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吸血鬼ですが、何か? 第9部 深淵編  作者: とみなが けい
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俺達はスキルアップに励みながらも次々とやって来るイベントの対応に大忙しだった…開くって何?

それから俺達ワイバーンは個々人それぞれがスキルアップに精を出した。

裁判所の騒ぎで悪鬼討伐の機会を逃してスコアを1匹から伸ばしていない凛だったが、他のメンバーが驚くほどの上達ぶりを見せた。

恐らく俊敏さの点では加奈と同格のレベルにまで上がっている。

そして、喜朗おじが作った鞍を乗せて手綱もつけた白馬と化した凛に乗ったクラは両手にサーベルや槍を持っての乗馬襲撃の練習も始めた。

勿論凛とクラの息はぴったりと合っていて俺達がため息が出るほど鮮やかな襲撃を見せた。

乗馬戦闘の経験がある明石も四郎も太鼓判を押すほど見事だった。

町中でこれをやる事はまず無いだろうが、いつか役に立つかも知れない。


10月も中旬になり、『ひだまり』でハロウィーン企画をやると言う事で、喜朗おじが小悪魔的なハロウィーン限定の制服を作り、加奈や真鈴達に試着させた。

普段の制服よりも黒と赤を多めにあしらい、いつものストッキングを網タイツに変え、頭には悪魔の様な可愛らしい角が付いたカチューシャをつけ、黒いリボンにかぼちゃの化け物のアクセサリーが付いたチョーカー、袖や靴にコウモリとハートとカボチャをあしらったアクセサリーをつけたその姿は、ただでさえエロ可愛い制服だったのがもっと破壊力があるものとなった。

司と忍もその姿を見て可愛い~!と叫び飛び跳ねて狂乱状態になり、圭子さんはまんざらでもないように顔を赤らめた。


ハロウィーン制服に満足した喜朗おじは加奈達や応援のリリー達全てがハロウィーン用の制服を着た、ハロウィーン期間限定キャンペーンのポスターを作り『ひだまり』に貼って、お客達の期待を物凄く盛り上げた。

お願いだからキャンペーンが終わったらポスターを売ってくれと懇願するお客が続出した。

…俺も欲しいな…。


ポスター撮影に死霊屋敷に来た時にリリーからスコルピオの増員の事を教えられた。

どうやらあの日裁判所に突入してあの道を踏み外してしまった外道のオブジェに取り込まれた警察の特殊部隊の者は全員悪鬼となってしまったとの事だった。

オブジェに取り込まれた裁判所の職員や、衛士達、そして傍聴人の生存者も全員が悪鬼となり、岩井テレサの組織で面倒を見る事となり、悪鬼になってしまった事やこれからの生活についての事の面倒を見るとの事だ。

岩井テレサは犠牲者たちの扱いに困った警察と話をつけて警察特殊部隊員から騎兵メンバーの募集を打診したところ全員が志願したと言う事だった。

家族たちには悪鬼になった下りの説明はせず、警察から極秘の特殊部隊に出向と言う説明をして納得されたらしい。

富士樹海で大幅に人員を減らしてしまった第1騎兵カスカベル、第2騎兵タランテラ、第3騎兵スコルピオにそれぞれ割り当てられて厳しい訓練に汗を流しているそうだ。


警察官の身分はそのままに警察と岩井テレサの組織から2重の給与をもらい、待遇が数段上がり、そして世界の隠されていた真実を知り、人類の為に戦うと言う大きな意義を見つけたので皆満足しているとの事だった。

岩井テレサ配下の各騎兵隊は100パーセントとは行かなくともかなり戦力を回復しつつある。

一般の被害者たちは悪鬼となったショックのケアを受けつつ希望者は岩井テレサの施設の職員として第2に人生を歩むと言う事だった。


「まあね、彼らは最初凄くびっくりしたけれど、ポールが懇切丁寧に説明してくれて納得したわ。

 そして私達の密かに行われていた人類文明を守る戦いに意義を感じてくれたみたいよ。」


ハロウィーン用の制服を気に入っていつまでも脱がないリリーがエロ可愛い制服姿で俺達に説明したが、その今までの制服よりも数段破壊力があるエロ可愛さに俺達は目のやり場に困った。

ハロウィーン期間が終わったら『ひだまり』の倉庫に保管されると言うあのエロ可愛い制服をユキに着せてあれやこれやしたい…。

御免ね変態で…。


でも、君達、例えば付き合っていて深い関係になった彼女がそんな制服姿のレストランとかで働いていたら当然、考えるよね!

