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予想外な乱入者

俺たちは森の中に来ていた。ここは魔獣の森と言われているらしく、人はあまり来ないそうだ。なぜならその名前の通りにここにはモンスターが沢山生息しているからだ。ここにはクエストでトロールの討伐にやってきた。フィリア曰く、俺と相性がよく、実践を積むにはちょうどいい相手らしい。


「なあ、トロールってどんくらいの大きさなんだ?俺の知ってるやつだとまあまあのでかさなんだけど…。」

「大きさは個体によるけど5mくらいかな?」

「じゃあ想像してたのより小さいな。」

「じゃあ楽勝だね!」

「そうとはならねえよ…」

「まあ多分大丈夫だと思うよ?トロールって動き遅いから晴矢の魔法使えば圧倒できるよ。」

「おー!なんか行ける気がしてきた。」

「いたいた、あれがトロールだよ!」


そう言ってフィリアが指差した先にいたのは予想通りの5mくらいの大きさで、横幅が広く、体はグレー色だった。1つだけ予想が違ったのはその武器だった。


「あれ!?トロールの武器ってこん棒とかじゃないの?あれ思いっきり大剣じゃん!」

「あー、昔までこん棒だっただけど、ここ最近は知恵が付いたみたいでこん棒は捨てて冒険者から奪った武器を使ってるみたいよ?」

「それ先言おうぜ!?」


まじか、あんな大剣振り回すやつと戦いたくないんだが…。絶対一発貰ったら即死じゃんか…。


「ほら、晴矢の実践積むためにこのクエストにしたんだから頑張って!」


とフィリアに笑顔で言われた。そんなこと言われたら、やるしかないですやん…。と思い、覚悟を決めて立ち向かった。


「先手必勝!」


俺は自分の武器である太刀の切れ味に固有魔法である「促進」をかけた。そして、振りかぶってトロールの腹を切った。すると、腹から血が吹き出した。


「ガァァァァァ!!!」

トロールのが悲鳴をあげる。


「よし、効いてるみたいだ。」

続けて斬撃を繰り出そうとしたがトロールがすかさず大剣を振り下ろした。かなりの衝撃が俺を襲う。俺は少し吹っ飛ばされたが態勢を整えた。幸いダメージはほとんどない。


「晴矢ー、なんで「促進」を身体にかけないの?

移動速度あげたら余裕だと思うよ?」

とフィリアが言った。


「俺の「促進」は現状、1箇所にしかかけられないんだよ!切れ味に使ってる以上使えないんだ。」

「わお。」


わお、ってなんやねん。わおって…。仕方ない、身体能力を促進させよう。その代わり太刀の切れ味が悪くなるんだがまあ、ダメージ喰らうよりはいいか。

促進をかけ、再度トロールに突進する、しかし、先程とは比べ物にならない速度でトロールの体を切り刻む、ように見えたが、皮膚の表面だけが切れてるだけで中が切れていなかった。


「ち、だがこれを何回も繰り返せばいずれは…。」


そう思った矢先、トロールが急に倒れた。

「「!?」」


俺とフィリアは急な出来事に戸惑ったが、やがて、現状を理解した。トロールのの背中から爪が生えているのだ。いや、爪がくい込んでいるが正しい。その爪がトロールの体から抜かれると、その爪の持ち主の正体がわかった。


「キメラ…。なんでここに!?」

「キメラ?それって合成生物のあれか?」

「そう。あれだよ。やばいよ、私と相性が悪い魔物だよ。魔法耐性が高く、動きが素早い。まさに魔法使いにとっての天敵。」

「え、それってやばくないか?」

「やばくなきゃ焦ってないよ。キメラからは逃げられない。背中を向けた瞬間に背中を切り刻まれるよ…。」

「ならどうすれば…」

「倒すしかない。詠唱して魔法の威力上げるからその間私を守ってくれる?」

「任せてくれ!俺の命に替えても守るよ!」


フィリアは俺の命の恩人だ。絶対に守ってみせる。それに、俺の初恋の相手だ。惚れた女の一人くらい守れずして何が男だ。こうして、己を奮い立たせ、キメラと対峙した。

キメラは獣の顔にグリフォンの翼、そして、大蛇の尻尾を持っていた。現状の自分では歯が立たない相手だが、時間くらいは稼いでみせる。


「行くぞ!」


俺はキメラに己の武器である太刀をきり刻もうとした。しかし。キメラは強靭な爪で俺の剣ごと俺をぶっ飛ばした。


「ぐっっ…」


なんとか草がクッションになって助かったものの、いずれは致命傷を負ってしまうかもしれない。俺からは仕掛けず、ここは動き回って注意を引きつけるべきだ。そして、俺はそこら辺に落ちている木の種を拾いあげた。


「考えついていた「促進」の使い道がこんな風になるとはな…。」


俺は種をキメラに向かって投げつけた。そして、

種の「成長」を促進させた。つまり、種は丈夫な木になり、キメラの動きを一時的に留めることに成功した。すると、フィリアの声が聞こえてきた。


「ナイス晴矢!詠唱完了したよ!

