


そしてついに彼は足を止めた。


「おお......映画みてぇだ......」


目の前には、腹から内臓をむき出しにして死んでいる人と、それを一心不乱に食べ続けている人のようなものがいた。


 目は充血していて、口からは血を垂れ流している。恐らく先ほどまで食べていた人の血だろう...

男は恐怖を覚えるより先に、ナイフを構える。


「来いよっ!」


その掛け声が合図になったのか、血だらけの感染者が男に向かってくる

わかりやすい突進を避け、首にナイフを切りつけるが......


「まるで効いてないな、ナイフじゃ......」


そこから大量の出血はするが、重傷を負った雰囲気ではなかった

男はナイフをしまい、背中に背負った刀を取り出す。


――これで首を――


二回目の突進をしてきて、刀を構えた瞬間、感染者は突然倒れた


「....は?」


倒れた先には腕にけがを負った男の警官が立っていた。

警官の手には、しっかりと拳銃が握られている。


恐らく感染者にかまれた彼に、男は一歩下がる


「お前も感染してるか!」


警官が彼に聞く。


「見りゃわかるだろ、噛まれてねえよ。あんたとは違ってな」


警官が構えている銃におびえる様子はなく、堂々と立ちながら受け答える


「刀をしまえ!貴様をっ......逮捕するっ......」

「そんなのお断りだ。俺にもやることがあるからな」


腕の痛みに耐えながら、職務を全うしようとしている警官に背を向け、男は再び走り出した。


「どうせあんたも、もう長くないからな。」


独り言のように、呟いて......


家にこもる準備のために、スーパーに寄った彼だが、その様子を見て呆れていた

バーゲンセールの時よりも人が殺到し、我先にと中に入ろうとしている


この付近は感染者の魔の手はまだ迫っていないからこそ見れる光景だと思いながら、その人ごみの中に男も入っていった。


「どうせ法律もクソもなくなるんだ、文句言われねぇだろ。」


ナイフを構えながらのんびりと人ごみに紛れ込み、目の前の人のリュックサックを盗む。


「おい、返せ!」


その人が振り向いて胸ぐらをつかんでくるが、すかさずナイフで腹を刺し、倒す

彼にはすでに罪悪感が無くなっていた。


リュックを片手に日持ちする缶詰、レトルト食品を詰め込み、彼はその場を後にする。


「おっと......そろそろだな......」


通報が相次いでいるのか、この付近にもパトカーのサイレンが鳴り響き始めた

その音につられて感染者が来ることも知らず......


――裏から逃げるか――


男は柵を乗り上げ、警官の目につく前に帰路についた

感染者がスーパーに殺到し、その場が阿鼻叫喚になるのには、時間がかからなかった......

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