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よろしくファムドッグ

俺の名前はカズキ、ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者だ。


ある日心筋梗塞で命を落とした俺は、友達が居なさそうで滑舌の悪い自称女神にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。


無理やりモヒカンの大天使に全力マラソンさせられたり、最愛の女性と同棲したり別れたり、リスナー募集で勝ち残ったキャラクターの豆腐料理人・刻み海苔 (名前) との食決闘(イートデュエル)に快勝したり、…と色々あったが、俺はとりあえず元気です。


「ファムを改造しました。」


異次元ワームホール的な謎空間から相変わらず逆さまに頭を出して自称女神が突如俺に告げてきた。


「わあっ!?びっくりした!やめなさいよ心臓に悪い!!」


「あら?美しい私が突然目の前に降臨したから驚いちゃったのかしら?可愛い豚さんね♫」


「いやいや生首!逆さ吊りの生首が目の前に現れたからビックリしたの!!あと誰が世界一可愛らしいプリティーピッグだ!失礼な!」


「世界一とか言ってないので勝手に脚色しないでくれますか?あと可愛いとプリティー意味が被ってますから!頭痛が痛いみたいな感じですから!」


「危険が危ない的な感じですね。ドラえもんですかマスター。ドラえもんリスペクトはその寸胴体系だけにして下さい。」


「誰が青ダヌキだ!俺の方がお腹が出ててエモいわ!」


「え?エロい?最低ですねマスター。死んでください。」


「エモい!エモいだから!エロくないから!俺聖人君主だから!聖徳太子もヘソで茶を沸かすレベルの聖人君主だから!あと死ねって酷くない?」


「いや、色々間違えていますよ豚。落ち着きなさい。」


「だからだれが豚じゃい!謝れ!世界中のポッチャリに謝れ!」


「こんな駄肉と一緒くたに扱ってごめんなさい豚さん。」


「豚に謝るんかーい!!もうええわ!」


「「ありがとうございました!」」


…と一頻り漫才をした所で我に帰った。


「違う、そうじゃない。」


「鈴木雅之ですか?」


「違う、そうじゃないって!」


「いやだから鈴木雅之。」


「だーかーらー!違う!ファムの事!ファムを改造したってどーゆう事だよ!」


「ああ、その事ですか。」


「え?私改造されたんですか?全く自覚無いのですか?」


「ええ、そうでしょうね。貴方が爆睡しているうちにこっそりやっちゃいましたから。」


「異世界ナビゲートシステムって爆睡するんだ?」


「カズキが不甲斐なくダラダラと自堕落に無駄な人生を過ごしているのは既に毎度毎度の事ですが。」


「酷い言われようだな。」


「ファム、貴方も最近全くカズキのダイエットをサポートしていないですね。」


「あ、はい。そーですね。」


「いや、そーですねって。何の為に貴方をこの小汚い豚にくっ付けたと思っているのですか!」


「さっきからトバッチリが酷い。」


「早く痩せなければカズキは再び心筋梗塞を起こして死んでしまうのですよ?」


「そーは言われますけどね女神様、この人ワタシの言う事になんて聴く耳持たないんですよ。最初のうちはワタシも色々激励を飛ばしたり、危機感を煽ったり、罵倒したり、下げずんだり、嫌悪感を露わにしたりしていたんですが…」


「途中からおかしいよね?」


「まあ最近はもう諦めましたよ。どうせまた死にますよコイツ。」


「ついにコイツ呼ばわりだよ。」


「…まあ、貴方の気持ちもわかりますが」


「いや解るなよ!理解するなよ!なんなんだお前ら!」


「しかし、仕事はしっかりしてもらわないと。一応お給料も払っているんだから。」


「え?給料制なの?異世界ナビゲート妖精って給料出てるの!?」


「当たり前でしょう?誰が無給でこんな肥溜でどぶさらいみたいな仕事するんですか?」


「今日本当に酷いな。悪口のエレクトリカルパレードかよ。」


「しかしファム、安心して下さい。その為の改造です。」


「無視か。」


「口で言ってもわからない馬鹿には拳で語れば良いのです。」


「危険思想!」


「今までお互い触れない、干渉できない存在でしたが…触れるように仕様変更しておきました!」


「マジか!」


「これで殴り放題です。」


「何言ってんの!?恐いわ!!てゆーか触れるんなら俺も反撃するからね!?」


「カズキからは干渉できない使用です。」


「不条理!!」


「前にファムが一瞬だけ到達した神領域、身勝手の極意。アレにいつでもなれるようにしました。」


「え?」


恐怖体験を思い出し身体が震え上がる。

恐る恐るファムをみると、その双眼と頭髪は銀色に輝き、身体の周りからは虹色のオーラが迸っている。


「…あ。」


刹那、ファムの身体がゆらりと動いたかと思うと視界から消えた。

そして…


ボスッッ!!


溝落ちあたりに鈍い痛みが走る


「ぐおっ!?!?」


息が出来ない。

視線を下ろすと異世界ナビゲート妖精さんの拳が腹に減り込んでいた。


「あ、ほんとーだ。触れますねー。」


「ぐ…グフゥ。」


思わずうずくまる俺。



「さてマスター。今まで散々やらかしてくれてありがとうございます。」


ひいっ!目が笑っていない。


「これからはこの拳でビシバシ行きますので、覚悟して下さいね?」


ヤバイ。

ヤバイヤバイヤバイ!!

何か対策を講じなければ…死ぬ。

心筋梗塞で再び死ぬ前に物理的に死ぬ。


必死に思考をフル回転させる俺。


「さて、では景気付けにもう一発行きますかマスター。」


その言葉を聴いた時、極限まで追い詰められた俺の脳裏にある妙案が産まれた。


「ふ…ふふふ。ふはははは!」


「どうしました?恐怖で頭がおかしくなりましたか?」


「甘い!甘いなファム君!その程度で俺に勝ったつもりになるとは…シロップの蜂蜜割りよ甘いわ!」


「気持ち悪い!例えが気持ち悪い!」


「うりゃああ!」


俺は気合でともに自分が着ている服を全て破り捨て脱ぎ捨てた。


「どうだ!」


「どうだ!じゃありません変態ですか!?」


「馬鹿め!変態でわないわ!これが究極の防御スタイルだわ!」


「は!?」


「ファム!お前が俺を殴る為には俺の汗だくぬるぬるボディーを触らなければならないぞ?お前のその拳でな!!」


「な!?」


みるみる青ざめるファム。


「どうた!?出来まい!?お前は潔癖症だからな!俺の汗だくぬるぬるボディーに触れる事は出来まい!!ふははははっ!」


俺が高らかに勝利の大爆笑をしていると


ブオオオオオーッ!!


と訳の分からない音がファムの方から鳴り始めた。

何かと思い目を向けるとそこには…


両掌の間に黄金の気の様なモノを溜めているファムの姿が有った。


「ふぁーむーはーめー…」


「ちょ!?ま!?遠距離攻撃は反則だろ!!それにその技は流石に偉い人に怒られるからやめ…」


「波ぁーーーー!!!」


チュッドーーーーンッ!!!


「あーれーーーっ!!」


セリフも最後まで言わせてもらえないまま、俺は数話ぶりに遥か彼方まで吹き飛ばされたのだった。


続く→

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