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暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~  作者: イワシロ&マリモ
躍進

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反撃用意

いつも読んでくださり、またブックマークしてくださりありがとうございます。今回も貴方にとって有意義な時間となりますれば、幸いでございます。

 エルダス・ファミリー幹部クリューゲによる最初の襲撃を見事に返り討ちにした『暁』は、次なる手を打つ。





「今回の奴らは街のゴロツキ達で、エルダス・ファミリーの構成員じゃない。となると、指揮したのはバルモスだ。こいつは狡猾で、クリューゲの下で汚れ仕事をやってる屑だな」




 教会の会議室で『暁』の幹部達が打ち合わせを行っていた。襲撃の報告を受けてベルモンドは古巣の情報を提供する。




「今回痛い目にあわせたんだ。そのバルモスって奴も手を引くんじゃないかい?」




 エレノアの質問にベルモンドは首を横に振る。




「いや、あり得ないな。クリューゲは知的に見えるが本質は神経質な奴でな、何より配下の失敗を嫌う。自分の評価が下がるからな。そして、それをバルモスの奴は何よりも知ってる」




「それで?」




 シスターは静かに続きを促す。





「バルモスはうちの馬車を襲えと命じられた筈だ。それを必ずやり遂げないと、クリューゲの逆鱗に触れる。それだけは避けたい。つまり、また襲撃してくるぞ。形振り構わずに、多分エルダス・ファミリーの構成員を使って本格的にな」




「随分と器の小さい上司だねぇ。シャーリィちゃんがボスで良かったよ」




 エレノアは苦笑いしながら言葉を漏らす。それにベルモンドも笑いながら返す。




「ははっ、全くだ。で、次の襲撃を凌げばクリューゲの奴は足元が揺らぐだろうな」




「奴らの狙いは『暁』が抱える港湾利権でしたね?」




「ああ、多分な。シスターはどう思う?」




「奴らの思惑など関係ありません。シャーリィに手を出した。その時点で万死に値します」




 キッパリと断言するシスターに、一同は苦笑いを返す。




「それで、次の襲撃は大規模なものになると想定して宜しいか?規模などが分かれば良いのだが」




『暁』部隊の軍事を司るマクベスは、敵情についての情報を求めた。




「それなんだが、俺が居た頃から大きく変わってないと思う。クリューゲが個人で動かせる人員は百人弱。それ全部をバルモスが動かせる筈もない。水増ししたとしても、半分くらいか」




「では五十程度と想定して宜しいか。敵の装備は?」




「流石にマスケット銃じゃない筈だが、どうかな。精々ピストルくらいだ。うち程の装備はない」




「いや、うちが異常なだけだって。シャーリィちゃんの執着が凄いからねぇ」




 事実、『暁』は他の組織と違い軍備拡張に重きを置いている。最早正規軍にも引けを取らない装備を有していた。




「相手を誘い出して一網打尽、それが理想ですな。必要な作戦もありますが、此方としては火力を更に向上させたい。ドルマン殿」




 マクベスはこれまで黙っていたドワーフのドルマンに声をかける。




「なんだ?マクベス」




「以前お嬢様が依頼されていた機関銃について、進捗をお聞きしたい」




「オリジナルの機関銃をバラして研究中だが、ライデン社の物にはまだまだ及ばん。だが、少し古いタイプだが自作できたぞ」




「ほう、それは?」




「手回し式のガトリング銃だ。束ねた銃身を回転させながら連射する機関銃の初期型だな」




「それはすぐに使用できるか?」




「三挺用意してる。ライデン社から最新式を仕入れたら馬鹿みたいに高いが、こいつは俺の自作だ。遥かに安上がりだ」




「では、すぐに配備して訓練しよう。私はこれからドルマン殿と事に備える。策略は皆様にお任せしたい」




「心強い限りです」




 大人達の話し合いは続く。





 ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。まだまだ療養中で、正直退屈で堪りません。エルダス・ファミリーについての方針は正当防衛のみを許可していますが、後は皆さんに任せています。つまり、暇なんです。




