表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/16

肉の化身のΨ難

俺の名前はカズキ、ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者だ。


ある日心筋梗塞で命を落とした俺は友達が居なさそうで滑舌の悪い自称女神にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。


ま、100キロを超える豊満な肉体を持つ俺ならばどこに行っても人気者間違い無しだから問題ないだろうがな。


心筋梗塞に引き続き2度目の意識喪失から目が醒めると、俺はめちゃくちゃ狭い空間にいた。

さっきまで自称女神とだだっ広い白い謎空間にいたのに、この空間は打って変わって狭いし、薄暗いし、不衛生だし、なんだか臭い。


なんだここ??


「ここはお手洗いですよマスター」


「うわビックリした!心の中読まれた!?気持ち悪い!!」


「気持ち悪いのは貴方の体型です。」


「は?この豊満な肉体を気持ち悪い?はぁ・・・これだから自称女神は・・・ん?いや声が違う?いやそれより何より滑舌が良いぞ?誰だ?」


「こちらです、こちらですよマスター」


俺は辺りを見回りてみる、、、が四方の壁と足元の穴の空いた謎の椅子以外のものは特に見当たらない。


「どこだ?どこから話しかけている?」


「アゴの肉が邪魔で見づらいかもしれませんが、貴方の肩の上ですよ、マスター」


言われて右肩を見ると10cm程の人、いや妖精の様な羽の生えた物体がこちらを冷めた目で凝視していた。


「うお!?ちっさっ!!え?何お前!?人形??フィギュア??」


ちなみにフィギュアとは我がミートキングダムで大流行りしているサブカルチャーで豊満な肉体の美女を模った小型の人形の事だ。


特に人気なのは三段腹ガールズのハラミちゃん、ミスジちゃん、ランプちゃん、の三姉妹で、その艶かしい贅肉の再現率の高さからプレミア価格で取引される程だ。


しかしこのフィギュア、三段腹ガールズに比べると何という完成度の低さだろうか。

身体は基本スレンダーだし胸、腹、尻がボッキュッボンとしていてバランスが悪い。

やはり男としてはボンボンボンのドラム缶体型、もしくはバルーン体型に憧れを抱かざるを得ないだろ?


「貴方の特殊な性癖はどうでも良いですマスター」


「うわっ!?また心読まれた!引くわー。」


「マスターの国ではどうだったか知りませんが一般的な世界では私の体型が好感度が高いフォーマルスタンダードです。」


「バカな!?・・・てかお前誰?」


「私は【ファム・チャウ】、記憶と喜びと舞踊の女神【ムネモシュネエウプロシュネテルプシュコラー】様が遣わした異世界ナビゲーションシステムです。」


「え?チャム・ファウ?」


「違いますファム・チャウです。」


「バイストンウェルの・・・」


「違います。」


「川村万梨阿・・・」


「違います。」


「・・・ま、まあいいや。で、この狭い空間はなんなんだ?ここが異世界なのか?」


「先程も申し上げたとおりここは御手洗い、つまりトイレですマスター」


「は?便所!?」


便所、トイレとは魔力の低い一般市民が排泄行為の後排泄物を流す場所である。

しかし、魔力の高い俺の様な一流のメタボリックにとっては無縁!

何故ならば食料が消化器官を通り大腸から肛門に至る寸前で魔法で異空間へと飛ばしてしまうのだから!

つまり、エリートメタボリックは便所になど行かないのだ!


「残念ですがマスター、この異世界地球では魔法も魔力も存在しません。」


「はっ??」


ま、魔力が存在しない??言っている意味が全く解らないんだが??


「つまりマスターも御手洗いで排便をしなくてはならないのです。残念ながら。」


「う、嘘だろ??便所なんて使うの子供の頃以来だぞ!?若干やり方忘れてるぞ!?・・・うっ!?そ、そういえばさっきから急に便意が!」


本来、この位の便意になると身体にオートで付加している魔法【ベンヨサ=ラーバ】略してベラバが発動して排泄物を異空間の彼方へ消し飛ばしているはずなのだが、確かにいつもなら肛門に感じる魔力を今は一切感じない。


「あー!あー!ヤバイ!これはヤバイ!王子ピンチっ!ベラバ発動してないー!ちょ、ちょっとイタスから出てってくれるファム君っ!」


限界を感じ便所を使う覚悟を決めた俺の必死の呼びかけをガン無視するファム・チャウ。

え?え〜なんでだよ!?


「ちょ、ファム君?ファムさん!?出るから出てってくれない!?」


さらに必死の形相で呼びかける俺に、10cmのミニマム妖精は無慈悲な一言を浴びせた。


「私はマスター専用の異世界ナビゲージョンシステムなので、お側を離れる事は出来ません。どうぞお気に為さらずいたして下さいませ。」


「ウボォワオバラッシャーッ!?!?」


我ながら意味不明な叫び声を上げ、俺は王子としての、、、いや、人としての尊厳を一つ失ったのだった。

続く→

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