表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼ですが、何か? 第9部 深淵編  作者: とみなが けい
31/45

ハロウィーン2日目、真鈴達の活躍がテレビで流れてしまった…幾らなんでも目立ち過ぎ…。

夕方になり、穴掘りを一段落した俺と明石と、真鈴、ジンコはシャワーを浴びてすっきりしてプールサイドで寛いでいると四郎がボルボで帰って来た。


「お帰り四郎。

 久保さんは何か言っていた?」

「うむ、久保さんはかなり気合が入ったと言っていたな。

 花の予算はわれが支払うから心配するな。

 新婦のイメージもここで圭子さん、『ひだまり』でリリーと凛の写真を撮って、新婦が持つブーケのイメージ造りの参考になったと言っていたしな!

 われも予算は任せるから頑張って欲しいと伝えておいたぞ。」

「四郎、花の代金はこっちで払うから大丈夫だよ。

 経費で落として税金の節約に出来そうだからね。」

「おお、そうなのか。

 それは大事な事だな。

 じゃあ、お言葉に甘えるとするか。」


明石は今夜から多摩山中の見張りをすると言う事で仮眠をとり、そして俺と真鈴とジンコは四郎が監督の元、トレーニングをした。

先ほど屋根裏ではなちゃんが浮かせて複雑な動きをさせたゴルフボールを突く練習も新たに取り入れた。

真鈴もジンコも汗を流して複雑に動くゴルフボールを突き、良い練習になると笑顔になった。


夜、『ひだまり』の営業が終わり、ホクホク顔の喜朗おじと少しげっそりした加奈、クラ、凛が戻って来た。


どうやら『ひだまり』はここでの営業初日を遥かに超える売り上げを出したとの事だった。

クラと凛や圭子さん、真鈴、ジンコにも、そして応援に来てくれたスコルピオの女性メンバーとキッチンに入ってくれた小三郎達にも正規の時給の他に大入りを2万円づつ払ってもかなりの収益が出たと言っていた。


「しかし今日はさすがに凄かったですぅ~!

 応援のナナツ―や美々達もさすがに草臥れてリリーが運転する車で帰ったですぅ~!

 明日から『ひだまり』に合宿するかなとか言ってました~!」

「まあまあ、明日は流石に今日よりは落ち着くだろうさ。

 また真鈴とジンコがシフトに入るし、スコルピオでもメンバーを変えた女性が入るし、キッチンには朝から男性メンバーが応援に入るしな。

 後6日間の我慢だぞ。」


喜朗おじが言うと加奈がふぁ~いとため息をついた。


「喜朗父、期間限定だからね~!

 頑張りますぅ~!」

「ところで多摩の殺人現場に景行とはなちゃんの他に誰が張り付くんだ?