「退屈そうだな、シャーリィ」




 ベッドの隣に座っているルイが苦笑いしながら聞いてきました。




「退屈ですよ。初めての本格的な抗争に参加できないのは歯痒い限りです」




「そりゃそうだけどよ、たまには休んで良いんじゃないか?俺が来て二年だが、ずっと働きっぱなしだろう」




「邁進していましたからね」




 それに、暇な時間を作るとルミの事を思い出してしまうんです。今でも、深い後悔と共に。





「それより、良い知らせだ。マーサの姉御が明日会いに来てくれるらしいぜ」




「お見舞いですか?」




「おう」




「今回の件で『ターラン商会』にも迷惑をかけているし、その件もお話したいですね」




「それはシスター達に任せとけって。今は怪我を治すことを優先しろよ。無理すんなって」




「ですが…」




「頼むよ、シャーリィ。お前の怪我が治るまで俺は……落ち着かねぇんだ」




「ルイ……」




「お前は皆を許してくれた。でもな、俺は自分が許せねぇ。浮かれてたんだ、久しぶりに二人きりでな。その結果がお前の怪我だ」




「それは違います」 




「いや違わねぇんだ。何より、目の前で惚れた女に怪我させられて何も出来なかったんだぞ」




「……」




「引きずるつもりはねぇよ。でも、せめて怪我が治るまでは退屈だろうけどゆっくりしててくれ。怪我が早く治るように。そしたら、俺も安心できるからさ」




「……貴方と言いベルと言い、男性は……分かりました、それで貴方が納得できるなら。明日はマーサさんとも挨拶程度にしておきます」




「おう、姉御には俺からも言っとくから」




 責任感の強い男性ばかりです。怪我の原因は間違いなく私にありますが…これでルイが納得するなら。今回はお休みですね。皆さんの手腕を信じて待つとしますか。




 シャーリィは恋人の願いを聞き入れて、今回は療養を優先することにした。







 こんばんは、カテリナです。今私は夜のシェルドハーフェン四番街を歩いています。ここはシェルドハーフェンで最も賑やかな場所です。夜だと言うのに明るい。その理由は街灯にあります。ライデン社が開発した新しいエネルギーである電気を使った電灯と呼ばれるものです。松明などより遥かに明るいこの発明により、夜は快適になったのだとか。

 とは言え、帝国でも電気を使っているのは帝都の一部とあちこちの街に少しあるだけ。電気エネルギーを産み出す発電所なるものの建設は遅れており、帝国全土に普及するにはまだ十数年かかるのだとか。なにより発電に必要な費用も高い。

 で、シェルドハーフェンではここ四番街で試験的に運用され始めたのが五年前。街灯は全て電灯に切り替えて、裕福な家も電灯を備えてまるで不夜城のような明るさです。なによりそれを際立てているのは。




「……あまり好きにはなれませんね」




 シェルドハーフェン最大のカジノ『オータムリゾート』。大きな建物に文字や大きな絵などを模した様々な電灯を取り付けてギラギラときらびやかに光っています。

 マーサの『ターラン商会』本店並みに趣味が悪い。そして見るからに富豪や貴族様が大層な護衛付きで出入りして、夜の火遊びを楽しむ場所。

 その落とす金額は一日で星金貨数百枚が動くとも言われ、シェルドハーフェンで最も金回りの良い地区とも呼ばれています。それ故に電気の利用価値にもすぐに気付いて瞬く間に地区全体に普及しました。




『オータムリゾート』の裏口へ回ると、屈強な男達が道を塞ぎます。




「失礼ですが、ここは貴女のような聖職者が来るような場所ではありません。お引き取りを」




 紳士的な対応ですが、此方の動きを観察していますね。

 余計な問答は必要ありません。すぐに本題に入りますか。




「貴方達のボスに伝えなさい。シスターカテリナが、借りの取り立てに来たと!」




 さて、これが吉と出るか凶と出るか。神のみぞ知るとはまさにこの事ですね。

ここまで読んでくださったあなたに最大限の感謝を。もしもあなたの暇潰しの一助となれましたら、望外の事でございます。お気に召して頂けたならばブックマーク、評価など頂けましたら幸いです。あなたの人生に安らぎと幸福が訪れますように。

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