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ファムゴンボール超(スーパー)

俺の名前はカズキ、ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者だ。


ある日心筋梗塞で命を落とした俺は、友達が居なさそうで滑舌の悪い自称女神にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。


そんな異世界「日本」で…俺はついに真実の愛を手に入れたのだった。


「カズキさ、あーん♫」


「あーん♫」


彼女の名前はジャガー・横美さん。

ジャガイモの精霊である彼女は、

喉の肉のせいで頭と胴体の境界線がわからず、さらに全身に均等に付いた贅肉のせいで胸、腹、尻の境界線もわからない楕円型のパーフェクトボディを持つ理想の女性だ。


俺が彼女に一目惚れし一緒に暮らし始めて1ヶ月が経過していた。


「オラの作った野菜料理、うめーか?」


「うん、横美さんの料理は世界一だよ。」


「…嘘だ。」


「え?」


「嘘こぐで無え!カズキさ、本当は肉が食べてえんだろ!」


「な、何を言っているんだ横美さん?」


「隠してもお見通しだ!だって、だって日に日にオラの料理食ってくれる量が減ってるもの!」


「う…それは…。」


「オラ達…おしめーだな。カズキさ、さよーならだ!!」


「ちょ!?待ってくれ横美さん!よこみさーーーんっ!!」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「…てな事があってな。振られちゃった、テヘ♫」


「イヤイヤイヤ、テヘ♫…じゃありませんよ?せっかく食事制限ダイエットをする為の理想のパートナーを紹介して上げたのに何やってるんですか!?」


久々に姿を見せた滑舌の悪いボンクラ女神が何かほざいている。


「まあ人生色々、男女関係も色々、一筋縄ではいかないって事ですかねー。」


「うわムカつく。…コホン。しかし1ヶ月も野菜生活を送っていたのですから流石に少しは痩せたのではないですか?今から私が見てあげましょう。」


そういうとボンクラは奇妙なポーズ、具体的に言うとガニ股で顔の前で両手のひらを反転させ親指と人差し指で円を作るいわゆる【お金ちょーだい】の形をさせた穴から両目で覗き込むポーズをとって奇声をあげた。


「スーパーウルトラグレードデリシャスワンダフル女神サーチ!!!」


気持ち悪い。


「ふむふむ。現在の体重は…105キログラムですか。まだまだ重たいですね。ファム、ちなみにジャガー横美との同棲前の体重は何キロでしたか?」


俺の肩の上にフヨフヨパタパタ浮いている異世界ナビゲーターシステム、ファム・チャウが申し訳なさそうに答えた。


「…105キロです。」


「なるほどなるほど105キロですか…って、変わってないやないかーいっ!!」


女神がイキナリ関西弁で突っ込んできた。

うむ、控えめに言って寒いな。


「なぜ!?ホワイ!なんで減って無いのですか!?

一月近くも野菜生活を送っていたハズですよね!?」


「いや、ソレがですね女神様。ジャガイモの精霊であるジャガー横美さんの作る野菜料理は…そのほとんどが芋主体でして…。」


「ま、まさか…」


「焼き芋、芋餅、じゃがバター、フライドポテトなどなど…全ての物が高カロリー高塩分の炭水化物でした。」


「お、おふぅ…」


「しかもマスターはソレにすら途中で飽きてしまい、後半はこっそり家を抜け出して外で肉やら丼やら麺類やらを間食する始末…体重が増えなかっただけでも不幸中の幸いかと…。」


「あ、貴方はその間 何をしていたのですが!?異世界ナビゲートシステムで有ると同時にカズキの監視役も貴方の役割なのですよ?」


あらそーなんだ?

初耳だ。


「なぜカズキの暴挙を止めなかったのですか?」


「あ、いやーそのー…最初の2、3日は見張ってたんですけど…その後はずっと目を背けてました。」


女神がポカンとした表情で聞き返す。


「は?…目を背けて?」


「はい、時には目をつむり耳を塞いでいました。」


「そ、それはなぜ??」


「だって!マスターとジャガー横美、イチャイチャするんですよ!?毎日毎晩イチャコライチャコラ!システム上コイツの肩から離れられないので嫌でも豚と豚の絡みをずっと見ていなくてはいけない私の気持ちが解りますか!」


「豚と豚って言うな!」


「ブヒブヒブヒブヒ煩いので目を逸らし耳を塞いでやり過ごしたんです!!」


ひどい言われようだな。

口が悪いにも程がある。

しかし確かに途中から一切喋らないどころか目も合わせようとしないからおかしいなーと思っていたら、そういう事かぁ。


「成る程なぁファム。」


「何ですかマスター、その可哀相なものを見る様な目は?気持ち悪いですよ?」


ぐぬ、またしても口が悪い…が、仕方あるまい。


「つまりファム。お前は嫉妬していたんだな?」


「…は?」


「お前は大好きなマスター様と横美さんがラブラブしているのを見て嫉妬してしまっていたんだよ!!ふははははっ!」


俺が高笑いしながらそう言った刹那、



ーープチン…!!ーー


ファムの両目が白銀に輝き妖精らしい緑色の髪の毛も銀髪に変貌し逆立った。

身体全体からは白銀のオーラが立ち込めている。


「…誰が、何だって?」


静かに呟いた直後、不意にファムの姿が俺の視界から消えた。


ボグウウゥ!!


次の瞬間、ファムの右拳が俺のみぞおちに深々と突き刺さった。


「グオッァッ!!」


ぎゃあああああマジ痛いんだけど!!

タイキック食らったみたいに痛いんですけど!?

…ん、チョマットまて!


「…イヤオカシイよね?コイツ立体映像だからお互い触れられないんじゃなかったっけ?」


「あ、あれはまさか…身勝手の極意!?妖精の身でありながら神の領域に到達したと言うの!?」


「イヤイヤイヤイヤ女神っ!!何をそれっぽい事言ってるの!?」


「今の私の心は…パオズ山の清流みたいに穏やかよ…」


「穏やかなら殴るなよっ!!何で殴ったの!?」


「今度は良い奴に生まれ変わりなさい。別に私は一切待ってないけど…」


「え!…ちょ、ま…」


「ハアッ!!!」


「ぎょえええええええええええええええ〜〜!」


ファムから発射された謎の光弾に吹き飛ばされて

俺は遥か彼方の地面で黒焦げになったのだった。


【ミートキングダム第1王子カズキ・入院 全治1ヶ月】


…何だこりゃ…


続く→

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