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P ある手記/ラストページ
戦いの趨勢、否、勝敗はすでに決した。
奴らの軍勢は強く、我々に残された力はもうない。
結局、我らには滅びの宿命を超えることはできなかった。
全ては最高司令である私の無力によるものである。
無念だ。死力を尽くしてくれたものたちには詫びの言葉もない。
だが、これで終わりではない。
たとえ滅びが神の意志であろうとも、人類はどこまでも抗い続けると確信している。
例えそれがどれほど困難で細い道であったとしても。
既に、戦闘が想定された最悪の最終局面に入った時点で最終プランは実行に移されている。
私たちの担当は全てが予定された形で完遂された。
最大の要となる時穿剣も所定の効果を発揮した。
盟友達も、全てとはいかずとも、可能な限りを行ってくれていることだろう。
……もはや無意味とはいえ、礎となった彼らの尊い献身に改めて敬意を払わずにはいられない。
最後に、私も微力ながら後世へと力を託そうと思う。
願わくは、僅かでも人類復興に役立たんことを。
-人類最後にして最愚の皇帝 マルクトア=Z=レインハルト-