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吸血鬼ですが、何か? 第9部 深淵編  作者: とみなが けい
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俺はジンコが考えている事を聞いた…物凄いな…そして『ひだまり』は「ハロウィーンキャンペーン初日を迎えた。

俺はガキと母親を家まで送り届けて死霊屋敷に戻る道を走っていた。


「あ~!

 今日は良い気分転換になったわ~!

 子供って無邪気で良いわね~!」


ジンコが両手を上げて体を伸ばしながら言った。


「…でも、ジンコ、あのガキは結構本気だったよ。

 プールでも結構男の子たちは意識してジンコに飛びついていた感じがしたしさ~。」

「あら、彩斗、心配してくれるの?

 サンキュー!

 でも大丈夫よ、私だって小学校の時プールで大好きな先生に飛びついてしがみ付いたりしてたしね~、子供だってある程度そう言う方面の意識は有るけど、やっぱり子供だからそんなに生々しくないしね~。」


俺はジンコが全然気にしていない事を少し驚いたが、考えたらこれは凛がスケベヲタク死霊どもにスカートを覗かれても無邪気に応じる気持ちと変わらないのかも知れない。


「でも、ジンコあの子は8歳だぜ。

 将来お嫁さんにするって結構真剣に見えたよな~。」

「あら、彩斗、今時14歳歳が違うのってそんなに珍しくないじゃん。

 いざそんな時期に旦那候補が居なければ…有りかもね~。」

「え…ええええ!」


俺はジンコの大胆な発言に危うくハンドルを切り損ねそうになった。


「あっはっは!

 彩斗気を付けてよ~!

 私、今将来の事で少し悩んでいたから良い気分転換になったわ~!」

「なんだよジンコ、将来の悩みなんて…検事か裁判官になるんでしょ?」


ジンコが少し黙った。


「…それがね~彩斗、誰にも言わない?

 ワイバーンでまだ誰にも言ってないんだけどね…。」

「…え…そりゃあ黙ってるけど…。」

「私、月を目指そうかと思ってるのよ。」

「…。」


ジンコがいきなり突拍子も無い事を言いだして俺は絶句した。

ジンコが前を向いたまま話し出した。


「岩井テレサの施設覚えているでしょ?」

「ああ、月の観察調査をしているって…。」

「あのね、彩斗まだまだ月の自転速度が安定してないけど、月が完全に地球にその裏側を見せる時間、教授は略してルナ曲線と言ってるけどね…後10年あれば完全に地球に裏側全部を見せるらしいのよ。」

「…。」

「岩井テレサ達はね、NASAとかと秘密裏に提携しているの。

 近いうちに、と言っても5年くらい先になるらしいけどね、月にね極秘で探査船を送り込んで調査をする計画が有るんですって。」

「…。」

「岩井テレサの方から、人間メンバーで5人、候補を絞ってその内の2人が月の探査に向かうのよ、NASAの宇宙飛行士たちとね。」

「…。」

「そしてね、そして…岩井テレサと教授がね…私も候補に立候補しないかってね…。」

「え?ええええええ?」


俺は思わず車を道路わきに寄せて停めるとジンコを見つめた。


「彩斗、勿論テストがあるし私は落ちるかも知れないけど、仮に合格しても月に行く2人に漏れるかも知れないけど…挑戦しようかな~?ってね。」

「…。」

「これは真鈴にも言ってないから絶対に誰にも言わないでよ。

 勿論テストを受けるまでは悪鬼討伐は続けるけどね。

 私…月で起きつつある出来事の真実を知りたいのよ。」

「う、うん、判った。

 ジンコが言い出すまで絶対に誰にも言わないよ。」


俺はジンコの話に胸がドキドキしながら死霊屋敷に戻った。

まだ毛も生えていないガキんちょがジンコのオッパイやオケツを触るどころの話じゃない物凄い事を聞かされてしまった。


トレーニングと夕食のあと、新居で寝ている司と忍以外のメンバー、そしてリリーのスカイラインGTRに送られて死霊屋敷に戻って来た四郎もいれたワイバーンメンバー全員が暖炉の間に集まり、今日俺と明石とはなちゃんが遭遇した非常に強い正体不明の悪鬼の事を話した。

