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暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~  作者: イワシロとマリモ
模索

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ラドン平原大進撃

いつも読んでくださり、またブックマークしてくださりありがとうございます。今回も貴方にとって有意義な時間となりますれば、幸いでございます。

 ごきげんよう、シャーリィ=アーキハクトです。念願叶い最愛の妹レイミと再会することが出来ました。今日は人生最良の日となるでしょう。

 本当ならレイミの無事を喜びながら空白の期間になにがあったのか語り明かしたいところですが、残念ながらこの世界は意地悪なのでそんな暇を与えてくれません。

『エルダス・ファミリー』から逃れるために『ラドン平原』へと出ました。

 夜のため月明かりに照らされた草原は幻想的で見ていて心が踊るものがあります。

 ……人並みには美意識もあるのですよ?




 そして私はレイミの愛馬であるダッシュに乗せて貰い移動を開始しました。しかしこれは。




「すみません、ルイスさん。一人だけ歩かせてしまって」




 現在ダッシュにはレイミが鞍に座り、その前に私が座り更にアスカを私が抱えている状態です。大きな馬ですから、まだ余裕はありますがルイが乗る余地は無さそうです。




「構わねぇよ。俺はどうにも馬に嫌われてるらしくてさ。苦手なんだ」




「確かに良く蹴られそうになりますからね」




「……馬はルイスの匂いが嫌い」




「いや、匂いってなんだよ?シャーリィ、俺って臭いのか?」




「汗臭いドワーフの皆さんに比べれば、まるでハーブの香りですよ」




 ルイの匂いは安心できるんですよね。言いませんけど。




「なんだそりゃ?」




「分からなくて良いです」




「イチャイチャしないでください、お姉さま」




「大丈夫、今はレイミのことしか考えていません。もう離しませんよ、絶対に」




 そう、絶対に。なにを犠牲にしても。




「お姉さま……ですが、今の私は『オータムリゾート』に属しています。リースさんに多大な恩があるのです。ずっとお側に居ることはできません」




「構いません、手の届く場所に居るのなら」




 直ぐに迎えにいけます。それに、お義姉様は信用できます。お金にうるさい方ですから、信用をなによりも大事にしている筈。




 そうして雑談しながら平原を進んでいくと、空がうっすらと明るくなり始めました。




「夜明けですね」




「『暁』に相応しい光景です」




 地平線からゆっくりと昇る太陽は、やはり美しい。ですが、夜明けはすなわち魔物が目覚める時間でもあります。




「……ん、トカゲの臭い」




 アスカが呟くと、地平線にある小高い丘に何かが……。




「お姉さま、アーマーリザードです。固い鱗に守られたトカゲの魔物ですね。ちなみに肉は大変美味です」




「うしっ!今夜は焼き肉パーティーだな!」




「武器も無いのに何を言ってるんですか」




「鎧のように固い鱗に覆われていますからね。あとついでに」





 ガァアアアアッッ!!!!!




 あっ、吠えた。





「人間が大好物です」




「それ先に言えよ!?」




「レイミはうっかりさんですね」




 微笑ましい。





 ガァアアアアッッ!!!!!





「うぉっ!?来たぞーっ!」




 巨大なトカゲが真っ直ぐに此方へ走ってきました。




「……固そう」




「あの大きさなら皆で食べられますね」




「なんでそんなに冷静なんだよ!?俺たちが食われるぞ!?」




「問題ありません。お姉さま、仕留めても構いませんか?」




「お願いします、レイミ」




 妹に頼るのは少しばかり考えものですが、ここは頼ることにします。




「承知しました」




 レイミは右手をアーマーリザードに向けました。うん、自覚した今なら分かる。レイミの魔力?の流れが。 

 それはとても涼しくて冷たい感覚。魔法が氷属性だからなのでしょうか。




「貫け!」





 ズドンッッッ!!!っといきなり大地から飛び出した氷の針が疾走するアーマーリザードの首を貫いて、その場に縫い付けました。




「うぉっ!?なんだこれ!?魔法か!?」




「……ん、不思議な感覚がした」




「アスカも分かるのですか?」




「お姉さま、獣人にも魔法の適性があると聞いたことがあります。それでは?」




「なるほど。ともあれお見事です、レイミ」




「この程度、お姉さまにお褒めいただくまでもありませんよ」




「謙遜を。死体はこのままにして後で回収しましょうか」




 ガァアアアアッッ!!!




 あれ?またたくさんの雄叫びが聞こえる。

 地平線に視線を向けると……わーぉ。




「団体さんのお出ましですね」




 地平線を埋め尽くす数十のアーマーリザードの群れが現れました。




「忘れてました。アーマーリザードは群れで狩りをするんでした。あれは斥候ですね」




「いやだからそれを先に言えってぇ!走れ走れぇ!」




 ガァアアアアッッ!!!!!





 群れが一斉に走り出して、こちらも走ります。逃げた方が良さそうですからね。馬に乗る私達はまだしもルイは……へ?




「どうした?シャーリィ」




 当たり前のように馬と並走してますよ。お馬さん並みに足が速いみたいですね。なんだかルイも人間離れしていくような。




「壁よ!!」




 レイミが氷の壁を産み出して時間を稼いでいます。直ぐに砕かれてしまいますが、それをレイミは数で補います。




 確かに突進する力は強いのですが、氷の壁を砕く度にどんどん弱まっていくのが分かります。




「変温動物は体温の急激な変化に敏感ですからね」




「レイミ、変温動物とは?」




「後程詳しくお話しますよ」




 それは楽しみです。




「なんかあいつら鈍くないか?」




 アーマーリザード達の動きがゆっくりになっていました。これなら追い付かれる心配はありませんね。




「身体が冷えてしまったのでしょう。このままゆっくりと戻りましょう」




「そうですね。仕留めた個体は勿体無いのですが……いや、アーマーリザードの鱗なんかも高値で取引されていた筈。本格的な討伐を行っても良いかもしれませんね」




『暁』の新しい資金源になりますし、平時の戦闘部隊の実戦訓練にもなります。それに、魔物相手なら誰も文句は言わない。むしろ感謝されますからね。




「おっ、見えてきたぞ。やっと帰れたな」





 地平線に巨大な『大樹』が見えてきました。ああ、二週間ぶりの我が家です。まだまだ問題はたくさんありますが、ともあれ我が家は良いものです。





「……お風呂には入りたい」





「そうですね、アスカ。まずはゆっくりと身体を休めましょう。レイミもお風呂には入りましょう」




「水浴びですか?」




「お湯を張った湯船に浸かるのです。暖かくて気持ちが良いですよ」




「異世界でお風呂に入れるなんて……」




「はい?」




 何か呟きましたが聞こえませんでした。首をかしげて見せるとレイミは笑みを浮かべて誤魔化しました。気にはなりますが、レイミにも話したくないことがあるのでしょう。




「お姉さまはお風呂の前に手当てを受けてくださいね」




「うっ」





 今から痛みを思うと憂鬱になりますね。




 斯くしてシャーリィ達は無事に農園へ帰還を果たした。『暁』の反撃が始まるのである。



ここまで読んでくださったあなたに最大限の感謝を。もしもあなたの暇潰しの一助となれましたら、幸いでございます。お気に召して頂けたならばブックマーク、評価など頂けましたら幸いです。

そしてもし宜しければ賛否構いません、感想を頂ければ望外のことでございます。如何なる意見であろうと参考にさせていただきます。あなたの人生に安らぎと幸福が訪れますように。

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