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3話 プロローグ③

 3話 プロローグ③


 腹黒金髪を拾ってから2日たった。


「何でお店なのに客さんが1人も来ないのよ。っていうか、なんでこんな所に店を建てたのよ。」


「仕方ないじゃないですか。

 僕は元々お金を持ってないから、街中に建てることが出来なかったんですよ。」


 あれ以来僕はずっと扱き使われている。

 ちなみに、あの後どんなことがあったかと言うと...


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


「はい。とても助かりましたわ。

 ところで、私から一つお願い事がありますの。

 宜しければ聞いてもらってもよろしいですか?」


「こんな美しいお嬢様からのお願いなら、謹んで承りましょう。

 ちなみに、理由を伺っても宜しいですか?」


 と尋ねてみた。


「実は私、家を追い出されて泊まる家がないの。

 だから、泊めて下さらない?」


 腹黒金髪は黒い笑顔で言った。


「えっと、追い出された理由とかはないんですか?」


 疑問に感じたので聞いてみた。


「追い出された理由は特にないわ。

 そうね、強いて言うなら気持ち悪い糞デブをぶん殴ったくらいかしら?」


 絶対それだろ。とは思ったが、ここで反論すれば後が面倒だと思い、何も言わなかった。


「そんな訳で、私は今泊まる家もお金も無いの。

 という訳で、あなたの店に泊めなさい。

 これがお願い(命令)よ?

 このお願い(命令)聞いてくれるわよ(強制だから)ね?」


 僕には腹黒金髪が悪魔にしか見えなかった。

 しかし、僕は悪魔ごときに負けないのだ!!


「お嬢様がとても大変だということがわかりました。しかしながr「お願い(命令)を聞いてくれないなら貴方に襲われたって街中で叫んでやるわ。」

 ...こんな汚い店でよろしければ、ぜひお使い下さませ。」


 僕はこの日、権力(女性だけの特権)に負けた。


 ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 ということがあったのだ。

 そしてこの2日間、僕は腹黒金髪に無茶振りを注文され続けた。聞いたこともないような料理を作れと言われたり、謎の一発芸をしろと言われたり、最近流行ってるあの服を買ってこい等、まぁ、ぶっちゃけ創造スキルと『アカシアの記録書』の2つを使ってるから大抵の事はどうにかなるんだけど、と考えた時に気づいた。

 もしかして、無茶ぶりに応える僕を見て、面白がっているだけなのでは!!

 そして、僕は決意した。明日こそ文句を言ってやると。


 結果ボロカスに言われて要求がエスカレートしただけでした。

 もうわるぐちいわないからゆるして。グスッ


 そして、色々あり1週間が経った日の朝。


「今日も店開くか。」


 店のシャッターを開け自分の頬を叩き、今日の無茶振りに応えるため気合を入れた。

 そして、店を開いてから1時間ほどが経ち、開店初のお客さん達(武装したごつい人達)が来た。

 こんな初のお客さんやだ。


「貴様無礼だな。」


 心の声が漏れていたようだ。


「ふんっ。まぁいい。

 それよりも聞きたいことがある。

 最近ここらで、金髪の娘を見かけなかったか?

 その女は男爵家の者なのだが、10日ほど前、事もあろうか伯爵家の子息を殴ったらしい。

 翌日、伯爵家の者が兵を連れ男爵家に事情聞きに訪れた時には娘は逃げ出したらしい。

 そして、ちょうど2日前この付近で金髪の娘を見かけたと報告があってな、今我ら騎士団が総出で探しているのだが、坊主知らんか?」


 うわー。

 めっちゃ知ってる。

 つーか、今店の中にいる。

 どーしよ。


「うん?

 どうした?何か知ってるのか?」


 すると、階段を降りてくる足音が聞こえた。


「他にも人がいたのか?」


「っえ、えーっと...」


 どうすればいいか分からず狼狽えていると、


「ふぁ~。誰か来てるの?」


 と、アホ金髪が出てきた。

 詰んだ。オワタ。


「リシア嬢を見つけたぞぉぉ!!

 捕まえてブマン伯爵家へ連れていくぞ。」


 騎士団が店の奥のへ勢いよく突入して行った。

 あぁー。頼むから店の中荒らさないでね。

 あと、その腹黒金髪が何言っても俺関係ないからね。


「そこの男も一応連れていけ。」


 ウソん。


「い、いや、僕は関係ないですよ。」


 必死に関係ないアピールをしてみたが、問答無用で捕まえようとして来る。


「リシア嬢を見つけたとは本当か!!」


 探していた他の部隊の人もやってきたようだ、30人くらい...

 そして、捕まったリシアが店の奥からでてきた。


「離しなさいよ!!