「ボルガノン!!」


そう唱えると紅蓮の火球がキメラに襲いかかる。

俺を助けてくれた時に見たものよりも遥かに高威力だった。


「やったかな?」

とフィリアが息を切らしながら言った。

「それフラグなんじゃ…」

「フラグ?なにそれ?」


煙が消え、そこには黒焦げてはいたが、まだ生きているキメラがいた。


「こういうことをフラグって言うんだよ!」

「なるほど…やばいね。」

「もう一度詠唱頼むよ!できる限り時間稼ぐから!」

「ごめん、もう昨日、今日で魔力があまりないの…。もう初級魔法くらいしか撃てない。」

「…ちょっといい?」

そう言って俺はフィリアに向かって手を翳した。


「譲渡!」


俺の魔力をフィリアに全て分け与えた。


「これで、撃てるかい?」

「うん、いける!」


これで希望が見えてきた。だが、問題は残りの魔力をフィリアに与えてしまったので今から生身でキメラと対峙しなければならない。胴体に一撃でも貰ったら促アウト。だが、俺は引くわけにはいかない。フィリアを、守らなければならないからだ。俺は剣を構えた。キメラの爪が俺に襲いかかる。それを間一髪で剣で受ける。


「生半可な剣じゃ折れていただろうな。買っといてよかったぜ。」


キメラの二撃目が来た。これは早すぎたので緊急回避した。しかし、右肩に掠ったようで、痛々しい爪のあとが残った。キメラは俺が怯んだすきを見逃さなかった。尻尾ををムチのようにしならせ、俺をぶっ飛ばした。俺は木の幹に思いっきりぶつけられた。恐らく骨の何本かは逝っているだろう。だが、フィリアの詠唱が終わっていないので、俺は力を振り絞り、残った左手で剣を構え直した。キメラは咆哮をあげた。俺を怯まそうとしたのだろう。しかし、


「俺にも譲れないもんがあるんだよ!!」


俺も気合いで耐え抜いた。そして、キメラの爪が振り下ろされた。それを俺が剣で受け止めた。

が、やはり威力に負けて、吹っ飛ばされた。

それと同時にフィリアや詠唱がら終わった。


「晴矢、ごめんね…。これで終わらせるから!」


そして、キメラに先程とは違う魔法を打ち込んだ。


「私が使える最高の魔法!

「バニッシュメントフレア!!!」


先ほどのボルガノンが可愛く見える程の威力の魔法が円を描いてキメラに襲いかかる。


「倒れて…。」


しかし、フィリアの願いは届かなかった,

キメラは瀕死の状態で生きていたのだ。


「もう打つ手がねえ…。くそっ。」

「ごめん、私の実力が足りなかった…」

「いや、フィリアのせいじゃないよ…。俺がもっと強ければ良かったんだ。」


そして、キメラが瀕死の体を引きずり、ゆっくりとこちらにやってきた。

もう終わりかと思ったとき、女性の声が聞こえた。


「お前らここで何してんだ?」

「キメラに襲われたんだ!逃げてくれ!できればこの女の子も連れて。」


これ以上犠牲者を増やしたくないんだ!犠牲者は俺だけで十分だ!


「キメラ?よく分からんが人様の庭荒らしてんじゃねえぞ!」


そう言ってその女性は腰から剣を抜き出し、一太刀でキメラを文字どうり一刀両断した。

半分になったキメラはその場で豪快な音ともに地に伏した。


「お前怪我酷すぎ。しょうがねえから一旦うち来い。」


こうして、俺たちは助かった。命を救われるのは二回目だな…。















また前回の投稿から時間が空いてしまいました。

今回は戦闘回でしたが上手くかけたか心配です。

こんなのを書きたいなっていうのは決まっているのですが、忙しくてなかなか投稿できません。

ペースは遅いですが自分の書きたいものを投稿していけたらなと思います。

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