表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
吸血鬼ですが、何か? 第9部 深淵編  作者: とみなが けい
27/45

死霊屋敷にリリーとノリッピーが来て結婚式の打ち合わせをしていた…ハロウィーンの事で俺達は盛り上がり、そして今日出会った正体不明のとてつもなく強い悪鬼の話になって…。

「やれやれ、思いのほか早く済んだな。

 しかし圭子に昼飯は要らないと言ってしまった。

 どこかで飯を食ってゆくか。」


明石がそう言った。

食欲はあるがあっさりした物が食べたいと言うので環状8号線沿いにある日本蕎麦屋に俺達は入った。

流石に明石は悪鬼なので、冷たいとろろそばを2つと暖かいかき揚げそばを頼んだ。

俺は暖かいかき揚げそばを頼んだ。


そばを食べながら俺は先ほどの強い奴がいったいどこの何者かと言う事が非常に気になった。


「さっきの奴が強いって…景行がビビるほどの奴がまだ日本にいるんだ…。」


明石が凄い勢いでそばを食べながら答えた。


「彩斗、日本はまだまだ広いしな、江戸の太平時代の前は物凄い戦国だった時代が長いんだ。

 世界でも有数の闘争の時代だったかも知れんな。

 その頃から悪鬼となって戦いに明け暮れてとんでもなく強くなった奴だってまだ相当生き残っていると思うぞ。

 あいつが相手なら…ポールでさえ手こずるかも知れんな…。」

「そうじゃの、明石が言う通り強い奴はまだまだ居るじゃろうの。

 先ほどの奴はずば抜けて強いと思うがの。

 わらわが見えない壁を作っても奴なら易々と破って景行に攻撃を仕掛けたじゃろうの…。」


俺の隣の椅子に置いたバッグからはなちゃんが顔を出して言い、その言葉に俺は改めてぞっとした。

数を別にして1対1ならば明石は圧倒的に強いと思っていた。

明石はポールを除けば最強の悪鬼だと、俺は思っていた。

俺は明石と知り合う前に四郎が明石の強さに恐れて非常な警戒していた事を思い出した。

あの時も非常に怖かった。

そして、裁判所で見たポールのとんでもない強さも…ポールが味方で本当に良かったと思った…上には上がいる…とても人間の手に負えない、それどころか俺が知っている最強の部類の悪鬼でさえ怯えさせる強い者が今の日本にうじゃうじゃいるかも知れない事に、俺は恐怖した。


とにかくしばらくは定期的にあの逃げた悪鬼が戻って来るかどうか監視する事にして、俺達は死霊屋敷に戻った。


暖炉の間にはリリーとノリッピーが来ていて、四郎と圭子さんとともに結婚式の相談をしていた。


「よう、景行、彩斗、久しぶりだね~!」


アインシュタイン以上に頭が良いと言われる非常に優れた戦術家で、富士樹海地下では少数の指揮班を率いてアレクニドの大軍を蹴散らしたとてつもなく強いノリッピーはいつもの軽い調子で俺達に手を上げた。


「ノリッピー、久しぶりです!

 今回は結婚式を執り行ってくれてありがとうございます!」

「ノリッピー結婚式をどうぞよろしくお願いしますよ。」


俺と明石が言うとノリッピーは苦笑いを浮かべてひらひらと手を振った。


「まぁ、カトリックの流儀と言えども私達は色々と今の信仰の裏を知ってしまっているからね~!

 各自の信仰のスタイルはともかく、セレモニーのスタイルを楽しんでもらうと良いと思うよ。

 こんな事を言うとカトリックを真剣に信じている人達怒るかも知れないがね。

 しかし、善良な愛情の表現として見てもらえばイエスも怒りはすまいな。」

「はい、さととまりあもカトリック式での式でも一向にかまわないと言ってくれたし、大元のイエスの事も知っていますから大丈夫です、どうぞよろしくお願いします。」


そして、俺達は結婚式当日は暖炉の間と続くはなちゃんの書斎と玄関ホールの扉を全部取り払い、プールに続くところの扉も外してスペースを作る事に決めた。


「ふぅ~、これで祭壇も出来るし、式に出席する者達も全員座れそうだわ。

 ごめんね、大勢で押しかけちゃう事になりうそうだわ~!」


リリーがため息をついた。

明石はスコルピオの間でもすっかり強い名士として名が知れ渡っているしましてや紅のリリーと四郎、そしてクラと凛の結婚式と言う事で参加希望者が殺到したとの事だ。


「まぁ、スコルピオの連中と…やっぱり来たがっていたカスカベルとタランテラの中から数名に絞って、それにテレサでしょ、榊も是非にと言ってるし、凛がいた施設で仲良くなった職員の人も数名…やっぱり70人位は来るわね~!」


ごく内輪の結婚式と言う事だったが、中々の規模になりつつある。

ノリッピーが先ほど屋根裏から周囲を狙撃できるように作られた鐘楼を見たそうだ。


「やはり結婚式には鐘を鳴らしたいのでね~!

 でないと気分が出ないだろう?

