晴れて四郎達の結婚式が行われた…後は披露宴と2次会…だがその前に波乱の予感が…。
圭子さん達花嫁が讃美歌のリズムに合わせてしずしずと入って来た。
新婦を待ち受ける俺達はその姿に見とれ、讃美歌の調べが否応にも雰囲気を盛り上げてウルウルとしてしまった。
参列者の中で女性たちは既にみんな目を赤くしてハンカチで鼻を押さえていた。
やがて、花嫁たちが祭壇の所定の場所に立ち、少し俯き加減で立っていた。
讃美歌が止み、司祭姿のノリッピーが挙式開始の宣言をして、聖書を持ち、新郎新婦に指で十字を切りながら歌うような調子で祈りを捧げた。
俺にはラテン語なのかギリシャ語なのかイタリア語なのかさっぱり判らなかったが聞いていると心が落ち着いて来る不思議な祈りの言葉だった。
そしてノリッピーはそれぞれの新郎新婦の前に立ち、例の誓いの言葉を確認してゆく。
健やかなるときも病める時も…
死が2人を分かつまで…
誓いますか?
誓います。
俺は今まで何回か他人の結婚式に呼ばれた事はあるが、こんな神聖に思える場所で誓うと言う事の『重みと覚悟』をずしんと感じた。
世間では最近は不幸な状況に陥って離婚する例が凄く多くなっているが、結婚式の時にこんな誓いを、真心から誓いをしておいて離婚するのは凄い悲劇だと思った。
そして指輪の交換。
ベストマンの俺達は、聖職者のノリッピーに指輪を渡し。
新婦は真鈴達メイドオブオナーに、手袋やブーケーを預けた。
新郎は、聖職者から指輪を受取り、新婦の指にはめ。
新婦は、聖職者から指輪を受取り、新郎の指にはめた。
指輪の交換が済むと新郎新婦はキャンドルを渡され、祭壇中央のユニティーキャンドルに火をつけた。
ノリッピーが俺たち全員に静かに穏やかにしかし良く聞こえる声で語り掛けた。
「さて、今、私は聖職者の権限で古の作法にのっとり、この臨時に設けられた神の家で、この3組の男女の婚姻の儀を執り行いました。
この男女達はお互いに真心の秘跡を授け合い、真実の夫婦となります。
来場された方々の中には『油を注がれたヨシュア』が人間であったこと、果たして大いなる神が遣わされたのかも、そもそもが大いなる神の存在自体に懐疑的な考えを持つ方たちもいると思います。
そして、彼の教えが時代の流れと共に多少変質してしまった悲しい事実も知っておられる事も歪んでしまった彼の教えで人類史に悲惨な出来事を起してしまった事もご存じだと思います。
だが、彼の教えの原点は、彼の真実の教えは、その、空よりも広く、海よりも深い、誰隔てない愛情を、救いを求める者全てを受け入れる愛情を示す事でありました。
限りない慈愛と救いが実在する事を世界に広めるために、人々がそれを実行できることを教え広めるために、彼は常人ではとても耐えられない、人間の限界を遥かに超えた苦難を受け入れその深く広い愛情の思いを成就しました。
この3組の男女は正式なカトリック教徒で無く、懺悔の儀式も行ってません。
しかしながら、平和を愛し、平和を守る為に戦い、罪無き人々を守り、愛情を尊び、そして救いを求める善良な者達です。
カトリック信仰の大元となった『油を注がれたヨシュア』イエスキリストもこの3組の男女達の婚姻を受け入れ、祝福し、大いなる愛情を持って祝福して頂いたと私は確信しております。
今日、この場で、深く広い大いなる愛情を持って苦難を受け入れた偉大な人物、『油を注がれたヨシュア』の名の元に古の作法を持って婚姻がなされました。
皆さまはこの場に立ち会い、愛情を持ってこの3組の男女達を見つめ婚姻の儀の証人となりました。
3組の男女が真心の秘跡を授け合い真実の夫婦になった事を見届けました。
どうぞ皆さまも深い愛情を持って、大いなる慈愛を持ってこの3組の男女の幸せな未来を祈り、見守ってください。
アーメン、この言葉はヘブライの言葉で『まことに』『確かに』『そうありますように』と言う、深い同意を示す言葉です。
どうぞ皆さまはこの時に婚姻の儀を執り行い誠の秘跡を授け合い、真の夫婦となった3組の男女の幸せを願う意味で、そして、深く広い愛情を持たれた『油を注がれたヨシュア』に思いをはせながら、私と共にアーメンと唱えて頂けば幸いです。
アーメン。」
会場全員がノリッピーにアーメンと唱和した。
そしてノリッピーはニヤリとした。
「それではカメラをお持ちの皆さま準備は宜しいですか?
新郎新婦は誓いのキスを。」
四郎達がぎこちなく新婦の前に出てベールを上げるとキスをした。
会場のあちこちから拍手がわき嬌声が聞こえ、じっと立っているベストマンの俺も苦笑いを浮かべてしまった。
「今ここにこの3組の婚姻が成立しました!」
ノリッピーが高らかに宣言した。
再び讃美歌の合唱とオルガンの演奏が始まり、皆の祝福や拍手を受けながら新郎新婦がしずしずと退場した。
実際はダイニングに入って一息入れた後で『ひだまり』に向かうオープンカーに乗りこみ、その時に、あの、ブーケトスが行われるのだ。
新郎新婦を見送った参列者たちは今度はライスシャワーの準備をして玄関で新郎新婦を待ち受けることになっている。
ナナツ―達、スコルピオの女性メンバー何人かが外に出て礼装の軍靴を動きやすい運動靴に履き替えて円陣を組んでいる。
「チキショウ!やっぱり奴らブーケ強奪を狙っているよ。」
いつの間にか俺の横に立っている真鈴達が歯を食いしばりながら唸るように呟いた。
しかし、メイドオブオナーだった真鈴達もドレスの裾をきつくまくり上げ、やはり運動靴に履き替えて膝や肘にプロテクターまでつけていた。
「なんかフォーメーションの練習してるよ!
やっぱりあいつらも高くブーケが上がる情報を手に入れているよ。
どうやらナナツ―を4~5人でリフトするつもりだね。」
「ジンコどうする?
高さじゃアイツらに叶わないですぅ~!」
「待ってジンコ、私達には秘密兵器があるじゃない。」
そう言った真鈴が司と忍を指差した。
ジンコと加奈が顔を見合わせて頷きあった。
「念のために司と忍にヘルメット被せよう。」
真鈴達は司と忍を連れて物陰に消えた。
勿論ユキもついて行く。
何か嫌な予感がしたが、その時鐘楼の鐘が高らかに鳴り始め、四郎達新郎新婦が玄関から出て来た。
皆が歓声を上げた。
ポールがサーベルを抜いて号令をかけると並んだスコルピオの隊員たちが持って来ていたサーベルを抜いて高く掲げ、サーベルアーチを作り、また歓声が上がり、四郎達が笑顔でサーベルアーチの下をライスシャワーを浴びながら潜って待機しているオープンカーに向かった。
歓声を上げてライスシャワーをする者達の中に、どこで手に入れていたのかアメフトのヘルメットを被る司と忍が居た。
なんか…嫌な予感がする…。
続く




