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吸血鬼ですが、何か? 第9部 深淵編  作者: とみなが けい
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『ひだまり』ハロウィーンキャンペーンは終わり、俺達は打ち上げパーティーを開いた…そして狂乱のディスコタイムに…。

俺と喜朗おじとクラ達は笑顔を浮かべて嬌声を上げて走り去る加奈達の後ろ姿を呆れて見送った。


「喜朗おじ…何故彼女たちは…凛まで…車に乗らずに走って行ったんでしょうね…。」


クラがおずおずと尋ねた。


「うん、なんだかな、死霊屋敷に着くまで車を運転したり席に座っているのがもどかしいとか言っていたな…彼女達もある意味で極限状態だったのだろう…死霊が見えるリリーやナナツーや凛達には途中でスケベヲタク死霊が店内で何人か爆発して飛び散るのが見えたり…とんでもない狂騒状態だったからな…まぁ、解放感と言うところだろうな。

 さぁ、俺達は少し運ぶものがあるのだがまだハイエースに乗せる分が俺の部屋に有るんだ、彩斗達、手伝ってくれるか?」


俺とクラはキッチンの清掃をしている四郎やスコルピオの応援男性メンバー達を横目に『ひだまり』の2階の納戸に上がり、何箱かの段ボール箱をハイエースに積み込んだ。

ハイエースの中には結構大きなスピーカーとアンプやレコードのターンプレイヤーなどが乗っていた。


「今日はな、結婚式の2次会にやろうと思ってる催しの実験をしようと思うんだ。

 あそこならどんなに大騒ぎしてもどこからも苦情は来ないからな。」


喜朗おじが俺にウィンクした。

そして手早くキッチンの清掃を済ませた四郎やスコルピオの応援男性メンバー達と車に分乗して死霊屋敷に向かった。


死霊屋敷では何やらはしゃいだ声が外まで聞こえて来た。

ハイエースの荷物をはなちゃんの書斎に運び込む俺達にはしゃいだ声が聞こえてくるどうやらキッチンとダイニングで加奈達が一足早く酒を飲んでいるようだ。


「遅いよ彩斗達!

 一足早く缶ビールで乾杯しちゃったわ!

 料理を暖炉の間に運ぶの手伝ってよ!」


ナチュラルハイの余韻を残して顔が満面の笑顔のまま元に戻らなくなっている真鈴が缶ビール片手に俺達に言うとぐびぐびと缶ビールを一気飲みしてアルミ缶を握り潰し、新たな缶ビールを開けた。

やれやれと思いながらも頑張ってく入れた加奈や真鈴達に感謝しながら、一足早く死霊屋敷に帰った圭子さんが作ってくれたオードブルや、やはりお腹が空いているだろうと大量のお握りやサンドウイッチを乗せたトレイを暖炉の間に運んだ。


加奈達のナチュラルハイが移ったのか、司と忍もニコニコ顔でトレイを押している。

どうやらオードブルやサンドウイッチ、おにぎりを作るのを手伝ったそうで今日は夜更かしオッケーと圭子さんに言われたのも影響しているのだろう。


暖炉の間に持ち込んだテーブルに料理が並び歓声が上がった。

勿論ビールやワインウィスキーなど様々な酒も並んでいる。

まずはビールで乾杯だと言う事で皆がビールを手に持った。

喜朗おじ!店長だから何か言え!との声が飛び、喜朗おじがゴホンと咳払いをして立ち上がって皆が注目した。


「ゴホン…こういう席での演説は得意じゃないが…『ひだまり』ハロウィーンキャンペーンは皆のおかげで大成功だ!

 売り上げも今までの最高売り上げの3倍は越えただろう!

 ボーナスも弾むぞ!

 次はクリスマスだ!

 ワイバーンに幸運を!

 スコルピオに幸運を!

 そして、『ひだまり』にも大いなる幸運を!

 乾杯!」


喜朗おじが缶ビールを掲げると歓声が沸いてみんなが乾杯!と叫び、それぞれ横の者達と缶をぶつけ合って乾杯して一気に飲みほし、打ち上げパーティーが始まった。


もう、それは凄い盛り上がりだった。

皆はワイワイガヤガヤしながら酒もオードブルもサンドウイッチもお握りもどんどん無くなって行った。


「喜朗おじ、なんか予行演習があると言ってなかった?」


俺が尋ねると喜朗おじが自分の額を叩いた。


「おお!あまりにも楽しくて忘れていたぞ!

 彩斗、あのな、結婚式の2次会でディスコパーティをやろうと思うんだよ。

 ガレージの地下の射撃場を少し片づけてな、あそこにスピーカを配置してミラーボールを吊り下げてお立ち台を作ろうと思うんだ。」

「喜朗おじ、それは良いアイディアだね!」

「そうだろう?

 今日はとりあえず俺のコレクションのレコードの中からディスコソングの物を結構持って来たぜ!

