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俺は無段のかるた選手だったが、何年もクイーン候補の幼なじみとの練習に付き合ってたら、いつの間にか有段者相手に無双するどころか名人級の選手になっていた  作者: かるたー
俺は無段のかるた選手。初出場した高校選手権で無双して、無敵の現役女子高生クイーンにも勝利してしまう
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高校選手権個人戦までの練習の日々(上)

 ところ変わって大阪。最近の夏はとても暑い。

 特に光輝(みつき)結姫(ゆき)の住む場所は京都と大阪の中間地点ぐらいで暑さがこもる地形らしく、日本でも屈指の暑さとなる。年によっては一時的に日本で最も気温が高い日もあることも。

 6月になると、光輝の通う翔国高校も衣替えをし、半そでのシャツを基調とした夏服に。正直、光輝は冷房が苦手なため、夏でも室内では長袖で過ごしたいタイプなのだが、外となると別だ。6月も後半になると蒸し暑く、外を歩いてると汗ばむ気候だ。

 そして、7月に入ると気温も30度を越えてきて、日差しもきつく、汗も滴り落ちてくる。夏本番になると、まるでRPGゲームで毒ステータスにかかって、歩いてるだけでHPを減らされる感覚になる。

 特段、暑さに弱いわけではないが、ただ歩いてるだけで疲れるこの季節は光輝はすすんで外出せずに家の中でひたすらゲームをして過ごしたい季節なのである。

 ただ、そんな時期でもかささぎ橋のかるた会への参加は欠かさない。花山家の離れの町家のような邸宅に到着し、玄関を開けると夏の熱気が充満した空気が迎えてくれた。その熱気にやられ、


「あっつ…………」


 と、思わず漏らす。そして、靴を脱ぎ(ちゃんと並べる)、一段上がった先の板の間へ上がる。少し進み、広間につながる襖の前に座り込み、思考停止のように手慣れた動きで襖に手をかける。


「え!? みーくん!? ちょ、ちょっと待ってっ!」


 暑さで頭が回らなかったのだろう。光輝は襖の奥のなにやら慌てた様子の結姫の声を聞きとれずにそのままスーッと襖を開ける。

 そして、襖を開いた先の広間にはゆき(ねえ)こと花山結姫。

 Tシャツを一枚着て、ちらりと見える水色の下着。そして足元には脱ぎかけたデニムのパンツが両足でひっかかった状態で……

 かるたやってるとわかるものだが、人間って意外と咄嗟の出来事にも頭の中では冷静にしゃべれるんだなと思うことがある。ただ、体はどうしたらいいのか? と対応できない。暗記は入ってるのにいざというときに出札に反応しないように。


「ちょ、ちょっ、ちょっ、ちょ!! 一旦、閉めて―!!」


 ほぼTシャツスカート状態の結姫が赤面しながら、悲鳴にも似たような声をあげて光輝はようやく我に帰る。


「お、おぅ…………」


 そして、スチャッと襖を閉める。襖の奥でゆき姉がいそいそと着替える音が聞こえてきて、初めて結姫の下着姿を見た罪悪感に苛まれる。そして、しばらく冷静になり、


(なんで、ゆき姉はここで着替えてんだ?)


 そう。本来は別の収納スペースのような部屋で着替えることになっている。なのに広間で堂々と着替えてるゆき姉が悪いと光輝は自分の行動を正当化した。


(そっか。ゆき姉はあんな下着つけてるんだな)


 光輝も健全たる男子高校生。そういう思考に耽るのは致し方ない。なにせ、男子校に通ってる身で年頃の女の子の下着など、パソコンやスマホの画面越しでしか見たことがなかった。


(すると、上の方はあんな感じか…………)


 先ほど見た結姫のパンツ、Tシャツ越しで見えなかったが、ブラジャーも同じ水色でレースのついたデザインかなー、いや、ゆき姉の胸の大きさだと、色気のないスポーツブラとか? などと考えてると、


