俺はユキを『ひだまり』に連れて行った…ユキは『ひだまり』の制服を着てみたいわ~!といって…そして…いひひ。
俺とユキはポールお勧めのステーキセットを注文して、その美味しさに驚いた。
「本当に美味しいね!
私、こんなに美味しいステーキ初めてかも!」
ユキが目をくるくる回して驚いた。
悪鬼が作る食事の美味しさに慣れた俺でも驚くほど美味しかった。
「ユキ、悪鬼は味覚も凄く敏感になるんだよ。
人間から悪鬼になった圭子さんも、悪鬼になってから初めて飲んだコーヒーが凄く美味しいと感動していたな。」
「悪鬼になるとかなりのところが人間以上になるんだ…。」
「そうだね、敏捷性や持久力や勿論腕力とか、後は気配を感じる感覚とかも、そして再生能力は人間の遥か上になるし、その人その人にもよるけれど動物に、架空の動物にさえ変化できるよ。
そして殺されない限り不老不死なんだ。
人間と大して変わらないのは精神力位かな?」
ユキはじっと俺を見つめた。
「彩斗はそんなに凄い物と戦ってきたんだね…怖くないの?」
「そりゃあ怖いよ。
今でも怖いけど…なんて言うか…知ってしまったからね…誰かがやらなきゃいけない事だし。」
ユキはまた俺を見つめた。
「彩斗…ヒーローだね。
絶対に死なないでよ。
怪我もしないように気を付けてね。」
俺がヒーロー…ユキの言葉と憧れのまなざしに俺は酷く戸惑ってしまった。
俺はもともと本物の吸血鬼を見たかっただけだった。
それは宝くじを当てて生活に不安が無くなった俺の、いわば暇つぶしと言っても良いような物だったのだ。
吸血鬼を復活させるために人間の女性を、真鈴を生贄にさえしようとしたのだ。
ヒーローからはとてもかけ離れた男だった。
幸い復活させた四郎が善良な悪鬼で真鈴を生贄にする事も無く、そして、一種の成り行きで、その時の勢いで質の悪い悪鬼や人間の討伐を始めただけの事である。
そんな俺がヒーロー…。
俺はユキの憧れの眼差しが痛かった。
「よせよユキ、そんな大層なものじゃ無いよ。
俺はごく普通の人間だよ。」
俺が目を伏せながらそう言うとユキは俺が謙遜したと勘違いしてますます潤んだ瞳で俺を見つめた。
食事を終えると午後もかなり過ぎていた。
プールが完成間際だと言うとユキは見たい見たいと騒いだ。
俺は死霊屋敷にランドクルーザーを向けた。
明石も圭子さんもユキを連れて来いと言っていたし、ワイバーンの事をユキが知った事を皆に伝えるべきだろうと思った。
帰りの途中、ユキがコンビニでトイレに入っている隙に俺は四郎に電話をしてユキを連れてくる事を伝えた。
死霊屋敷に帰る途中で『ひだまり』が新しくもっと大きな店舗になって死霊屋敷の近くにオープンした事をユキに言うと是非寄ってみたいと言った。
俺は『ひだまり』の駐車場にランドクルーザーを停めてユキと一緒に中に入った。
『ひだまり』は相変わらず繁盛していて、加奈と凛と応援に来ているナナツ―とこれまたスコルピオ人間メンバーの美々が足元にスケベヲタク死霊軍団を引き連れて忙しく客席の間を行ったり来たりしていた。
俺達を見た加奈がいらっしゃいませー!といい、個室に案内してくれた。
どうやらユキにはスケベヲタク死霊軍団が見えないらしく俺はホッとした。
スケベヲタク死霊軍団は一瞬、加奈達のスカートから視線を外して俺とユキを見つめていた。
彩斗リーダーの彼女でござるか?
きっと彩斗首領の彼女だろうな。
彩斗総統の彼女なんだね。
中々美人さんでござるな。
うんうん、そうだね。
彼女もここで働いてもらえば。
スケベヲタク死霊軍団の囁きが聞こえている中を俺はそれを無視してユキを個室にエスコートした。
加奈は一度『みーちゃん』に行っているのでユキの事を知っている。
「ユキさんは彩斗の彼女さんだったのね~!