 前日までに鐘楼に小さいけど鐘を持ち込んで、式の日に鳴らす事にしたんだよ。

 据え付けを手伝ってもらうけど大丈夫かな?」

「ええ、喜んでやらせてもらいます!」


ノリッピーの申し出に俺達は快諾した。


「当日はねスコルピオの連中は儀礼用の制服でお邪魔して、見慣れない人には少し物々しい雰囲気になるかも知れないけど、勘弁してね。」


リリーが俺達に両手を合わせて頭を下げた。


「いや、俺達は全然構わないが、リリー達は儀礼用の制服まで持っているのか…。」


明石が答えるとリリーは苦笑いを浮かべた。


「そうよ、一応私達は軍事組織みたいな物だからね~それなりの事をやる時は礼服も準備しているわ。

 もっとも最近はお葬式の時くらいしか使い道が無かったからね…でも、こういうハレの時に着れて嬉しいと皆が言っているわ。」


リリーは恐らく富士樹海地下で戦死した隊員たちの葬儀の事を言っているのだと思い、俺達は少ししんみりとした顔になった。


「そうそう!制服と言えばさ!

 『ひだまり』のハロウィーンの制服、あれをナナツーがスコルピオで着て見せたら全員大興奮でな!

 ハロウィーンの時はかなりうちからも客が来ると思うけど、よろしくね!」


ノリッピーが明るい声で言った。

喜朗おじが聞いたら涙を流して喜ぶと思った。


「そんなに評判だったんですか?」


圭子さんが尋ねるとノリッピーはうんうんと頷いた。


「岩井テレサももっと早く悪鬼になっていればこのエロ可愛い制服を着れたのに~!

ととても悔しがっていたよ~!」


その言葉を聞いたら喜朗おじはますます涙を流して喜ぶと思った。

そして、歳の割にスタイルが良い岩井テレサにあの制服を着せてあれやこれやしようと企むかも知れない…。

喜朗おじは恐ろしい子だった。


そして話は披露宴を行う『ひだまり』に移った。

個室と一般席を区切るドアは一種のパーテーションのように作られていて、それを全部畳んで一般席とつなげればかなりのスペースが出来る事を伝えた。

これならテラス席と駐車場に席を広げてテントで覆えば100人くらいは易々と収容できる事が判り、俺達はホッとした。

2次会のプールサイドでのパーティーも暖炉の間やはなちゃんの書斎を繋がれば充分皆で騒げるスペースがあるし、四郎達の結婚式は大成功しそうだった。

あとは料理、喜朗おじとクラ、そして加奈に頑張ってもらう事にしたが、スコルピオの中の料理経験者が何人か前日からこちらに来て応援をしてくれると言う事になった。

なにせ客の大半が味にうるさく大ぐらいの悪鬼だから万全の準備をしなければ。


やれやれ大体の準備は良いかな?と俺達が思った時に入り口ゲートに来客が来た事を伝えるチャイムが鳴った。


「あら!忘れてた!

 司と忍がお友達を連れて遊びに来るんだった!

 プールに招待してるのよ!」


俺達はぞろぞろと監視カメラを見に行き、ちょっとびっくりした。

司と忍を先頭に何十人かの友達とその母親たちがニコニコしながら並んでいる。


「…なんか…凄い騒ぎになってる…お菓子足りるかしら…。」


顔を青ざめてそう呟いた圭子さんが慌ててゲートを開けた。


俺達は新しいお客達の邪魔をしないように暖炉の間から退散をして、一応『ひだまり』の場所の下見がてら『ひだまり』に移動する事にした。


圭子さんと大学から戻ってきたジンコにお客達の面倒を見ることを頼んで、俺達は『ひだまり』に移動した。

質の悪い悪鬼や人間どもを闇に紛れて討伐する秘密の集団のアジトと言うコンセプトで手に入れた死霊屋敷だったが、今はその死霊屋敷という名称も似つかわしくないほど賑やかで楽しい場所になってしまった事に俺達は苦笑いを浮かべた。


『ひだまり』は相変わらず繁盛していた。

そしてハロウィーンのポスターの横に、四郎達の結婚式当日は終日貸し切り営業と言うお知らせも貼ってあった

俺達は個室に移り飲み物とスイーツを頼んだ。

今日は加奈と凛と真鈴の他にスコルピオからも2人が応援に来てくれていたので忙しいながらも落ち着いていた。


「あのさ、『ひだまり』効果は実際に凄いかもね美々やナナツーや応援に来ている隊員の敏捷さや持久力筋力が格段に上がってるのよ。

 おかげでスコルピオの戦力も随分上がったわ~!

 ナナツーなんか近接戦闘訓練で私を本気にさせる位に強くなったしね~!」


リリーが嬉しそうに言ってノリッピーもうんうんと頷いた。


「確かにリリーが言う通り彼女達は格段に強くなっているよ。

 私もあの制服を着てここのシフトに入りたいくらいだ。」


のりっぴーがごく真面目な顔をしてそう言ったので俺達は飲み物を吹きそうになった。

実際にノリッピーがあの制服でシフトに入ったりしたら…また別の種類のお客達が押し寄せるかも知れない…。


「まあ、冗談はともかく、今日景行と彩斗とはなちゃんは例の悪鬼を探りに行ったんだろう?

 どうだったかな?

 手強そうな奴らなら、うちからも応援を出すつもりだけど…。」


ノリッピーが有難い申し出を言い出すまで俺と明石とはなちゃんは今日の出来事を言いそびれていた。

そして今日、やっと所在を掴んだ質の悪い悪鬼の家の前で正体不明ながらとてつもなく強い謎の悪鬼と遭遇した事を話した。


それまでのいささかはしゃいでいた雰囲気の俺達は少し重苦しい沈黙に包まれた。


「それは…ちょっと私たちと同盟を組んでいるチームに問い合わせてみるけど…そんなに、景行がビビるほどの強い者がいるチームは思い浮かばないわね。

 スコルピオもカスカベルもタランテラも、岩井テレサの直属調査班もあの悪鬼の調査はあなた達ワイバーンに任せているから…。」


リリーが眉をひそめて言った。









続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