「…………お、お待たせしました」


 赤面し、わなわなと震えつつも仁王立ちしながら、ジャージとTシャツにしっかりと着替え終えた結姫が襖を自らスーッと開けた。


「は、はい」


 どこか迫力のある結姫に促されて、光輝はおとなしく広間に入ろうとするが、なんとなく立ち上がれなかったので、正座したまま握りこぶしを膝前横あたりの広間の畳につけ、前へ躙って広間に入った。理由は男の子だからだ。

 しばらく、なにかが落ち着くと、光輝は上着だけ着替えるためにちゃんと更衣用のスペースである部屋で着替えてきた。そして、なぜか正座して待っている結姫の前に相対するように光輝も座り込む。


「…………」


「…………」


 二人して向かい合いながら、しばらく沈黙が続く。お互い事故に遭ったようなものだ。しかし、どちらが悪いかと言えば、結姫だろうと思い立った光輝が先に口を開いた。


「ゆき姉、なんで、ここで着替えてたの?」


「だ、だってぇ…………収納部屋、暑いじゃない。だから、空調効いてるこの広間でサッと着替えちゃおうと思ってね。えへ♪」


「『えへ♪』じゃねーよ」


 結姫が広間で着替えた理由を聞いて、頭を抱える光輝。

 ただ、確かにあの収納スペースはこの時期はめちゃくちゃ暑い。基本的に荷物用のスペースなので、普段は締め切っているため、すごいム~っとしている。

 特に女性の場合は化粧や汗くさいのを気にしたりするだろうし、その辺は大変なんだろう。光輝もその心境は慮った。


「ゆき姉、アンタなぁ……一応、この会の代表なんだから、そういうところは弁えてくれよな」


「は、はい……」


 珍しく光輝に諫められ、素直に頷くしかない結姫。


「でもぉ……私、みーくんに裸や下着姿見られても平気かなーと思ってたんだけど、やっぱり恥ずかしいね」


「まったく、無防備すぎるんだよ」


 結姫は少しもじもじしながら言うものの、光輝は呆れたような口調で言い捨てる。


「俺だったから、よかったけど、ヤリサーにいるようなチャラ男だったら、どうなってたことか……」


「ごめんね、これからは気を付けるわ」


 その光輝のやや呆れたような怒ったような本気で心配する様子を見て、結姫はしゅんとしたトーンで言う。

 その結姫の姿を見て、毒気を抜かれた光輝は「やれやれ……」と言い放って、とりあえず、この話はおしまいといった空気をつくった。

 すると、玄関の方からガラガラとドアが開く音がし、何人かの子どもたちが入ってきた。子どもたちがいつもの広間の前で挨拶をしてから、広間へ足を踏み入れると、男の子がこんなことを言う。


「ねー、ゆきねーちゃん。今日、暑いからここで着替えていい?」


「ダメよ! ちゃんと、あっちの収納部屋で着替えなさい!」


 結姫が少しきつめの口調で言うと、男の子は「ちえー」と言いながらも更衣室である収納部屋の方へ向かっていった。


「どの口が言ってんだか」


「う、うるさいわね!」


 少し日が傾いて、気温も落ち着いてきたころにかささぎ橋かるた会の練習開始。

 選手として本格的に復帰というか活動をはじめた光輝。自分の練習もしたいところだが、そこはそれまでと変わらず、木曜の練習では小学生の子どもたちの指導にあたっている。

 そして、練習が終われば毎日の日課である結姫との試合も行う。高校選手権の個人戦、総文祭の本番まで1か月を切ったこともあって、段々と目的意識を持って試合を行うことが増えた。

 ちなみにこの前の京都宇治大会でB級の部で優勝し、A級に昇級した光輝だったが、短期間で一気に昇級してしまったため、段位の認定に時間がかかっている状況だ。

 そのため、出場級はAで四段相当だが、未だに無段のままである。

ちなみに現在はエントリーの時点で出場級の認定を受けていない場合は出場できないようです。

自分がやってた時、1月の大会シーズンで一気にC級~A級に昇級して、2月の大会でA級に出場した人いたので、以前ならこういうケースはあったかと思います。

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