どうぞごゆっくり!
今夜は屋敷に泊まるの?
じゃあ、加奈達も夕食後に遊びに行こうかな~?」
加奈がはち切れそうな笑顔で言い、ユキも笑顔でお邪魔で無かったら泊まらせてもらうかも知れないと言った。
「それは素敵ですぅ~!
じゃあ、またあとでね~!」
コーヒーとチーズケーキを注文して、オーダーを受けた加奈は個室を出て行った。
ユキは加奈の後ろ姿を見てため息をついた。
「加奈ちゃんが着ている制服…とても可愛いわね~!
私もあんなの着てみたいな~!
でも25のおばちゃんが着たらおかしいかな~。」
はうぅううう!
俺の頭に『ひだまり』の制服姿のユキが怪しく俺を誘惑してベッドに誘うイメージが頭に流れ込んだ。
そのリアルな光景に俺は下半身が爆裂マンモス状態になった。
「いや、ユキがあの制服を着ても全然おかしくないよ。」
俺はからからに乾いた喉をお冷で潤した。
「それにしても、加奈ちゃんって可愛いわよね~!
本当に戦いに強いの?」
「ユキ、加奈はワイバーンの人間メンバーの中で最強なんだよ。
6歳の頃からとんでもない訓練をしていると話しただろ?
悪鬼のかなり戦闘を重ねたとても強い者でさえ、加奈の強さに驚いていたんだよ。
人間でもあそこまで強くなれるんだと言って驚いていたよ。」
「それは凄いわね~!
可愛いのに強いって素敵ねぇ~!」
ユキがうっとりとした声で呟いた。
きっとセーラームーンか何かのように思っているのだろう…いや、実際の戦いはユキが思うような、ヒーローアニメか特撮の戦隊もののピンク何とかみたいなものじゃ無いんだよと言いたくなってしまった。
あの廃ボーリング場での加奈の戦いぶりを見たらユキでも怖気付いてしまうだろう。
あの時の加奈の姿を見たら悲鳴を上げて目を瞑ってしまうと思う。
悪鬼の返り血を全身に浴びながら、悪鬼を挑発する笑いを浮かべながら次々と悪鬼を殺し…いや、壊して行く加奈の迫力は想像もつかないだろう。
俺にはとても頼もしく思ったけど。
「でも、あの制服はとても素敵。
女の子でも絶対憧れちゃうわ~!
でも、わたしじゃ似合わないかな~?」
「ユキ、そんなこと絶対ないよ。
ユキがあの制服を着たら絶対に素敵だと思うよ。」
「そうかな彩斗、でもありがとう。
でもね~私が加奈ちゃんと同じ20の頃から比べるとお尻が少しだけど下がって来ているからね~。」
ユキはため息をついた。
はうぅううううう!
また俺の頭に鮮烈なイメージが流れ込んで来た。
ユキが『ひだまり』の制服を着て俺の前に立ち、顔を赤らめながら俯いてあのスカートのすそを摘まんで少しだけ持ち上げながら、彩斗、私のお尻を持ち上げてくれる?とか言っている!持ちあげますぜ!喜んで持ち上げますぜ旦那ぁああああああ!
俺の頭の中がユキが『ひだまり』の制服を着たエロ極まりないイメージで爆発して破裂しそうになった。
その時に喜朗おじが個室に入って来てコーヒーとチーズケーキを持って来た。
「これはユキちゃん、いらっしゃい!
この前『みーちゃん』は楽しかったよ。
ありがとう。
また時間を作って寄らしてもらうね。」
「あら、喜朗さん、この前はどうもありがとうございます!
