LV ?? とあるスパイ
ワタシが抱えてる最大の懸案事項は、他でもなくフレイ・シーフォの処断だ。
しかし、残念ながら、かの娘を潰す手立てがはいまの所見つからない。
「ねぇアグリアス? 貴女はいつになったらフレイ・シーフォを学院から排除してくれるのかしら」
テオドア様は、憂鬱な面差しでおのれの爪を眺めながら、呟くように言った。
ワタシは茶を淹れたカップをすべらせたが、テオドア様の目の前に置いたカップを見向きもしないで続ける。
「ワタクシはそう命じたはずよね? いったいどれだけワタクシを待たせるつもりなの。それとも、命じたことを忘れてしまった?」
「そのようなことはございません」
言い逃れは許さぬという強い口調に、ワタシは即座に否定をした。
「テオドア様から命じられたことを忘れるなど、あるはずがございません」
「なら何故どこの馬の骨だかしらない小娘が、のこのこと新年会に顔を出して、シャナン様の隣で婚約者面をして収まることができて? おかげで、ワタクシは大恥をかいたわ。……ねぇ、この不始末はどうしてくれるの?」
「ワタシも忸怩たる思いでございます。あんな娘よりも、テオドア様こそ勇者の婚約者として相応しいことは明白……しかし、フレイ・シーフォは、女王陛下やクリスティーナ王女とも懇意にしており、迂闊に手出しのできぬ相手でして――」
「言い訳はもうたくさんだわ」
「…………」
テオドア様は酷薄さを増した目で、ぴしゃりと言い放った。
「あんな小娘ひとり相手になにをグズグズしてるの。理由はなんでもいいから、サッサと学院から放逐しなさい。あんな汚れた血の娘と、同じ教室で、同じクラスで息をしてるなんて、考えただけでも虫唾が走る……その上、お兄様まであんなのを妾にするだのなんだのって騒いで。ほんとにどうかしてるわ」
「左様でございましょう。しかし、良き結果をご報告するには、いましばらくのお時間と我慢を頂きたく」
「……そう。けど、あんまりにも待たせないでくださる。結果いかんによっては、貴女が我が家に居られるか如何かの瀬戸際だと思ってなさいね」
テオドア様はにべなくそう告げると、野良犬を追っ払うように軽く手を払った。それにワタシは丁寧にお辞儀をして、サロンから出た。
ワタシは、サロン内の空々しい長閑さに背を向け、寒さの増してきた廊下にひとり佇み親指の爪を噛む。子供っぽいくせだが思考を働かす時、ついやってしまう。とくにこうして、手痛い失敗をした時には。
ワタシはルクレール家に仕える侍女だ。
しかし、ワタシに与えられた任務は、他の侍女たちよりもより高度な次元にある。
身の回りのこまごまとした雑事は元より、身辺警護にならび学院にまつわる情報収集も受け持っている。
つまるところ――スパイだ。
「たかが、子供にスパイをつけるか?」と笑うものがいるだろう。
だが、どのような名君でも、子供時代に受けたトラウマが後にどのような形で尾を引くことになるか。それはだれにもわからない。
放っておけばボヤになり、いずれは大火となってその身を焼きかねない。
いらぬつまづきを起こさず、無用な傷を未然に防ぐこと。そしてカウンターとして、相手に決して消えぬトラウマを植えつけることも厭わない。
華やかりし表舞台が宮廷だとしたら、我らは裏でひっそりと咲く毒の華。
我らは裏から糸を引く存在……。
ワタシにご当主から与えられた最終目標は、テオドア様とシャナン・ローウェルとを結び付け、ジョシュア様とクリスティーナ王女との成婚と一挙両得を狙っているのだが……いまの所、どちらも芳しくない結果に終わっている。
テオドア様を操舵するのは、とにもかくにもタイヘンなのだ。
幼い頃から名家の出として、どこへ出ても優遇をされ不自由を強いられた例もなければ、自分が優遇されるのは当然と思ってる節すらある。
なのに、侍女風情のフレイ・シーフォは常に歯向かうことを止めず、主の勇者も自分を無視して悪びれない。
そんな冷たい怒りを宥めるべく「押してダメならば、引くのも手ですよ」と、勇者との接触を断つよう進言したのだが、イライラが収まる所か余計に悪化してる。
……まさか、勇者に本気で惚れたのだろうか?
