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攻略本との出会い


父が亡くなったのは、僕がまだ小学校低学年の頃だった。それ以来、母は仕事で忙しく、僕はほとんど一人で過ごすことが増えた。祖父母は遠く離れた県に住んでいて、頻繁に会うこともない。そんな僕の唯一の友達は、いつしかゲームになっていた。


大学生になった今でも、僕はレトロなファミコンソフトに夢中だった。最新のゲームももちろん面白いけれど、あのピクセルグラフィックとシンプルながらも骨のあるゲームデザインに惹かれるんだ。けれど、昔のゲームはやっぱり難しい。特にヒントが少なくて、どこかで行き詰まることが多い。今まではネットで攻略法を調べていたけれど、今回はなんとなく気が乗らなくて、攻略本を探すことにした。


「どうせ手に入らないだろうけど、まぁ、気分転換だ」


そう思い、近所の古本屋に足を運ぶことにした。案の定、レトロなファミコンソフトの攻略本なんてなかなか見つからない。でも、不思議と諦められなかった。何件も古本屋を回り、やっと見つけた一冊は、予想通りボロボロで、落書きがやたらと多いものだった。


「前の持ち主、きっと小学生だったんだろうな」


本のページをペラペラとめくりながら、そんなことを考えた。攻略不可だったポイントを確認し、ついにそのソフトをクリアした。エンディング画面には「Congratulations」とだけ書かれている、あまりにも簡素な終わり方だった。けれど、どこか満足感があった。


クリア後、ふとその攻略本の落書きが気になって、ページをめくりながら全ての落書きを見ていた。すると、最後のページに名前が書かれているのを発見した。汚い字で、小学生男子が書いたに違いない名前だった。でも、驚いたことに、その名前は僕の父と同姓同名だった。


「まさか、そんな偶然ないだろう…」


一瞬、心の中で父の姿が浮かんだが、すぐにそれを打ち消した。同じ名前の人なんて世の中にいくらでもいる。それに、父はもうこの世にはいないんだ。僕はそれ以上深く考えるのをやめた。


でも、どこか気になって仕方がなかった。


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