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魔物がつよすぎる

 


 周囲をきょろきょろと見渡し、外敵に備えながら歩を進める。怯えすぎなくらいがいいんだネズミ生ってのは。気を抜いた瞬間即座にパクリもぐもぐされるコースだからな。




 今の私、ネズミにとって視界に映るすべての魔物が敵といっても過言ではない。例えば、少し離れたところに見える頭が蛇で身体が馬のような、紫色の毒々しい皮膚を持つ巨大な魔物とか。



[邪蛇馬(じゃじゃうま)]ランクD+

《蛇の頭を持つ馬。性格は獰猛であり、常に獲物を狙って狂ったように荒野を駆け回る。頭から脚先までその全てが武器であり、追跡から逃れるのは容易ではない。その暴れまわる凶悪な姿から、自由奔放で傍若無人、かつ気性の荒い人間のことを総称して呼ばれる名にもなった。》



 じゃじゃ馬、ね。実際会話とかで聞く言葉じゃないが、意味的には通る。

 次いで解説を頼んでみたが、こいつのランクはD。私には到底手の届かない、どうみても格上の魔物だった。そりゃデカイ、怖い、速いをあわせ持った奴が格下なわけねえわ。そりゃあな。

 それと、名前に漢字入ってるヤツは初めてだなそういえば。アオアミヘビ、ホワイトアント、ハウスラット。私が今まで見てきた魔物は分かりやすくカタカナが使われていた。単に家鼠、白蟻、青網蛇とかじゃ魔物らしさが出なかったということだろうか。




 ま、しったこっちゃねえわ。私が今最も大切にするのは勝てる相手かどうかということだけだ。それ以外はどれだけ考察しようが蛇足にしかならない。

 私は邪蛇馬に気づかれぬよう、一直線に猛ダッシュしてこの場を離れる。その際、偶然近くにいた邪蛇馬と同じくらいの大きさをした黒い皮膚の大ガエル、《蠱毒蛙》を見かけたのだが...




[蠱毒蛙(こどくがえる)]ランクC

《体内に呪いを媒介する蛙の魔物。それにはかつて行われた殺し合いの末に失われた同胞の怨みが込められている。戦闘力は低いが、近づくだけで弱き生命を破壊し魂を穢す呪気を空気中に散布する。》




 はい、化け物♡

 けっこう離れたところで観察してたところだったのだが、[呪い耐性.Lv1]とか習得したので即刻退散しましたけども。そん時状態異常に[呪い.弱]とかついてたんですけどね。退散して暫く休んでたら運良く自然治癒したけど、遅れてたらと思うとその先は考えたくもない。なんだ、近づくだけでアウトなのかこいつは。呪いが滲み出て周囲に撒き散らされているのか。




 と、まあ暫く走り回ってみてよおおおおおくわかったけど....うん、ここ魔境だわ。私が全力尽くして逃げたアオアミヘビが可愛く思えるくらいの化け物が勢揃い、モンスターのバーゲンセールだったわ。お得だからって買わねえよ?馬鹿じゃねえの?



 そんでそのアオアミヘビ(低レベル)にも苦戦どころかまったくもって勝負にならないこの始末☆無理だろこれ。この世界ちっと厳しすぎやしませんかねえ。しかも格上に万が一見つかったら、アオアミヘビの時のように逃げきれる保証はどこにもない。



 相手のステータスを見ればいい、と思うかもしれない。でもなんか距離があって見れないとかほざくんやこの機械。魔物の概要だけを把握するなら姿を視認すればいいみたいだけど、そこから詳細なステータスやスキルを把握するにはある程度近づいて判断するのが必要とかなんとか。確かにマザーやホワイトアントなんかは対面した時ほぼゼロ距離だったし、アオアミヘビもかなり近い距離で逃げてきたから納得っちゃ納得なんだが....。

 例えば低レベルのアオアミヘビを狩り続ける力を付けたとして、不意打ち宜しく攻撃した個体がその倍近いレベルとステータスを引っ提げてきたとしたら、例え同じ魔物だったとしてもかなりの苦戦を強いられることは間違いない。バイタル的な意味もそうだけど、レベルが高い程新しいスキルを習得してるっていう可能性も高いからね。




 そう、例えば目の前でとぐろを巻いて私を囲おうとしているアオアミヘビのものとか.....



─────

[種族]〈アオアミヘビ〉

[ランク]F+

[LV] 9/25

[体力]27/27

[魔力]9/12

[物攻] 14

[物防] 11

[魔攻] 11

[魔防] 12

[素早] 9


《スキル》

[噛みつき.Lv4][締め付け.LV1][締め上げ.LV3]


《耐性.特性スキル》

[衝撃耐性.LV3][熱感知.LV-][硬鱗.LV2]


《称号》

[殺人蛇]


 ─────





───────ッ!!いつの間にここまで来てやがった!!もう追っついてきたのかこのストーカー蛇野郎め。さりげにレベル1上げてきやがって、ただでさえ有効打ないっつってんのに。

 ちな別個体の可能性はない。人を殺してるアオアミヘビなど、そうごろごろいる訳がないのだから。間違いなくここ3日間私を追い回しているあのクソヘビと同個体だ。こんな執念深いヤツがそう何匹といてたまるか。



 アオアミヘビは、既にとぐろを巻き終えて完全に私を取り囲んでいる。正当法じゃ逃げられない。



『...。』



 数秒の沈黙の後、アオアミヘビの首が座る。頭を引くこの動き、間違いなく来る!



『シャッ!』



 アオアミヘビは短く鳴いた後、私に飛びかかってくる。まっすぐ一直線に、フェイントなど無く飛んでくる一撃を私は大きく宙へハイジャンプして回避した。




 そして、完全にその場で静止したアオアミヘビに向かって、全重力と体重を乗せた牙による斬りつけを喰らわせたのである。


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