僕だけの時間
2日目の朝。今日から本屋のバイト。
僕は、いつも通り4時に起きた。なにをするかって?それは、今日は銭湯に行く。
(銭湯に行ってきます。)
まだ誰も起きていないのでグループメールに一言添えて、銭湯へ行く。タオルとかは銭湯に売っているから大丈夫だろう。着替えがないのがすごく不快だ。
まだ日が昇りかけている街を見ると、朝焼けがきれいだと実感する。
「ここの朝焼けはきれいだなあ。」
朝早いため、人はほとんどいない。
「面太郎!朝早いな!」
この町の唯一の知り合い、ルカリオが歩いてきた。
「ルカリオはなにしてるんだ?」
「パワシのパトロールだよ。面太郎はなにしてるんだ?」
銭湯に行くような恰好してないからわからないよな。
「銭湯に行くんだ。だけど、服がないから、一回家に帰ろうかと思って。」
「服か。昔はパワシにも子供がたくさんいたから、俺のお下がりならあるけど。そうだな。それ使え。」
まさかの服が手に入る。
「ギルドにあるから、勝太の分と合わせて持ってけ!行くぞ!」
銭湯の前にギルドに寄って行くことになった。
「ギルドはまだ営業してないからな。特別だぞ。」
この町のギルドマスターはここに住んでいるらしい。
「下着はしょうがないから自分の使えよ。ほれ、これ全部持って行け。一応洗濯してあるから。銭湯に持って行ってもこの時間だと邪魔にならない。」
と言い、段ボール1箱分渡された。邪魔にならないって、本当かな?
「ありがとうございます。大切に使います。では僕、行きますね。」
「またな、面太郎。」
お礼を言って、段ボールを抱えて、ギルドをあとにした。
町はずれの昔ながらの銭湯にやってきた。実はギルドは、町はずれのローレア地区にあり、実際ギルドのすぐそばである。
「おはようございまーす。」
「おはよう僕。何歳なの?」
いきなり年齢を聞かれた。多分、年齢によって料金が違うからだろ。
「13歳になりました。」
「じゃあ、大人料金だね。450円もらうよ。」
小銭は持っていないので、身分証で払う。
「身分証で。」
「はいよ。どうぞ。」
お金を払って中に通された。中には自販機があり、牛乳みたいな飲み物やジュースが売られていた。
(さて、入るか。)
服を脱ぎ、眼鏡をはずし、先に買っておいたタオルを用意しておき風呂場に入る。
(広いな。屋敷の1階と同じくらいある。)
まだ朝早いせいか、おじいちゃんが少ししかいない。
「僕、朝早いねぇ。何歳なの?」
体を流している時、おじいちゃんに絡まれた。
「13歳になりました。」
「13歳かぁそのわりに小さいね。わしらの頃は、もう少し大きかったぞ。」
軽い皮肉か?
「属性はなんだい?」
「植物です。」
今度はなに言われるんだろう。
「植物か。まあまあだな。どこの生まれなんだ。」
どうしよう。日本って言うわけにはいかない……。
「ルカリオの家の近くです!」
と言い、急いでお風呂に逃げた。けど、それは意味なかった。同時におじいちゃんも流し終わったからだ。
「なに、逃げることなかろう。名前は、なんていうんだ。」
「……小川面太郎です。」
あとはなにを聞かれるんだろう?
「面太郎か。珍しい名前だな。そういえば最近、パワシ1の屋敷に、人が入ったと聞いた。税金、高いだろうに。」
もしかして。
「それ、たぶん僕の家です。」
「なに、面太郎の家だったか。金持ちなのか?」
そんなわけない。
「いえ、特別永住権で免除してもらっています。僕昔に引っ越してきたもので。」
少し嘘をつく。ばれなきゃ問題ないよな。
「ルカリオも減給されてかわいそうに。あの屋敷の分の収入が大きかっただろうに。」
皮肉ばっかり言う人だ。ちょっと嫌だな。
「僕、仲間がいますのでこれで。」
「面太郎、またな。」
もう会うもんか。
脱衣所に出てきて、体をふく。ルカリオからもらった服をあさって、着替える。
今日は牛乳飲みたかったけど、お金が足りなくなってはいけないから我慢する。
また重い段ボールを持って帰宅する。