 ちょっと待っててくれ!」


喜朗おじとクラがいそいそとはなちゃんの書斎でアンプとスピーカーとレコードプレイヤーを接続している。

皆は何が始まるのか騒ぎながらも興味津々で横目で喜朗おじ達を見ていた。

機材のセッティングが済むと喜朗おじが長髪のズラを被りバンダナを締めて丸いサングラスを掛けた。


俺達はその姿を見てくすくすと忍び笑いをした。

そして喜朗おじとクラは大きなヘッドフォンを首にかけレコードに針を落とした。

聞き慣れないがしかし懐かしい感じの曲が流れ、フッ!ハッ!フッ!ハッ!と聞こえてくるとリリーとスコルピオの応援男性メンバーと明石が歓声を上げた。


「うわ!懐かしいなこれ!」

「ジンギスカンじゃない!私踊れるわよ!

 踊るから皆覚えて!」


明石とリリーとスコルピオの男性メンバーの数人が歓声を上げて前に出て踊り出した。

ずっと冬眠していた四郎を除いて長生きしている悪鬼メンバーにはお馴染みのディスコナンバーのようだ。

皆が足を踏みリズムを取りながら明石とリリーが軽快に踊るのを見つめて踊りを覚えた。


「ああ!私これ知ってるよ!

 学校で運動会の時掛かったよ!」


司が目を輝かせて叫んだ。


そして曲が終わり、もう一度喜朗おじがジンギスカンを掛けて皆が踊り出した。

それからはしっちゃかめっちゃかに楽しいディスコタイムが始まった。

喜朗おじとクラは次々に70年代や80年代にディスコで流行ったと言う曲のレコードをかけ始め、皆が酒を飲みオードブルを摘まみながら嬌声を上げて踊り狂った。

ディスコは延々と続いたが皆は疲れ知らずに踊り狂ったがやがて体力の限界に来た人間からソファに倒れ込んだ。

まず、司と忍が力尽き、明石と圭子さんが抱き上げて自宅に運び、戻って来た。


「あ~!楽しすぎて気が狂いそうよ!ほほほほ!」


圭子さんがそう叫んでまた踊りに加わった。

流石に悪鬼と違い酒を飲んで踊り続けた人間メンバーが次々と力尽きた。

未だに満面の笑顔を顔に貼り付けた真鈴が倒れ、酔っぱらったジンコと加奈と凛が真鈴の身体を揺さぶった。


「真鈴!まだ倒れるのは早いわよ!」

「死ぬのはまだ早いわよ!真鈴!」

「真鈴!あなたの事は絶対に忘れないわ!」


真鈴をソファに横たえたジンコと凛と加奈が叫んだ。


「皆!力尽きた真鈴の弔い合戦よ!」

「そうね!私達も死ぬまで踊るわよ!」

「真鈴の壮絶な戦死は決して無駄にはしないわ!」


そして彼女達は新しく開けた缶ビールをひとしきり飲んでから残りのビールをソファの真鈴の屍に振りかけた。

最早彼女達は自分でも何を言ってるのか判らないだろう。

悪鬼である凛も少し酔っているようで笑顔でジンコ達に合わせていた。

という訳で俺達はその後次々と力尽きたメンバーをソファや床に転がせて、死屍累々となった死霊屋敷で、飲み、食い、踊り狂った。


俺もいつしか意識を失い、気が付くととっくに夜が明けていた。

ソファに横たえられ、人間メンバーは皆だらしなく横になっていた。

真鈴の顔の寝ているにも拘らず未だに少し白目を剥いて満面の笑みを顔に張り付けているのが少し怖かった。

ジンコの寝顔が余程怖かったのか、誰かが袋をかぶせていた。

生まれた初めてと言って良いほどの酷い二日酔いだった。


「よう、彩斗起きたか?」


四郎が朝食に作ったらしいホットドッグを頬張りながら尋ねた。

四郎にはあれだけ騒いだのにいささかも疲れや二日酔いの兆候が無かった。

俺は酷い頭痛と吐き気と胸焼けに顔をしかめながら、しみじみと悪鬼が羨ましくなった。

周りを見回すと、悪鬼のメンバー達が倒れた人間メンバーとどんちゃん騒ぎの後片付けと掃除をしている。


(少し残った食べ物は全部スタッフが美味しく頂きました。

 食べ物は大切にしましょう。)


リリー達スコルピオのメンバーはもう引き上げたらしい。

四郎はホットドッグを食べて牛乳を流し込みながら言った。


「残念だったな彩斗、お前が力尽きた後でチークタイムになって皆がしっぽりとムードたっぷりにチークダンスを踊ったんだ。

 もう、女子をより取り見取りだったぞ~!。

 さすがに今日は朝のトレーニングは免除だな。

 穴掘りも多摩の悪鬼の張り込みも中止で『ひだまり』も連休だ。

 だが、動けるようになったら凛の制服泥棒を探し出すぞ、なんとか今日明日中に片をつけるぞ、顔を洗ってこい。」


おお!チークタイムだとぉ!

俺は結婚式に2次会では絶対にユキとチークダンスをしようと心に決めた。

結婚式ではセーブして飲まなければぁ!


俺はよろよろと立ち上がり顔を洗いに、そしてゲロを吐きに行った。

頭がガンガンするよ~。

リア充は辛いぜ。







続く

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