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料☆理☆王 デュエルもんすたーじゅ

俺の名前はカズキ、ミートキングダム第一王子にして英雄「メタボリック」の称号を賜りし勇者だ。


ある日心筋梗塞で命を落とした俺は、友達が居なさそうで滑舌の悪い自称女神にダイエットをするよう強制され異世界「地球」の日本と言う国に飛ばされてしまう。


日本の医療機関に入院してクソまず医療食にヘキヘキとしていた俺だったが、なぜが突然時空が歪み【第一回肉の国の王子が転生したら現代日本でダイエットさせられました。に出したいキャラ発表会】が開催された。


そして映えある第一回出演決定キャラが、今、登壇する!! (何だこれ…)


「ふふふ…久しぶりね、カズキ王子。しばらく見ない間に随分と魔力が枯渇しているじゃない。」


俺の目の前に現れたのは、、、

現れたのは、、、?

ん?

コイツ誰だっけ?


「…えっと…誰?」


俺は自分の心情を正直に吐露した。


「ちょっとっ!何で忘れてるのアナタっ!!私はミートキングダム国立お料理高等学校で貴方と首席の座を争ったライバルでしょ!」


ミートキングダム国立お料理高等学校…冗談みたいな名前だが、カロリーが魔力に転換されるミートキングダムにおいて、美味い料理を作れると言う事は何にも変えがたいステータスなのだ。

俺も王族の嗜みとして若い頃通っていた。

…ただ…。


「いやぁライバルと言われても、俺3年間ぶっちぎりの首席で卒業したからなぁ。誰かと競ってた記憶無いんだよ。」


「ななな…何ですって!!」


俺の言葉に自称ライバルが顔を真っ赤にして震えだした。


あれれ?正直に言い過ぎたか?


「そ、それがライバルに…レディーに言う言葉なの!?」


「いやいや、それを言うならお前の態度こそ王子に対する礼儀に反するじゃねーか!」


「お前って言うな馬鹿王子!」


「おい!誰が馬鹿だ!国家反逆罪で処するぞ?」


「ここはミートキングダムじゃ有りませんー!だから貴方が王子でもそんな事する権利有りませんー!」


うわっ!ムカつく!


「だいたい、私には親からもらった名前が有るのよ!ちゃんと名前で呼びなさいよ!!」


「いやだから思い出せないんだよ!」


「なんでよ!?3年間同じクラスだったのに!!」


「そもそもそんな貧相なスリム体系の女に興味ないから全く意識していなかったってのがデカイな。」


「うぐぐぐっ!人の気にしていることを!!どーせ私はグラビア肉ドルみたいな素敵なぽっちゃり寸胴体系じゃ有りませんよ!中途半端に胸だけ大きくて後は痩せてるヘンテコ体系ですよ!!バガぁ!」