みんな考え込んでしまい、結局今後多摩山中で殺人を繰り返す質の悪い悪鬼を探る時は必ず明石とはなちゃんが同行する事にして、とりあえず正体不明の悪鬼と明石の殺意のせめぎ合いに怯えて逃走した悪鬼が再びあの家の戻って来ているか調べることになった。


俺達は持っている有力な手掛かりはあの逃げた悪鬼しかいないのだ。


俺達は注意深く悪鬼を探り、手の空いた物は交代で極秘の避難用のトンネル堀りをした。

あの正体不明の強い悪鬼はあの日以来俺達の前に姿を見せなかった。


ジンコは最近は夜遅くまで勉強をしているようだ。

『ひだまり』のシフトに入り、トレーニングに欠かさず出ながら、明石一家が新居に引っ越した後にあてがわれた新しい部屋で夜中まで勉強、法律関係だけでなく科学、科学、物理、機械工学など幅広い分野の勉強をしていた。


そしてハロウィーンキャンペーン初日を俺達は向かえた。


前の晩、圭子さんが瞳を赤くする練習の成果を俺達に見せた。

最初の時の物凄い怖い物と全然違い、怪しくエロチックな瞳で、俺達男性陣が思わずはううう!と吐息を漏らし、人間の女性メンバーはとても羨ましがった。


勿論俺達も『ひだまり』ハロウィーンを待ちきれなくて朝のトレーニングと朝食が終わると直ぐに『ひだまり』に直行した。

店の前に来て俺達は驚いた。

開店2時間前にも関わらず、駐車場がかなり埋まり、店の入り口の前に行列が出来ていた。


「なんとも凄いな、このスケベどもが。」


助手席に乗った四郎が自分の事を棚に上げてそう言い、苦笑いを浮かべて車から降りた。

やっほう!と声が聞こえてみると、私服姿のあほ兄弟の片割れ小三郎が数人のこれまた私服姿のスコルピオ隊員の男どもと列に並んでいた。


「小三郎、来たんだね~。」

「おはようございます彩斗さん、ナナツ―の制服姿見たら来ないわけにいかないですよ!」


小三郎の言葉に他のスコルピオ隊員たちもうんうんと頷いた。


「やれやれ、男どもはしょうがないな。」


四郎が苦笑いを浮かべると、小三郎は列の別の位置にいた女性達を指差した。


「何言ってるんですか四郎さん。

 女性メンバーも見たいと言って来てるんですよ。

 うちだけじゃなくてカスカベルは今、待機期間だけど、タランテラのメンバーも男女問わず来てますよ。

 カスカベルの連中も待機明けに来るとか言ってましたよ。

 今週は凄く忙しくなると思いますよ~!」


そう言って小三郎たちはスケベな笑顔でケケケと笑った。

これは…開店以来の凄い騒ぎになるかも知れない。


「彩斗、お前、料理の下ごしらえで野菜切ったり洗い物は出来るだろう?

 俺達もキッチンに狩り出されるかも知れんぞ。」


四郎が恐ろしい事を言って、俺達は裏に回って勝手口から『ひだまり』に入った。


はうぅうううう!


加奈やジンコや真鈴、凛、圭子さん、そしてリリーとナナツ―や美々などスコルピオの応援メンバーも初日と言う事もあり全員がシフトに入っていて、あのハロウィーンのいつもより数倍エロ可愛い制服姿で赤い瞳を光らせて勢ぞろいして開店の準備をしていた。


なんてゴージャス!

なんて淫靡!

なんてエロくて可愛いのだぁ!


床には加奈達のあまりのエロさ淫靡さ可愛さに鼻血を出して失神している何体かのスケベヲタク死霊の身体が転がっていた。

鼻の穴にティシュを詰め込んだ暗黒の才蔵が俺を見て叫んだ。


「彩斗首領殿!

 大変でござる!

 加奈殿たちのあまりのエロ破壊力に思い残す事が無くなった仲間が数人昇天してしまったでござるぞ!」


死霊さえも昇天させてしまう加奈達のエロさ…いや、それは無理も無いだろう、俺も四郎も少し前かがみになり、キッチンの奥では喜朗おじとクラも少し前かがみの姿勢で仕込みをしていた。


「お客をこれ以上待たせられん!

 かなり速いが開店するぞ!」


窓から店の前を見た喜朗おじが叫ぶと加奈達は、は~い!と可愛い声を上げて入り口を開けた。


『ひだまり』はいつもより1時間50分早く開店した。








続く

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