 私が何したっていうの!!」


 リシアは掴まれた腕を必死に振りほどこうとするが、騎士団の人達の方が遥かに力が強く、振りほどける気配すらない。

 あと、私が何したっていうの!!って、デブ当主をぶん殴ったんだろ。

 リシアが捕まり僕が店の隅に追い詰められた時、若そうな声の騎士がやってきた。


「団長、マルオデ家当主ブマン・フォン・マルオデ・フェット伯爵が参られました。」


 若い騎士がそう告げると、店の中に脂まみれの豚?が大量の脂を店の床に垂らしながら入ってきた。


「リシアやっと見つけたぞ。

 よくも、僕の美しい顔を殴ってくれたな。

 今泣いて謝って僕の妻になるって言うなら殴ったことは許してやるぞ。」


 美しい顔って、この豚アホなのか?と、見ていると豚の目が合った。

 というか、店を汚すな豚。


「貴様誰なんだ?」


 豚野郎が耳障りな声で聞いてきたので


「この店の店主ですぅ~。子豚さんww」


 と、言ってしまった。

 豚がキレそうだったので急いで訂正することにした。


「っあ、すぅみぃまぁせぇ~ん。

 子豚さんじゃなくてぇ、出荷前の豚さんでしたかぁ~?」


 謝るつもりだったが、何故か油を注いでしまうことを言ってしまった。


「フフッ。」


「...」


 笑うのを堪えれず、笑い声が少し漏れ出ているリシアと、沈黙する騎士団。

 そして、プルプル震える出荷待ちの豚。

 さすがにこの空気はまずいと思ったので、豚に言ったことを更に訂正することにした。


「伯爵、失礼なことを言ってしまい申し訳ありませんでした。貴方のような汚い脂まみれの豚と、出荷前の美味しい豚さん達を一緒にしては豚さん達に失礼ですよね。」


 僕はとてもいい笑顔で言った。

 もう一度言う。とてもいい笑顔で言った。

 リシアは腕を掴まれたまま爆笑していた。

 そして、汚い脂まみれの豚はプルプル震えるのを辞めた。そして一言、


「あのゴミクズを今僕の目の前でぶっ殺せぇぇぇぇぇ!!」


 と、騎士団に命令した。

 その瞬間リシアを捕まえている騎士以外の全ての騎士が、剣を抜き僕に襲いかかってきた。

 そして、一瞬で勝負が着いた。

 全ての騎士が床に顔面ダイブした。

 顔面ダイブした理由は簡単だ。剣を抜いた騎士に首トンをした。目に見えない速度で。

 そして豚に、一言


「俺が笑顔のうちにさっさと騎士を連れて帰れよ。」


 と、笑顔で言った。

 そして豚はまだ状況が分からないのか、


「き、貴様伯爵家にこんな事をしてタダで済むと思っているのか。」


 と、冷や汗ダラダラで言ってきた。


「別に。アンタが伯爵家だろうが何であろうが、うちの店の中で暴れるなら全員叩き出すだけだ。」


 豚は僕の発言をハッタリだと思っているのか、


「は、叩き出すだと。

 伯爵である僕にそ、そんな事できるわけが無い。

 どうせハッタリだろ、今土下座して謝るなら、我家で部下として雇ってやるぞ。」


 さすがに豚が理解力が無さすぎて、イライラしてきた。


「最後の警告な。

 うちの店で暴れるな。

 さっさと、ここに転がっているゴミを拾って帰れ。」


 僕は少し、ほんの少しだけ魔力を解放し威嚇した。

 その瞬間リシアを捕まえていた騎士達は腰を抜かし、豚は恐怖で気を失っていた。

 やっべぇやりすぎた。圧倒的な魔力で威圧するテンプレをやってみたかっただけなのに。

 でも、楽しかったから良しとするか笑。

 それにしても、どうやって帰らせよ。

 仕方が無いので、腰を抜かした騎士達に回復魔法をかけ、ここにいる奴らを連れて帰るように言ったら、全力で仲間を運び出しこの場からすぐ逃げ帰って行った。

 リシアを置いて。

 こいつも連れて行ってよかったのに。

 仕方が無いのでリシアのそばに駆け寄ると、リシアも腰を抜かして立てないようだった。

 しかも、足元に大きな水たまりを作って。

 水たまりを作ったのに気づいたのか、顔を真っ赤にし逃げようとしたのだが、腰が抜けたままだったので、立つことが出来なかった。

 手を貸して立たせてあげると顔を真っ赤にして、


「喋ったらばら(殺)す。」


 と言って、店の休憩室に走っていった。

 一応助けたんだけどなぁ~

 と、思いながら店の掃除をする冬馬だった。

やっと1話の冒頭の続きを書けた!!

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