いや、絶対に考えるよ!

俺だけじゃないはずだよ!

決して俺だけじゃないよ!

男は皆変態なんだよ!

明石も四郎もきっと俺と同じ事を考えているよ!

2人とも圭子さんやリリーの制服をじっと見ているもんね!

何か2人からそう言う思念が俺の頭に流れ込んできてるもん!

ああ!クラだって凛の制服姿を見て同じような事考えてる!

あんな奥手で純朴そうな顔しやがって!

ちきしょう!やっぱり100回野郎だぜ!

100回突破した野郎は違うぜ!

俺なんかやっと20回に手が届くかどうかと言う所なのに!

喜朗おじは何か見た事が無い女の人にあの制服着せて何かしようと企んでいるよ!

四郎達のスケベ思念がありありと見えるよ!

ああ!ワイバーンの野郎は皆スケベなんだよ!

俺の頭にスケベ思念ががっつり流れ込んでくるよ!

そうだよ男メンバーは皆スケベワイバーンなんだよ!

皆!がっかりさせて御免ね!御免ね!御免ね!


そういう訳で俺達は10月終わりのハロウィーン、12月初めの合同結婚式、プールと明石一家と喜朗と加奈の家の完成も近づいて大忙しだった。

しかしその間も俺達ワイバーンの本分としての質の悪い悪鬼の探索調査討伐の為の動きは止めなかった。


はなちゃんは奥多摩の山の中で凶悪な悪鬼の存在を見つけたが、そこに定住している訳では無く、獲物を、人間をそこまで連れ出して襲っているらしい。

複数犯らしいがかなり強力な奴だと言う事と被害者の遺体を巧妙に処理していて痕跡を残さない事も有り、まだ全体像がつかめないで俺達は忙しい合間を縫って調査を続けた。

新たな被害者が出るのを何としても阻止したいがいかんせん限界があり、俺達は悶々とした。


そんな時に俺と圭子さんと明石で練馬のさととまりあの所に結婚式への招待の件で訪問する事になった。


応接間に通されてお茶と美味しいお菓子を振舞われた俺達。

さととまりあは穏やかな笑顔でみちとの思いで話を聞かせてくれた。

その話を聞いて俺達はつくづくとみちの人格と愛の奥深さを実感した。

和やかに時間が過ぎ、頃合いを見て圭子さんが結婚式の事をさととまりあに話して、是非招待した旨の事を話した。

さととまりあは笑顔を見合わせて同時に頷いて、喜んで出席させてもらいますと答えてくれた。


そして、圭子さんは披露宴か2次会のパーティで何曲か合唱を行う事を伝え、さととまりあがみちを見送る時に歌った歌の事を聞いた。


「結婚式に少し静かな歌はどうかと思ったけど、私達が結婚式を挙げられるのもその身を犠牲にしてくれた人達がいるからだと思うんです。

 その人達に、そしてみちにも感謝の気持ちを、これからも私達が決して忘れないために歌いたいんです。」


さととまりあの笑顔が頷いた。


「それは素敵ね、きっとみちも、そしてその身を犠牲に捧げた人達もきっと喜ぶと思うわ。」


そして、さととまりあはみちを見送る時に歌った歌の題名を教えてくれ、スコルピオの合唱隊の練習にも参加してくれることを約束してくれた。


俺達が帰る時、さとが俺を呼び止めた。


「彩斗さん、あなたは人間のままで開きつつあるわね。

 あの時の、みちの時が切っ掛けなのかしら…。

 これから少し戸惑う事が有るかも知れないから気を付けてね。

 困った時は私達に相談して。

 それは決して悪い事じゃないから…でも少しの間はかなり戸惑うし、がっかりする時もあるかも知れないわ。」


そう言ってさとが微笑みながら俺を見つめた。


「…なんですか?開くって?」


マリアが笑顔で答えた。


「その内に判ると思うわ。

 もう、判っているのかも…ただ、自然過ぎて気が付かないのかもね…徐々に開く時ってそういう物なのよ。

 困った時は相談に来てね。

 時間が掛かる話になるかも知れないから…その時にね。」


さととまりあの謎かけのような言葉に俺は少し混乱しながら練馬の家を辞した。

俺はランドクルーザーを運転しながら明石と圭子さんにさととまりあが言った事について尋ねたが2人とも何の事か良く判らないと答えた。








続く


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