連綿と続く名家の出自であっても――いや、故に「勇者の血」に魅いられるのだろう。
時代が移ろうにつれ、自分たちが信じてきた権威が失墜して、民衆たちは新たに生まれた「勇者」に熱狂をする。
翻って自分たちは、と振り返るやに、古臭い栄光にすがるよりほかはない。どうする?と、その置かれた立場に焦燥を募らせた貴族らにとって「勇者の血」とは、雲間に差し込むひと筋の光明と見えるのだろう。
それを手にすれば、とうに意味を失くした威厳と権威が復活をして、自分が居座る地位が安泰だ。と、安心を得るために。
くだらない話しだ。
そのような、物質ですらない物に頼るよりも、我々のような”スパイ”をもっともっと使役して、安全を確保すればよいだろうに。
「アグリアス様――テオドア様の言いつけは?」
しばらく黙考してると、廊下の暗がりからぬっと陰のように”部下”が現れ出でた。彼女はかしづくように頭を垂れている。
「察しはつくでしょう。フレイ・シーフォを放逐せよとの仰せだ」
「左様で……しかし、いったいどのようにしてあの女を陥れることができますでしょう。我らの企てはきゃつにことごとく跳ね除けられ、致命傷になりうるような醜聞などもございません。むしろ、寮生を筆頭に周りの人心すら掌握しつつあります……迂闊に手出しをしても反撃される恐れが……」
「それをどうにかするのが我々だ。使えぬ物は切って捨てられるだけですよ?」
「…………」
そう自分で言っておきながら、押し付けられた抱えた難題に途方にくれた。が、これが自分の仕事だ。と、そう強く鼓舞する。
そうせねば、やってられやしない。
「もう春も間近だ。卒業を控えたジョシュア様が、王女との婚姻を結ぶこれがラストチャンスといっていいだろう。そちらに全力をあげて取り組み、フレイ・シーフォの処断はその後に…………どうした?」
ワタシは急に落ち着きの失くした部下を問い詰めると、動揺した素振りで、
「いえ……実は、申し上げにくいことですが……その、ジョシュア様が、先ほどクリス王女に叱責を受けまして」
「なに?!」
「……学院は遊び場ではなく、おのれを高める学び舎である。と、それが、最上級生ともあろうものが、下級生のクラスに入り浸るのは、その、三侯爵の家の者として、如何と強い口調で……この姫様の突然の代わりぶりは、前日、姫様との接触をしたフレイ・シーフォの手引きによるかと――」
「糞ッ! ことごとく我らの邪魔をしおってっ!」
苛立ち紛れに噛んだ爪をプッと吐き捨てたら、部下は縋るような目をして「ど、如何しましょう?」と、途方に暮れていた。
矢面に立つのはワタシなんだぞ! と、のど元にこみ上げてきた怒りを抑え、小さくかぶりを振った。
「仕方ない。ジョシュア様には、なんとか姫様を懐柔するべく謝罪のお手紙を出させよ。……もはや望みは断たれたようなものだが、後は野となれ山となれ。だ……貴女は姫様を監視して、少しでも機嫌を治す方法を探りなさい」
「御意」
部下に向けて顎をしゃくると、彼女は現れた時と同じく静かに消えた。
「……フレイ・シーフォめ。つくづく腹の立つ女だ」
フレイ・シーフォ。
――この忌まわしき名は、学院に入学したその日から、我らの敵として心に刻まれた。
それは、ただ「豚」呼ばわりして生まれた、いわば難癖の因縁だ。
しかし、思えばこの対立は避けられぬものだったろう。
掲示板の前に、伏し目がちに佇ずんでいたフレイ・シーフォは、それこそ貴族のお株を奪う程の美しさで、通りすがる男子たちは、そのクールな表情に見惚れて、思わず後ろにして振り返っていくほど。これに人一倍嫉妬心の強いテオドア様が、ヤツのことを気にいるはずもない。
しかし、ワタシも迂闊だった。
ヤツの背後を確かめず「侍女風情など簡単に退学だ」と、侮っていたなんて。
自分の甘さが腹立たしい。
ヤツは「ただの田舎者の侍女」なんかではない。女王陛下ならびに勇者に送り込まれた”二重スパイ”なのだ!
