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全ての始まり③
「ねえ、面ちゃんだよね?覚えてるかな……。」
見覚えがあるような、ないような。でも、名前を知っているなら知り合いだよな。
「申し訳ない。ちょっと記憶になくて。」
「そっか、そうだよね。最後に会ったの、4年前だもん。」
4年前?4年ですっかり忘れるって、どれだけ必死に勉強をしたんだろう。
「もしかして……天音?」
4年前の年度末、僕の幼馴染、朝比奈天音が転校していった。そのとき僕は、今度またどこかで会ったら守れるように勉強を始めた。このときの僕は、知識を詰めすぎて目的を忘れてしまう、なんてことは思いもしなかった。
「やっと思い出してくれた……!あのねぇ、私は片時も面ちゃんを忘れたことはなかったんだよ?」
「すまない。天音のことを守ろうとして勉強していたら、そもそもの目的を忘れてしまった。」
昔から、こういううっかりモードが発動することがある。