ぜひまた遊びに来てくださいね!」
「ぜひその内にね…あ、ちょっと彩斗に用事が有るんだけど良いかな?」
喜朗は俺を連れて裏の勝手口を出た。
「彩斗、景行から連絡を貰ったぞ。
ユキちゃんは知ってしまったんだな?」
「うん喜朗おじ、ユキは現場にいてね、警官達がてんぱっていたから仕方なかったよ。」
喜朗おじがマルボロを取り出して火を点けた。
「まあ、しょうがないな。
そもそもユキちゃんは彩斗の恋人だからいつかはばれるかもと思っていたんだが…今回の事で良かったかも知れん。
俺は彩斗を信じるよ。
店を閉めたら加奈やクラや凛も連れて死霊屋敷に遊びに行くよ。
ユキちゃんに補足説明がいるかも知れんだろう?」
「…ありがとう喜朗おじ!」
「なに、大した事では無いさ…ところでな、彩斗。」
「え?何?」
喜朗おじが少し卑猥な笑顔を浮かべた。
「彩斗、さっきからお前のエロいイメージが俺の頭に流れ込んでいてな、どうやら凛も少し気が付いているようだが…俺は手元が狂って危うく火だるまになる所だったぞ。」
…え?ええええ!それはまずいまずいまずい!
ワイバーンリーダーの俺の立場がぁ!
「喜朗おじ…ごめんね。」
「まあな、俺が精魂込めてデザインしたあの制服へのリスペクトだと思うよ。
そこでな彩斗、おまえ、ユキちゃんにあの制服を着せて楽しみたいんだろう?」
喜朗おじがにやにやして俺を見た。
「え…そんな事…ごめんなさい…。」
「まあ、良いさ、俺が見たところ応援に来ているスコルピオメンバーの制服の中にユキちゃんにぴったりのサイズがあるぞ。」
「…え?喜朗おじ、其れって…。」
「まあ、使った後にまたクリーニングに出せば良いだけだ。
何ら問題はないぞ。
もっとも俺も時々、俺の彼女達にあれを着せて楽しむ事が有るからな…。
クリーニング代と手数料と秘密保持、口留め料のためにな…一晩5000円で手を打とうじゃないか、どうだ?」
俺はすかさず財布から5000円札を取り出して喜朗おじに握らせた。
「毎度あり~。ブツはお前が店を出る時にクラに渡させるよ。
返却する時は『ひだまり』の使用済み制服の袋に入れておいてくれ。
女性メンバーには絶対に内緒だぞ。
破ったりしたら追加料金貰うからな。
いひひひひ、まあ、楽しめ、いひひひひ。」
やはり喜朗おじはスケベワイバーンメンバーだった。
俺も喜朗おじもスケベワイバーンメンバーだった。
とてもユキが考えるようなヒーローからはかけ離れた存在だ。
でも…でも、命懸けで俺達は平和を守っているんだ!
誰にも迷惑を掛けていない!
命懸けで戦っているんだよ!
これ位のスケベは許してくれよ!
スケベは心のオアシスなんだよ!
スケベ万歳!
…皆…がっかりさせて御免ね…。
俺はヒーローなんかじゃないよ。
俺はスケベスケベ、ドスケベヒーローなんだよ。
…御免ね。
俺は個室に戻り、チーズケーキとコーヒーの美味しさに驚いているユキと他愛もないおしゃべりをした後で『ひだまり』を出た。
クラが紙袋を持って俺に走って来て駐車場の外れに引っ張っていった。
「彩斗リーダー、喜朗おじがおまけでハロウィーン用の制服も持って行けと言ってましたよ。
あれ、凄く興奮するから制服破かないように気を付けてくださいね。
俺は1回、凛のストッキング破ってしまって…凛は凄く興奮したようですけどね。
破ると追加料金頂きますからね、うひひ。」
そしてクラもその純朴な顔に似合わない卑猥な微笑みを浮かべた。
「え…クラも凛と…。」
「もちろんじゃないですか!
俺と凛は夫婦ですから!
あれは凄い高まりますよ!
俺も凛も…それに景行さんだって圭子さんと楽しんでいるみたいだし、四郎さんだってこの前リリーさんと…うひひひ。
まぁ、楽しんでください。」
…スケベスケベスケベスケベスケベ…ワイバーン男性メンバーは全員スケベだった…全員ドドドドスケベだった…みんな御免ね~!
続く