 『ひだまり』メンバーは少しきついな、さすがに張り込みをした翌日は休みを入れてやらんときつすぎるからな~。」


喜朗おじが言うと四郎が手を上げた。


「うむ、今晩はわれが景行と行こうと思うぞ。

 車の中で交代で仮眠をとれば翌日の穴掘りも進められるだろうしな。」


俺はハロウィーン期間中は四郎と俺が交代で明石とはなちゃんと多摩の見張りに着く事を提案して皆が了承した。

やれやれ、ハロウィーンを乗り切って結婚式も済ませば少しは楽になるな、と俺が言った。


「甘いな彩斗…結婚式の後はな…クリスマスが有るんだよ…。

 今回凄く儲かりそうだから、クリスマス制服はもっと凄いのを考えねば…。」


喜朗おじの不吉な発言に俺達の顔が引きつった。


夕食が終わり、明石と四郎、はなちゃんが圭子さんが作った夜食のお握りやお茶やコーヒーが入ったポットをレガシーに積み込んで多摩の殺人現場の張り込みに出かけた。


流石に『ひだまり』であれだけ忙しければ夜のトレーニングはきついかなと思ったら加奈もクラも凛も志願した。

身体を壊さないか心配だったが、訓練不足で悪鬼に返り討ちに遭う方が怖いと加奈達は笑ってトレーニングに参加した。

やはり『ひだまり』で働いている女性メンバーの敏捷性は物凄くなっていた。


そして翌日、いつもより30分早く四郎に叩き起こされて俺達は朝のトレーニングをし、早い朝食をとると圭子さん達と加奈達は『ひだまり』に向かった。

いつもより開店を1時間早めると言う事だった。

俺は四郎に眠くないかと尋ねたが、四郎は明石と交代で仮眠をとったから大丈夫だが、一晩中アンテナを張り巡らせたはなちゃんは流石に草臥れたらしく、テレビであのアニメやドキュメンタリー番組も見ずに書斎のベッドで白目を剥いて寝ていた。

そのまま起きるまで寝かせてやろうとの事になり、死霊屋敷に残った俺達は司と忍を学校に送り出してから穴掘りを再開した。

今日は圭子さんが昼に戻る以外は真鈴やジンコもフルタイムでシフトに入っている。

リリー達も全員がシフトに入ると言う事で『ひだまり』の事は心配いらないだろう。


俺と明石と四郎は穴掘りを進め、時折圭子さんが廃土を捨てるのを手伝ってくれた。

今日は結構掘り進み、明石がコンパスと地図を取り出してレーザー測距機で穴が水平に進んでいる事を確かめ、穴の方向を確かめてからここで少し曲がり角を作ろうと言う事になって穴の方向を変えて掘った。


「彩斗、今晩は張り番だぞ。

 仮眠をとっとかないで大丈夫か?」


明石と四郎が笑顔で俺に言った。

この中で人間は俺だけで、悪鬼の明石も四郎でさえ少し息を切らせている。

夜の事も有るので俺は少し仮眠をとらせてもらう事にした。


シャワーを浴びて暖炉の間でタバコとコーヒーを楽しんで隣の書斎を覗くとはなちゃんはまだすやすやと白目を剥いて眠っていた。

俺の部屋がある2階まで上がるのが億劫になり、俺ははなちゃんのベッドに身を横たえた。

時折秋の終わり、冬の始まりの様な気持ち良い空気が流れてきて落ち着いた気分になった。

小鳥のさえずりも遠くから聞こえて来て、やはりかなり草臥れているのか、いつの間にか俺はぐっすり眠っていた。


目が覚めるともうすっかり日が落ちていた。

はなちゃんがテレビの音量を小さくしてベッドに腰かけてディスカバリーチャンネルの海の野生動物の特集を見ていた。


「彩斗、目が覚めたじゃの。」


はなちゃんがそう言ってテレビの音量を大きくした。


「うん、はなちゃん、ぐっすり寝かせてもらったよ。

 そう言えば昼ご飯を食べていなかったな。

 腹が空いた。」


俺はキッチンに行って夕食の準備をする圭子さん達の横で冷蔵庫を漁って適当な野菜やハムなどを取り出してパンにはさんでトースターに入れてホットサンドと牛乳で小腹を満たした。


明石達に聞くと今トンネルは補強の梁剤を入れて鉄筋を張り巡らせて、掘ったところまでコンクリートを流し込んだそうだ。

コンクリート乾燥材を入れて固まる時間は大幅に短くなったそうだが、明日はコンクリ―トが完全に固まるまで穴掘りは中止と言う事になったそうだ。

まだまだ完成には程遠いが8分の1位は掘り進めたそうで年内には完成するとの目算が付いた。


夕食ごろ。


明日大学に行く真鈴が早めに上がって来た。

残りのメンバーは『ひだまり』を閉めてから賄を食べて後から1階のジャグジー風呂などに入って体の疲れを取りに来ると言う事だった。

喜朗おじと加奈が新居に移って『ひだまり』の2階の部屋が空いたのでリリー達応援メンバーはそこに泊まる事になった。

俺達は夕食を摂る事になった。



「真鈴、どうだった今日は?」


明石が尋ねると真鈴は苦い顔をした。


「景行、今日はね、昨日よりお客さんが来てたわよフロアーは私達とリリーの応援でこなせそうだけど、キッチンに喜朗おじとクラとスコルピオから応援の男性メンバーが2人入ってくれたけどかなり忙しかったわ~!」

「それは大変だなぁ~!」


明石は同情する口調で言った。

真鈴はかぶりを振った。


「まあね、でも今日は混雑以上に大変な事が起きてさ~。」


圭子さんが真鈴に尋ねた。


「大変な事ってどうしたの?