その証拠に、我らがテオドア様と勇者との仲を取り持とうとも、横からしゃしゃり出て邪魔をする。ジョシュア様とクリス王女との仲を取り持とうとも、またもしゃしゃり出て邪魔をする。
疫病神かと、ワタシも怒りに震えたが、女王陛下の意を組んでの行動であると考えれば、ストンと腑におちるだろう。
……しかし、ヤツが現れてから、たった一年。たった一年の間にこの国の大物たちをもたらしこみ、クリス王女の将来のクィーンガードとも目されているのだ!
もはや、小賢しいというレベルで収まらぬ傑物よ。
「……惜しむらくはレオナールの一件だ。せっかく我々がフレイ・シーフォを追いこむ策を伝授してやったのに無下に潰されたせいで……!」
レオナール・ローゼンバッハ。
辺境伯のバカ息子。
フレイ・シーフォにかすてらの一件で絡み、無様にも論破されたが、なにを隠そうヤツをけしかけたのはワタシだ。
といっても、あんな頭の軽い輩なんて、耳元で「陛下専属の料理人に任ぜられた」と、囁いただけで「ローゼンバッハ家には見返りもないのに、何故ローウェル家だけ厚遇されるのだっ!」と、見当違いな嫉妬心に駆られて絡んでいった。
……まったく、情報戦というのをわかってない。まさか、与えてやったカードで嬉しそうに正面切って、相手を非難するなど最悪だ。
こういう時には、自分が黙っていれば「フレイ・シーフォがかすてらで女王陛下に取り立てられた」そう平然としてるだけで、嫉妬心に煽られた貴族が、ある事ないことを吹聴するだろうに。
……そうなれば、ただでさえ学院での居場所がなかったヤツを追い詰め……自殺にみせかけて消すこともできたのだが……。
「……いずれにしろフレイ・シーフォの動向を探らねば――」
「あ、アグリアス様っ!」
侍従用の食堂から、さっきの部下が仲間とともに、青い顔をして飛び出してきた。
「……どうしたの、いったいなにを」
「ふ、フレイ・シーフォです、や、ヤツは人の皮をかぶった悪魔です!」
「落ち着きなさい!」
この部下たちの狼狽ぶりが人目を引いていて、ひしっと肩を掴んで隅っこへと避ける。いったいなにをそんなに怯えてるのだ?
「そ、それが、フレイ・シーフォのヤツが、いきなり観光客を、と言いだして」
「――観光客!? それは確かか?」
「ハイ。この耳でしっかり。ヤツは自分が暮らす村で、観光客を集めることに尽力してる。そう言っておりました」
「観光客を集める、だと?」
……いったい、どういうことだ?
そんな重大な機密事項にあたる話しを、なぜ聞き耳を立てるような食堂でするなんて。
”観光客”とは、我々のスパイ内で使う隠喩。
我ら”スパイ”を差す言葉だ。
上層部にあっては「観光客をどこに差し向けるか」と、用いて話すほど一般的であり、フレイ・シーフォも同じ意味合いで使ってることだろう。
トーマス・ラザイエフも、勇者の忠実なスパイとしてその身を粉にして働いているが、おそらく、フレイ・シーフォもトーマスに師事して、スパイ養成されたともっぱらの噂だ。
……まさか勇者ローウェルが勢力を拡大すべく、スパイを募集する算段をしていたというのか?