グラビア肉ドルとは…ミートキングダムにおけるグラビアアイドル的なアレである。


しかし貧相ボディーの自覚は有るのか。

ふむふむ、あーやっぱり思い出せんなぁ。

あとまた馬鹿呼ばわりされたな。

仮にも一国の王子を何だと思っているんだ。


そんな俺たちのやりとりを見ていた外野二人がコソコソ喋り出した。


「…あの人、わりと理想的な体系ですよね?女神様…。」


「…そうね、カズキだけじゃなくミートキングダムの人達って全員美的感覚が破綻してるのね。かわいそうに。」


「まああの豚をカッコいいとか素敵とか言うような人達ですからね。暗黒邪神カルト宗教のディープな崇拝者位のヤバイ人達だと思った方が良いかもですね。」


「おいお前たちいい加減にしろ!陰口はせめて本人不在の時にお願いします!」


なんだか無性に死にたくなってきたよ。

いやもう一回死んでるんだけどさ…。


「で?結局お前の名前は何なんだよ?」


「…え?」


「だから名前だよ名前!顔じゃ思い出せなくても名前聞けば記憶が蘇る可能性も…無いことも無いかもしれないかもだろ??一周回って思い出すかもしれん。」


「可能性薄そうな物言いですね。貴方の歴代の先祖の頭髪くらい薄いですね。DNAレベルで薄いです。」


「本当に忘れてるんですねぇ。頭も脂肪で埋め尽くされて毛根と一緒に記憶装置が壊れてしまったんですねマスター、可哀想に。」


「おいお前ら後で覚えとけよ!!」


その時、自称ライバルが小声で呟いた。


「……みのり…よ。」


「あ?なんだって??」


今までのハイテンションに比べ余りの小声に、俺は思わずドリフのコント風に聞き返した。


「だ…だから!刻み海苔よ!刻み海苔!!私の名前は刻み海苔!!」


一瞬硬直したあと、女神とナビゲート妖精さんがいつもに増してヘンテコな顔をする。


「き、刻み海苔!?名前が刻み海苔!?貴方の親は名前を何だと思っているのですか!!」


「よくぞ今までグレずに大きくなりましたね。私だったら親にトップクラスのダークアサシンを送りつけてますよ。」


「いや待て待て!ミートキングダムでは普通だ普通!別に悲観するような名前じゃ無いぞ?」


「は?普通?…刻み海苔が普通の名前!?」


「カロリー至上主義の我が国では食物や料理名を名前に付けるんだよ。刻み海苔も別におかしな名前じゃ無い。」


「ま、まあ確かにどこぞの異世界にも【めぐ◯ん】とか【どど◯ご】とか変な名前の人達は居ますが。」


おいヤメロ!それ以上言うな怒られる!


「だからお前が何を恥ずかしがってるのかわからんのだよ味付け海苔。」


「刻み海苔っ!刻み海苔です!!」


「ああゴメンな間違えたわ韓国海苔。」


「わざとでしょ?…まあいいわ。…私は別に食べ物の名前が嫌なんじゃ無いのよ。海苔も…割と好きだわ。」


「海苔好きなんだ…。」


「でも、でも出来れば肉系の名前が良かったのよ!」


「は?肉系の…名前??」


女神が地鶏みたいに顔を傾げる。


「カルビとかハラミとかサーロインとか!なんなら妥協してロースでも良いわ!!」


「ロースは妥協なんだ。」


「脂身少ないから…。」


「あ、そう。」


「別に肉じゃなくても良いじゃないか?海苔美味いじゃん。」


「貴方には解らないわ!国王に最高の名前を付けてもらえた貴方には!!」


「そう言えばカズキは普通の名前ですよね?この人のイメージ的には脂身とか揚げカスとかなのに。」


いやもうちょい価格高いヤツ連想してよ。

一応王族なんだよ?


「【カズキ】はミートキングダム幻の最高級ジビエ肉料理の名前よ。この国の言葉で言うと…神をも穿つ約束された勝利の美食…と言う意味になるわ。」


「たいそうな意味の名前ですね。完全に名前負けしてるじゃないですか。」


「5回コールド負けですね。惨敗です。」


「やかましいわ!…しかしまあ、やっぱり名前聞いても思い出せんわ。すまんな。」


「うぅ…悔しい!!こうなったら、私の豆腐料理で思い出させてやるわ!!…カズキ王子!貴方に食決闘(イートデュエル)を申し込みます!!」


食決闘(イートデュエル)!!…って何ですか?」


「ああ、我がミートキングダム特有の決闘方法だ。お互いの得意料理、スペリャリテを作りあって相手に美味いと言わせた方が勝ち。勝った方は負けた方に何でも言う事を聞かせる権利を得られる。」


「な、何でも…ですか?」


「しかも相手が貴族だろうが王族だろうが食決闘(イートデュエル)の結果の方が優先される。つまり俺が王子だろうとも平民のコイツの言う事に絶対逆らえない。」


「つまり使い方によっては国家転覆も計れてしまう恐ろしい決闘なんですね?」


「ただし、受ける受けないは自由。お互いの同意がないと食決闘(イートデュエル)は成立しない。王子で有る俺がコイツの申し出を受けるメリットは全く無い。」


「くっ!臆病者めっ!!恐れを成したか!!」


「おっと、勘違いするなよ?メリットは無いが、食決闘(イートデュエル)…受けてたつぜ!」


俺の返答に三者三様の驚いた顔をする女子三人。

女神に関しては驚いてるのか変顔なのかよくわからない複雑な顔をしている。


こっそり写真撮ってネットに晒したい。


「い、いい度胸ですね!いいでしょう!後悔させてやります!」


「お前こそ後悔するなよ?俺は食決闘(イートデュエル)で…産まれてから一度も負けた事が無いからな。」


「わかりました。では、女神の名においてこの食決闘(イートデュエル)、私が取り仕切りましょう!お互いベストを尽くしなさい!デュエル、スタンバイ!よーい…スタート!」


何やら少年漫画っぽい雰囲気を醸し出しながら料理にとりかかる俺たち。

そして何故か仕切り始める変顔女神。

そしてそして迷走し続けるストーリー展開!

いったいどうなってしまうのか!?


続く→

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