 食材が足りなくなったとか?」

「いいえ、圭子さん、今日のお客の中にね、なんだか地元でも有名な不良が2人来ていたのよ。

 ヤンキーの生き残りって感じのね。

 後で隣の大将から聞いたけど、かなりヤバい感じの奴ららしいのよね~!

 それでむやみに騒ぐしオーダーの注文の順番とか無視して速く持って来いよ!とかね。

 なんか隣の変な国の人みたいでさ~それでかなり空気が悪くなってさ、リリーと喜朗おじが引き取ってもらうか相談してた時にね、寄りに寄って奴らの1人がナナツーのお尻触ったのよ。」

「いるよね~!そう言う下種な奴って!」


圭子さんがため息をついた。


「圭子さんいるよね~!

 それでね、さすがにナナツーはやんわりと注意したんだけどね、周りでドン引きしてたお客達が騒ぎだしてね。

 まぁ、勇敢なんだろうけど無謀なお客さんがそいつらに立ちあがって文句を言ったのよ。

 そしたら、そいつらは事もあろうにちんけなナイフ出してね、凄んだのよ。

 どうも廻り全体を敵に廻した事をやつらのサル並みの脳みそでも感じたらしくてね。

 自分でナイフ出して置いて自分でますます興奮して、パニック起こしてナイフを振り回しそうな雰囲気になったから、私達ホールの女性全員でそいつらからナイフを取り上げて両手両足を持って店の外に放り出してから、リリーがロープを投げてよこしたからうつ伏せにして両手両足をふん縛って警察呼んだの。」

「それは…大変だったわね~。」

「そうね、圭子さん、お客さんが増えると変なのも出るって事ね。

 でも、私達がウェイトレスだから…まぁ、心配無いか。」


真鈴はそう言ってにやりとした。

なるほど、真鈴達にろくに訓練を積んでいない奴がナイフを出そうが鉄パイプを出そうが

、ピストルを出そうがあっという間に素手で制圧してしまうだろうな。

恐らく世界最強のウェイトレス軍団に手を出したおバカな2匹のサルヤンキーと言うところだろうか…。


「でもね、お店じゅう大喝采でね、私達もどうもお騒がせしました~!

 ごゆっくりとお過ごしください~!ってお辞儀して挨拶したわよ。

 まぁ、それで騒ぎは収まったけどね~!」


真鈴が言うと俺達は苦笑いを浮かべた。


「うきゃきゃきゃ!

 愉快じゃの!

 その時店にいた客は得をしたじゃの!

 それはわらわも是非見たかったのじゃの!」


はなちゃんが言って全員が頷いた。


「まぁ、とにかく事件にならなくて良かったよ。

 俺達は目立つとやばいからね。

 …今でも充分目立っているかな?」


俺は苦笑いを浮かべて言った。


やがて、残った『ひだまり』メンバー、喜朗たちとリリー達スコルピオの応援メンバーも死霊屋敷に来た。


「みんなお疲れ様~!

 今コーヒーを淹れるわよ~!」


圭子さんがそう言って迎えると、ジンコが少し青ざめた顔で言った。

ほかの『ひだまり』から帰ってきたメンバーも少し複雑な顔をしていた。


「あれ?圭子さん知らないの?

 ちょっと凄い事になっちゃったわよ。」

「あら、ジンコ、ナイフを出したヤンキーの事でしょ?