「違います! ヤツの目的は敵対するスパイを――村で惨殺するつもりです!」
「……それは確かか?」
「ハイ。真実の口で腕を斬るだの、魔物ぱーく構想だのと、恐ろしい拷問手法を語ってました……それも、嬉々とした表情で。魔物と戯れる癒しの空間だの、熱湯にひたって極楽だのとうそぶいて、わ、我らスパイを村に押し込みいたぶる計画を語っているのです!」
「落ち着きなさい。そんな脅しに狼狽え――」
「あれは脅しなどではございません!?」
と、部下はカチカチ、と歯を鳴らして震えながら叫んだ。
「いつも無表情なのに、拷問を語る時には、嗜虐に満ちた笑みを浮かべて……まるで拷問する様を、想像して楽しんでいた。あの自己陶酔しきった目は、サイコパスです!」
「あぁ、我らが震えてた時、ヤツと目がピタってあったんです! その時――ニヤッと、嗜虐に満ちた目でこっちを……あ、あぁ!? あ、アレは、人間なんかじゃない! ひ、人の皮をかぶった悪魔です!?」
……悪魔、か。
我々は無慈悲な敵と相対してるのならば、なおさら逃げるワケにもいかない。
ルクレール家に仇名すものはすべからく排除せねば。
「そんなの無理です!?」
「シッ、声がデカイぞ。そんな怯える相手ではなく、ひとりの侍女に過ぎぬ!」
「アグリアス様は、お強いからそう言ってられるのです! わ、わたしたちは普通の侍女に過ぎないのですよ!?」
「そうです! こんな陰謀に付き合わされるなんてまっぴらですわ!」
「……貴様ら裏切るつもりかっ!」
と、部下たちを凄んでみせたが、彼女たちは怯えながらも「そんなの知りません!」と、ひとりがポツリと叫ぶとその怒りが伝播したように、部下たちがワタシを睨みつけてきた。……なんだ、その態度は。ワタシは、オマエたちの仲間なんだぞ!
「そうか。なら勝手にしろ! このことはしかとテオドア様に報告するからな」
「構いませんとも、死ぬよりマシですからね!」
「待て!」と、ワタシが追いすがったのだが、部下たちは振り向きもせずに逃げていった。
……クソッ、使えない連中だ。
あんな薄情な者たちを一瞬でも仲間だ、と思った自分がバカのようだ。
だが、連中が真実を語っているなら、やはりフレイ・シーフォはルクレール家にとって、脅威だ。ヤツを消すには刺し違える覚悟で、当たるしかない。
しかし、ワタシに勝てるだろうか? 相手はほとんど一流の騎士と遜色ない力なのに。だが、やるしか――
「――もう、殺気がだだ漏れですよぉ? 気を付けないと正体が見透かされちゃいますよ。アグリアスさん?」
「っ!?」
だれだっ!
と、振り返るやに見えた、金髪のショートカットに、雑踏に混ぜこめばすぐだれとわからなくなるような地味顔――
「……アルマ・ティンジェル!」
「ふふっ、ご名答ですぅ」
ワタシが憎しみを込めて叫ぶと、アルマは地味顔に貼りつけた笑顔を深めた。
……クッ、こんな接近を許すとは、油断した!
