新居を決めねば!
「こんにちはー。」
「どうした、坊主たち。ここは君が来るところではないぞ。」
この世界では子どもが来るのは珍しいからか、4人だけだと門前払いされそうになる。
「おっちゃん、俺も一緒!」
「なんだ。ルカリオも一緒か。坊主たちつれてどうしたんだ?」
大人がいると、話が早い。
「こいつらの家を探しに来たんだよ。ついに、4人でルームシェアするんだ。」
「坊主たちが大丈夫かね。で、希望条件は?」
結構不愛想なおやじだな。
「あなた、子どもたちになんて口きいているのよ。ごめんなさいね、この人、不愛想なの。このお菓子食べてちょうだい。」
奥さんらしき人が出てきて、サラダせんべいらしきお菓子をだしてくれた。
「ありがとうございます。希望条件は、バストイレ別でトイレ2つ。あとはキッチンが広めで、部屋が4つで、できれば、屋根裏部屋があると嬉しいです。」
「調べてみるが、ピッタリの物件はないぞ。それでいいか?」
そう簡単に、希望物件なんてないよな。
「もちろんです。」
答える前に物件を探し始めていた。
「まず1つ目。築半年。で、キッチンが、ちと狭い。だが、庭付きバルコニーが広いな。
次、2つ目。築10年、家具付きだが部屋が広い。ストーブは薪だしな。あとは完璧なんだが。余計な森もついて家一軒分の値段だから安いよな。
3つ目。この物件は屋根裏部屋がないんだな。キッチンは普通の大きさだが、バストイレ2つずつある。この中だとおすすめは2つ目だな。ギルドも近いし、ダンジョンも近い。いい物件なんじゃないか?」
この中だったら、2つ目の方がいいんだよな。これでいいんじゃないか?間取りもいい感じだし。
「面ちゃん、俺、2つ目でいいぞ。天音や氷川もそう思うだろ?」
「そうね。静ちゃん、どう思う?」
「……これでいい。」
じゃあ、決まりだ。
「この2つ目でお願いします。」
これで内見をせずに新居が決まった。
「なら、この書類にサインしろ。そしたら、鍵を渡す。」
代表者のため、書類にサインをする。
「これでいい。これが鍵で、この書類に書いてある住所がお前らの新居になる。後ろの山1つ分も該当する。以上。」
「ありがとうな、おっちゃん。じゃあまた。」
「またな。困ったりしたらまた来るんだぞ。」
鍵をもらい、住所をもらい、不動産屋をあとにした。
「電気開通はギルドの方でやっておく。」
バス停でルカリオに言われた。そういえばここ、電気屋とかないな。
「今から、新居に行く。そこで、魔法の試し打ちする。本当は、ギルドの練習場でするつもりだったんだが、良い山が手に入ったからな。」