ゾンビ好きの男
とある昼の最中、ベッドに寝転がり寝ている男がいた
その男の机には酒瓶がおいてあり、彼の顔は赤い。
「......朝か?」
目を覚まし、携帯を見るとすでに午後一時を過ぎている。
ベッドから体を起こし、起きた時のルーティンを行う。
洗面台に行き伸びたひげを整え、顔を洗い、ご飯を食べるといつものチェアに座りパソコンの電源をつける。
「今日もやるか」
スピーカーの電源をつけ、開いたゲームはゾンビを倒すオンラインゲーム。
国内サーバーで長年やっている彼は、ランクは最大までいき、一緒にゲームをする仲間もできた
彼がゲームを開くと、すでにその仲間はオンラインになっていた。
「待たせたな、寝てた」
【仕方ねえ、ドロップ狙いでボス周回してた、手伝って】
「了解」
しばらくゲームをして、友達が言った
【さっきからノックが激しいな…文句言ってくるわ】
「変なのに絡まれんなよ.......」
そういって彼がオフラインになっている間に、携帯のSNSを開く。
すると、かなり不穏な内容がSNS上に蔓延していた.......
――目の前で人が人にかみついてる!――
――助けて!噛まれてから熱が下がらない......そろそろ限界......――
それを見た瞬間、彼は思いついてしまった
「まるで......」
――ゾンビみたいだ――
いまだに帰ってこない友達にチャットを送り、ゲームを閉じる
とある部屋に向かい、暗証番号を入力すると、部屋中からナイフや刀をはじめとした、「武器」と呼べるものが出てきた
「こいつらを使う日が来るとはな......」
彼はその中からバタフライナイフを二つと、刀を背中に背負い、部屋を閉めた。
パソコンの電源を消し、やがて彼は玄関のドアを開いた......
玄関先は地獄のような風景だった
逃げ惑う人々、銃を向ける警察にかみつく血だらけの人間......
恐怖を覚えるはずの光景を前にして彼に芽生えた感情は......
――興奮だった――
ナイフを構え、彼は外へ飛び出した......