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僕のカロリーホスピタル

俺の名前はカズキ、ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者だ。


心筋梗塞で命を落とした俺は、友達が居なさそうで滑舌の悪い自称女神にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。


そんなある日、女神が俺の肩に設置した異世界ナビゲートシステム【ファム=チャウ】が暴走し、俺は全治1ヶ月の重傷を負い入院する羽目になったのだった。


「医者は…医者は何処だ!」


異世界日本の病院に女神が神力で創造した何処の世界でも使える不思議な不思議な医療保険書で無理矢理入院してから2週間が過ぎようとしていた。

…あ〜、えっと、これ…偽造保険証じゃね?

隣国かな?


「もう我慢の限界だ!今すぐ医者を連れてこいっ!!」


「さっきからブヒブヒうるさいですよマスター。」


俺の肩の上をフヨフヨと浮かびながら、そもそもの原因を作った異世界ナビゲート妖精が悪態をついている。


「ここは医療機関です。医療機関で騒ぐのは昔から反社か老害と決まっているのです。タダでさえメタボ・肝機能不全・高血圧・異臭と設定モリモリでお腹いっぱい通り越して食欲不振なのに、これ以上バッドステータスを足し算するのはやめてもらえませんか?」


「よくもまあペラペラペラペラと主人の悪口が出てくるな!」


「誰が主人ですか!?」


「俺の事、マスターって呼んでんのはお前だろ!?」


「それはシステム上嫌々呼んでいるだけです。本来ならば【ちっさい昆虫以下のクソ虫野郎】くらいがちょうど良い呼び名ですよ?」


「酷すぎる。親の顔が見てみたい」


俺が憤慨していると目の前の空間が歪み、ヘンテコな髪型と出立をした自称女神がヒョッコリ顔を出した。


「呼びましたか?」


「うわあっ!?ビックリした!!」


「美しき私が下賤の民の目の前に降臨してあげたのに、うわあっ!?…とは何ですか!?もっと敬いなさい。」


「いやいやいや!何で空間から顔だけ出すの!?しかも逆さまだよ!?逆さ吊りの生首がいきなり目の前に現れるとかホラー過ぎるわ!!」


「メダホで肝機能不全で高血圧で臭い上に【ビビリ】とか、どれだけ負の設定資料を山積みにすれば気が済むんですか?千利休もヘソで茶を沸かしますよ?」


あ、解った。

ファムが口悪いの、創造主であるこのクソ女神の影響だわ。


「ところで何をそんなに騒いでいたのですか?」


おっと、ツープラトン馬鹿共のあまりの不条理さに元々の怒りの原因を忘れててしまう所だった。

危ない危ない。


「味が薄いんだよ。」


「は?」


「だから出てくる食事の味が薄いんだよ!」


「ええ??」


この世界の病院が出してくる食事、めちゃくちゃ味が薄いのだ。

寧ろ無いと言っても過言では無い。

きっと料理人の味覚が喪失しているに違いない。


「入院してから2週間、身体がほぼほぼ動かないから仕方なく出されるがまま、あーんされるがままに餌を待つ燕の子供よろしく薄味の食事をしゃくしゃく咀嚼してきたが、入院期間も折り返しに入り両手も何とか動かせるようになってきた今、黙ってこの医療機関が出してくる薄味の飯、略して薄飯を喰ってやる義理は無くなったのだよ!」


俺の魂の叫びにアホ女神とナビ妖精さんがあからさまに嫌悪の視線を向けてきたが知った事では無い。


「今こそ!王子で有るこの俺に相応しい高カロリー高脂質過剰塩分な料理を要求する時!!」


「まあ馬鹿の遠吠えはさておき…」


「誰が馬鹿だ!」


「失礼、豚の嘶きはさておき…」


「なおのこと酷いわ!」


「薄味の料理も悪い事ばかりでは無いと思いますよ?」


「何?馬鹿な?百害あって一利なしだろう?」


「いやいや、まあこの数値を見て下さい。スーパーウルトラグレードデリシャスワンダフル女神サーチ!!」


前回に引き続き、女神が奇妙なポーズ、具体的に言うとガニ股で顔の前で両手のひらを反転させ親指と人差し指で円を作るいわゆる【お金ちょーだい】の形をさせた穴から両目で覗き込むポーズをとって奇声をあげた。


相変わらず気持ち悪さの天元を突破している。


「はい!出ました!!カズキの現在の体重は…95キログラムぅ〜デス!!」


「…は!?今何と??」


「デスから、カズキの現在の体重は95キロです!!ほら、入院前の体重105キロから、何と10キログラムも減っていますよー!」


「おおっ!ジャガー横美との同棲生活でも痩せなかったマスターが…ついに!!災い転じて何とやらですねマスター!さあ、私を褒めて下さっても構わないのですよマスター!…マスター??」


「きゅ…。」


「え??マスター??」


「きゅきゅきゅ…。」


「ちょっとカズキ??どうしたのですか??」


「95…この偉大なる肉の国の王子であるこの俺の体重が…100キロを下回る…だと…?」


目の前が真っ白にる。

ショックで現実が受け止められない。


「そ、早急にカロリーを摂取しなくては…肉っ!!ラーメン!!カツ丼!!」


「ちょ!?いきなり暴れ出さないでください!」


「ステーキ!ビフテキ!お好み焼き!!」


「マスター!ここ病院ですよー!?落ち着いて!!」


「これが落ち着いていられるか!?カロリーは

俺のチャームポイントだぞ!?」


「何ですかその新鮮なチャームポイントは!?脂身がチャームポイントとか聞いた事ありませんよ!」


「煩い!それにカロリーは俺の魔力の源でもあるんだぞ!?こんな枯渇した状態で奴らが攻めてきたら国が滅びてしまうわ!!」


「だから!それは貴方が死ぬ前に居たミートキングダムでの話でしょう?この世界では…」


と、ボンクラ女神が言おうとしたその時、俺達3人の目の前の空間が真っ黒に歪んだ。


そして空間から俺の目の前に突如現れたのは…出て来たのは…まさかの…◯◯だった!!


次回、スペシャルエピソードに

続く→


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