新たな固有魔法
とある男が女に話しかける。
「久しいな、シャリア。半年ぶりくらいか?」
「もうそんなに経つのか、お前に用があったんだ。来てくれてよかった。」
「にしてもわしを呼ぶのに弟子に嘘をついてまで戦わせようとする意味があったのか?」
「こいつには実戦経験を積ませたかったんだよ」
そう言って視線の先には気絶してる加藤晴也の姿があった。何とも無様である。
「この小僧はわしに変身を解かせたからな。見込みはあるぞい。」
「ああ、戦闘のセンスはあるからな、鍛えがいがかるさ。」
「冠魔法については話してないのか?」
「ああ、教えるにしてももっと後で教えるつもりだったが、実際見せちまったんなら仕方ねえな。こいつ起きるの待つか。」
この会話をしてから1時間ほどして俺は目が覚めた。2人の人間がそばに居るようだ。声が聞こえてきた。
「お?やっと起きたかノロマめ。」
口が悪いのが特徴とも言える俺の師匠が声をかけてきた。
「すまん、手加減したつもりだったのじゃが、ちとやりすぎたわい。」
姿は若いのに年老い他喋り方をしているのが俺が倒せと言われた魔獣の王 (仮)である。
「まあいいや。ご苦労さん。こいつ連れてきてくれてありがとな。」
「やっぱ、俺を騙してたんですか…。」
「細かいことは気にすんな。」
「もう慣れましたよ…慣れたくないけど…。」
俺もうこの師匠やだ!常識人がよかった…。
「そう言えばわしの名前言っとらんかったのう、
アルドス=マークフィンガー、という、アルドスと読んで構わん。」
「俺は加藤晴也だ、晴也で結構だ。」
「変わった名だのう?もしや異世界から召喚でもされたか?」
「異世界についてなぜ知ってるんだ?」
「昔にもな、召喚はされてたんじゃよ。わしは見たことはないが聞いたことはあったのでな。」
ふむ、勇者召喚以外にも召喚はあるのかもしれないな。少し調べたい気持ちもするが今は修行だな。
「そう言えば冠魔法ってなんだ?さっきアルドスが使ってたよな?」
「それは私が説明しよう。いつかはしなきゃと思っていたからな。冠魔法ってのは、言わばその系統の最強クラスの固有魔法ってことだ。最初から冠魔法ってのは発現しない。その固有魔法を使い続け、一定の修練を積んでようやく発現するんだ。アルドスの場合は風系統の確か「暴風」とかいうの固有魔法を使い続けた結果があの冠魔法「暴風の王」だ。」
「な、なるほど。それって師匠も使えるんですか?」
「まあ、わざわざ人に言うことでもないから言ってなかったが使える。冠魔法「重力の王」ってやつだな。」
「すげぇ!俺も使えるようになりたいです!」
「いや、お前の固有魔法「促進」だろ?自然界の現象や物理法則とかに関係したものじゃなきゃ王冠魔法にはならねえよ。」
「大丈夫ですよ。俺のスキルに固有魔法の自動発現ってのがあるんですよ。これならいつかは覚えられますよね?」
「あ?お前のスキルとか初耳なんだけど、てか固有魔法発現とかどんなスキルだよ!レアすぎんぞお前。ちょっと確認してぇからこのカードに魔力込めてみろ。」
そう言って手渡されたカードに魔力を込める。
すると、ステータスと固有魔法、固有スキルが
カードに記載されていく。
「見せてみろ。」
そう言って俺が内容を見る前に取られてしまった。正直俺が最初に見たかったのになー。
「ほんとだ、固有魔法が4つもあんじゃねえか!?」
「え?4つ?」
最後に見た時は「促進」と「譲渡」の2つだけだったはずだが。
返されたカードを見て驚いた。
職業:勇者
力:s 500
耐久:s 800
速度:sss 2100
魔力:ss 1200
固有魔法
「促進」
「譲渡」
「耐性」
「収束」
固有スキル
「魔法自動発現」
「気絶耐性」
前回に比べて、説明書きなどはないが、ステータスの数値が表れているのは嬉しいところだ。
それよりも新たに発現した、「耐性」と「収束」が気になる。固有スキルに耐性があることから
「耐性」はスキルを追記する魔法のようだ。
よく気絶してるからスキルにまで反映されたようだ。
「収束」に至っては分からない。
「確かにこれなら冠魔法覚えられるかもな。でもお前4つも発現してんのに冠魔法になれるのひとつもないぞ。」
「まじですか…それでも使える魔法が増えるのは嬉しいです。」
こんな感じで固有魔法が2つも発現してることが分かった。
主人公に新しい固有魔法がでました!「耐性」はどちらかと言うとスキルよりですけど、受けたことのある攻撃や状態に対して効果を発揮します。
「収束」はいずれ、使い方などを戦闘などで書けたらいいなと思います。