 聞いたわよ~!お手柄ね~!」

「いや、そう言う問題じゃないのよ圭子さん、ちょっとテレビつけて!」


俺達は何の事か判らずに暖炉の間に集まってテレビをつけた。

リモコンでチャンネルを選択してたジンコがこれよ!と叫んだ。

俺達はテレビのニュース映像を見て、あ!と声を上げてのけぞった。


さっき真鈴が言ったサルヤンキーの一部始終がテレビ画面に流れていた。

恐らくあの時に現場にいたお客の誰かがスマホで撮影したのだろうか…。


映像ではサルヤンキーの2人組がナイフを出して叫び、かなり興奮していた。

脳みそがかなり粗末な感じのサルヤンキーが今にもナイフを振り回しそうで安っぽい脅しの言葉を叫んでいた。

まぁ、俺達から見るとナイフの持ち方構え方全てが不合格と言う感じではあるが、何も知らない人から見るとかなりヤバい感じだろう。

店内は一瞬騒然となったが、ナナツーが『きゃ~!怖い~!』と叫びながらも見事な掌底をサルヤンキーの1人の胸板に撃ち込み、そいつはナイフをとり落として膝から崩れた。

一瞬何が起きたか判らないもう1人のサルヤンキーのナイフをジンコがやはり『怖い~!きゃ~!』と叫びながら手刀をサルヤンキーの手首に叩き込みナイフを落とさせてから腕を捩じり上げて床に倒した。

その後、ハロウィーン制服のウェイトレス達が『大変よ~!みんな逃げて~!きゃ~怖い~!』とか叫びながら起き上がろうとするサルヤンキーの顔を見事な回し蹴り、パンツもろ見え付きのおまけで凛が再び倒し、リリー達ウェイトレス総出で『きゃ~!怖い~!いや~!』とか悲鳴を上げながら2人のサルヤンキーの両手両足を持って店の外に放り出し、リリーが『きゃ~!怖い~!縛って!これで縛って~!』と叫びながらロープを投げると真鈴達は悲鳴を上げながらも鮮やかな手付きでうつ伏せに押さえつけたサルヤンキー2人の両手両足を縛りあげた。

だが、俺は見た。

悲鳴を上げながらも真鈴達は明らかに笑いを堪えていた。

真鈴達は悲鳴を上げて顔を真っ赤にしながら懸命に笑いだすのを堪えていたのだ。

2匹のサルヤンキーを縛り上げると、物凄い歓声と拍手が聞こえて来た。

カメラがパンをすると店中の客達が立ち上がって拍手をして歓声を送っていた。

リリー達は店内の客達に向かって『お騒がせてしまい、申し訳ありませんでした~!どうぞごゆっくりお過ごしください~!』とアイドルグループのカーテンコールのように並んでお辞儀した。


ニュース映像が終わり、キャスターがやたらに笑いながらハロウィーンの騒動の一コマでしたと言っている。

ナイフを持った2人組は駆けつけた警察によって速やかに身柄を確保されたとの事で、パトカーをバックにした警官達がきちんと並んでリリー達にビシッ!と敬礼している様子の映像も流れた。


「面倒くさくなりそうだからリリーとジンコやナナツ―が警視正と警視の身分証を見せたのよ~!

 だから、あの警官達、あんなに大層に整列して敬礼してるのよね~。」


真鈴がぼやいて、はなちゃんがソファから転げ落ちて腹を抱えて笑っているし、司と忍が、加奈達かっこ良いね~!叫んで飛び跳ねていた。


俺達はあまりにも目立ち過ぎだと頭を抱えてしまった。

喜朗おじが、夕方過ぎからテレビ局や新聞社から取材の申し込みの電話が殺到して断るのに疲れて留守番電話にしたとの事だった。

後で留守番電話を聞くのが怖いと言っていた。


…これは…目立ち過ぎだ…今の時代どこにでも撮影機能があるスマホを持っている奴らがいる…気を付けなければ…。


俺は気を取り直して圭子さんから夜食を貰い、明石とはなちゃんと共にレガシーに乗って多摩の殺人現場の張り込みに向かった。







続く




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