「貴女ってば、昔から変わりませんですね。ひとつの事に集中したら他が目に入らない。そういう癖は命取りになるって、身をもって教えてあげたのにちっとも身についてないですね~」
「余計なお世話だ!」
「部下ちゃんたちに見捨てられたからって、短気は損気ですよぉ。こんな廊下で騒がしくしてたら、わたしも同業者として迷惑です。貴女がスパイだってバレちゃったら、わたしも活動しづらくなりますからね~」
……やはり、最初っから覗いていたか。抜け目ない女だ。
こいつは、アルマ・ティンジェルは、こんな地味顔をしてるが、クリス王女つきの――スパイだ。ワタシたちは互いに、幼い頃からしのぎを削ってきた間柄で、いわばライバルだった。
こんな、のほほんとした風情だが、姫様に近寄るスパイを根こそぎ、潰して回る程の実力で、何人ものスパイを再起不能にまで追い込むなど、その中身は恐ろしいまでに冷淡にして無慈悲だ。ワタシも、なんど煮え湯を飲まされたことか。
「うふふっ、貴女たちは、フレイ様に害をなそうとしてらっしゃるんですねぇ。そーいう血なまぐさいこと、お止めくださいね。フレイ様は貴女が思ってるような方じゃないですよ~。ちょっと、ユニークなだけの可愛い女の子ですからね。いじめたらメッ! です」
「誤魔化そうとしても無駄だ! 村に観光客を招く計画だのなんだのと、先ほど部下たちから報告を受けたぞ」
「……もう、相変わらずアグちゃんは早とちりさんですね~」
「気持ち悪いニックネームをつけるな!?」
殴る素振りをしてそう叫ぶと、アルマはにゅるりと頬を緩ませて、やれやれ、と首を振った……クッ、こいつと話してると一々に調子が狂う。
「アグちゃんも自らが仰ぐ主を間違えていては、わたしには一生勝てませんよぉ。もはや、ルクレール家には先を見越す頭も、この混乱する王都の政治をも鎮めることはできない。気位の高い高~い家柄とともに潰れゆくだけ」
「……うるっさいわ! 頭の軽いフリを装いやがって、そんな知恵の足らぬ女みたいな喋り方は止めろ! 貴様に、貴様こそクィーンガードの地位をフレイ・シーフォにかっさらわれたマヌケ――」
「――わたしがフレイ様に劣っているとでも?」
「っ!?」
ワタシは、息を呑んだ。
ただ、アルマは、浮かべていた笑みを少し深めただけなのに、アルマの姿が急激にデカくなったように感じた。背筋にヘビが伝ったかのように怖気が走り、指どころか心の奥底からも、震えてきた。
……な、なんだ、この恐ろしい眼は。さっきまでのアルマとは、まとってる空気や雰囲気も、まるで別人格に入れ替わったかのよう。
ワ、ワタシは、こんな、こんな恐ろしい女を相手にして――。
「な~んてね。冗談ですよぉ? わたしとフレイ様はそんな邪推されるような関係じゃありませんし、クィーンガードを決めるだなんて、時期尚早に過ぎますよ……まぁ、ワタシの私見をいえば、そのお役目は、フレイ様が適任だと思いますがね。ていうか、そんなアルマのことを震えて怖がるなんて、傷ついちゃいます~」
「…………」
そう、おどけた風に口元を隠して笑うと、アルマはまとっていた雰囲気が、しゅんとしぼんでいった。そして、アルマは歩いていこうとしてる。
ワタシに背を向けたままに。
――だが、ワタシは、怯えたままに拳を握ることしかできない。ワタシには、もうわかっていた。
……この化け物はワタシ如きが、相手にできる獣ではない。こいつと対等に渡り合えるのはそれこそフレイ・シーフォしか、いない。
身をすくめたままのワタシに、アルマは思い出したかのように立ち止り「あ、大事なことを言うのを、忘れてました」と、指を立てた。
「今後は、フレイ様に手を出すような算段は控えてくださいませね。彼女はもう、その意思がどうあろうとも、姫様と女王陛下の共有財産です。それに、ワタシとフレイ様は、大事な大事なフレンズ、なのですからね?」
と、アルマは元の地味顔に戻って「じゃあね」と、言い捨てて廊下を去って行った。




