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暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~  作者: イワシロとマリモ
大いなる一歩

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戦いの後に

気が付けばPVが六十万を越えておりました!読んでくださる皆様に最大限の感謝を表明すると共に、皆様の人生に幸福が訪れますように。

 翌朝、十五番街で『血塗られた戦旗』に対する最後の攻撃が粛々と敢行され、その戦果は速やかに『暁』へと伝えられた。

 情報部を率いるラメルは現在判明している状況を報告するために、『黄昏』中央にある領主の館を訪れていた。そして領主の館にある執務室でシャーリィと面会した。




「奴等の本拠地、戦士達の余暇は完全に破壊された。何故か宴会を開いていたからな、奇襲も完璧に成功したよ」




「それは何よりでした。おそらく私達との決戦に備えて気炎を挙げていたのでしょう」




 二人はソファーに向かい合って座り、シャーリィはラメルからの報告に耳を傾けていた。

 シャーリィの後ろには珍しいことにカテリナが控えている。




「今のところガイアの死体は見付かっていない。木っ端微塵に吹っ飛んだ可能性もあるが」




「確証を得られるまで戦いを止めるつもりはありません。ラメルさん、マナミアさんと協力して引き続き調査と残党狩りをお願いします」




「任された。だが、これで十五番街はボスのものだ。占領してしまうか?」




「今の私達にそんな余裕はありませんが、放置も出来ません。今回派遣した二個小隊はそのまま駐留させて治安維持に当たらせるつもりです」




「二十人前後か。流石に少なすぎるが」




「今の私達にそれ以上の戦力を抽出する余裕はありません。治安維持を目的とした憲兵隊を編成しているところなので、それまではラメルさん達にも負担をかけてしまいますが」




「リースに任せると言う選択肢もありますよ」




 カテリナが提案するも、シャーリィは首を左右に振る。




「レイミ曰く、『オータムリゾート』は十六番街の再開発で手一杯。『海狼の牙』はそもそも興味を持ちません。かといって放置しては、シスターの懸念通り周囲への火種となります」




 当初は戦いをわざと長引かせて準備が整うまで十五番街の統治を『血塗られた戦旗』に押し付けるつもりであったが、すでに統治能力を失っていることが判明。

 已む無く攻勢を仕掛けた。




「台所事情が寂しいのはどこも同じか。十五番街は傭兵の町でもある。現地から治安維持の人員を募集する事も出来るが」




「『血塗られた戦旗』の残党が紛れ込む可能性があります。名簿があれば分かりやすいのですが」




「傭兵だからな、関わりがあっても組織の一員じゃないって奴も多いだろう。裏付けが取れた奴は雇って構わねぇか?」




「構いません。資金については心配無用です。臨時収入がありましたので」





 ブラッディベアから採取された巨大な『魔石』の一部を帝都で売りさばいた結果、星金貨百枚と言う莫大な収入を得た。 

 これには販売を担当した『黄昏商会』のマーサも顔をひきつらせた。




「ああ、マーサの奴が酒場で青い顔してたな」




「私としても予想以上の高値が付いたのでビックリしました」




 これらの『魔石』は帝都で権力闘争に明け暮れる貴族達に売却され、帝位継承問題で揺れる彼らの贈与品として重宝されるに至る。

 だが、その為に莫大な資金が『暁』へと流れた事実は奇しくもシャーリィ達が帝都の問題に関与したことを意味していた。




「彼らは次期皇帝に取り入るため必死です。多少高値でも取り引きはできると考えていましたが、良い意味で予想を裏切ってくれました」




「なら、組織の再建もスムーズに進むな?」




「まだです。今回はガズウット男爵のような小物でしたが、何れは大物を相手にしなければいけません。その為にはもっと力が必要です。情報部の予算も増やしますので、より一層の活躍を期待します」




 シャーリィの言葉にラメルも不敵な笑みを浮かべる。




「任せておけ、後悔はさせねぇさ。ただ、奴等が飼ってた殺し屋コンビも行方知れずだ。ボスも身辺には気を付けてくれよ。うちの連中も張り付かせてるがな」




「ベルの回復にはまだ時間が掛かりますし、暫くは黄昏から出ないつもりです。それに、普段からルイとアスカが側に居てくれますし、最近ではシスターも側に居てくれます」




 そう言いながらシャーリィは視線を後ろに居るカテリナへ向けると、無愛想なシスターはそっぽを向いた。そのやり取りだけで二人の関係を知るラメルは肩を竦める。




「そりゃ鉄壁の守りだな。だが、油断だけはしないでくれよ」




「胸に刻むとしましょう。ラメルさんは引き続きガイアの足取りを辿ってください」




「承った」




 その日の夕方、湯浴みを済ませて私室でアスカを愛でながら疲れを癒していたシャーリィ。

 部屋に備えてある水晶が淡い光を灯すと直ぐに身体を起こして水晶へと駆け寄る。




「……ん」




 その際、膝枕をされていたアスカは飛ばされるが器用にベッドへ飛び移りそのまま眠った。




『お姉さま』




「はい、レイミ」




 水晶から響く最愛の妹の声に、普段からは想像も出来ない満面の笑みで応じるシャーリィ。




『お休み中でしたか?』




「構いません。何かありましたか?」




『ガズウット元男爵についてです。簡単な尋問を行ってみましたが、中々口を割りません。私は尋問に向いていないようです』




「何の問題もありません。連れ帰ったら、二人で存分に尋問しましょう」




『はい、お姉さま。エレノアさんのお話では明日の夜には其方に辿り着けそうです。状況は?』




「血塗られた戦旗は滅びました。ただし、殺し屋コンビと最後の幹部は行方不明。取り逃がした可能性が高いです」




『スネーク・アイはわかりませんが、聖奈に関しては殺すことが出来ません。殺せるとするなら、お姉さまの剣を使うしかありません』




 転生者としてレイミ同様スキルを持つ聖奈は、半ば不死身に近い身体を持つ。




「つまり、私が止めをささないと、永遠にレイミを付け狙うと。その時は姉妹で一緒に倒すとしましょう」




『はい、お姉さま。その時は一緒に。ただ、身辺には気を付けてください。リースさんからそろそろ戻るように言われていますので、余り長くお側に居られません』




「そうでしたか……寂しくなりますが、お義姉様には感謝しないといけませんね。忙しい中レイミを貸してくれたのですから」




『十六番街の再開発に目処がついたら、また戻ります。まあ、まだ先の話です。お姉さま、また明日の夜に。再会を楽しみにしています』




「レイミも気を付けてください。ガズウット元男爵の身柄を狙う連中が居るかもしれません」




『黒幕ですね。今回の件で私達の事を嗅ぎ付けられるかもしれません』




「今まで以上の警戒を行いましょう。まだ私達には力が足りませんから」




『血塗られた戦旗』の問題は残っているものの、姉妹が再会を果たし、いよいよガズウット元男爵の尋問が始まろうとしていた。

そして私は寝違えて首を痛めると言う試練を授かりました

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