表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/62

後日談 4G集結その1 〜音楽やるぞ〜

全二話です


 ある日のこと。


 イーサンは、とある人物によってとある場所に呼び出されていた。


「…なんと!各国の王が、こんな所に集まっているなんて…!」


「わざわざ呼び出してすまんな、イーサンよ。ちなみに、この場所は他言無用じゃよ?バレて刺客に命を狙われるのはゴメンじゃからのう」


 そう話すのは、アイシス国王カイザー。そして彼の隣にはタナノフ国王ダンデと、マルロワ国王レイドラントもいた。

 

 三人の王達が勢ぞろいしている事に、イーサンも驚きを隠せない。


「一体、何があったのですか?まさか、また何か世界の危機が…?!」


 そう真剣な表情をするイーサンにカイザーはこう言った。


「違う違う、誤解するでない。

 今日お主に来てもらったのは…この三爺達に、何か面白い催しを提案してもらいたくてのう。呼んだのじゃ」


「催し…?ですか」


「うむ。仁亜の報告にあったじゃろ?

 今後三つの国で戦争が起こるようであれば、この世界の新たな管理者が指先一つで消す、と言っておったと」


「ああ、そうでしたね。何とも恐ろしい事ですが…」


「じゃからのう、四年に一度開催している武闘会とは別に、何か平和の祭典でもやろうかと思ってな。三爺達で話し合っておったのじゃ。

 じゃが爺達だけではありきたりと言うか、面白みの無い意見しか出なくての。そこで一度異世界に行ったお主に、何かイイ企画がないか聞こうと思ったのじゃ」


 と、そこへダンデとレイドラントが文句を言った。


「何を言うかカイザーよ!ワイが提案した猛者共のガチの殴り合い、名付けて

『皆で仲良く乱闘じゃ!〜集結せい兄弟達よ〜』の、どこがありきたりと言うんじゃい!」


「それでは武闘会と変わらぬだろう、ダンデ王よ。ここは吾輩が厳選した茶葉を使った、名付けて

『爺達がいれる崇高な紅茶を召し上がれ〜三国一斉お茶会〜』で良いではないか」


「………な?イーサンよ、ありきたりで面白みがないじゃろ?」


 それはそれでちょっと面白そうと思ったイーサンだが、自国の王の意見を尊重した。


「まぁ…そうですね。せっかく平和の祭典なのですし。暴力を振るうことの無い、かつ身分関係なく誰でも興味を持って参加できる催し、がよろしいでしょうね」


 さりげなく意見を却下されたダンデとレイドラントは、面白くなさそうだ。


「なんじゃい、イーサンとやら。じゃあ異世界で何が流行っていたんじゃい」


「確かに興味はあるな。吾輩達の提案よりも面白いものがあるなら、教えて欲しいものだな」


 …一気にハードルが上がってしまった。


(ハァ…なんだか面倒くさい事になってきたな…ああ早く帰ってフーミンを抱きしめたい…)


 イーサンは考え込み、思いついた。


「そうですね…男女関係なく…年齢も関係なく…身分も関係なくできるもの…

 音楽…ハッ!バンド、バンドだ!」


「ばんど?なんなのじゃそれは?」


「カイザー王、バンドというのは…楽団の事です。

 でもせっかくですから、楽器を演奏しながら皆で歌うのはいかがですか?」


 イーサンの提案に、反応は三者三様だ。


「うーむ、ワシは普段弓を使っておるから弦楽器ならいけると思うが…そちらに集中するから、歌うのは無理そうじゃな」


「楽器なんて演奏した事がないぞ?ワイはハンマーでガンガン何かを叩いた事しかないからな!カカッ!ちなみに音痴だ!」


「チェンバロであれば幼少期から習っているが…歌なら吾輩の妻ロージアに頼めばよかろう。元歌劇女優だからな」


 上から順に、カイザー、ダンデ、レイドラントの台詞である。イーサンは閃いた。


「分かりました。それでは………」







・・・・・・・






 そして後日。

 イーサンは再び3人の王達と会っていた。


「さて、あれからひと月経ちましたが…皆様、進捗の程は?」


 イーサンの質問に、また3人が順に答える。


「うむ、このリュートのような楽器じゃが…やはりワシに合っていたようじゃ。

 弾くのが楽しくて仕方なかったぞい」


「このいくつもある太鼓は楽しいな!

 叩くたびにドンガシャドンガシャ鳴って…ワイも楽しいぞ!」


「……何故……吾輩だけチェンバロと歌と両方だったのだ……?

 ロージアが歌の講師になった途端、人が変わったようにスパルタになるし…

 吾輩、夜に幾度枕を濡らしたか………」


「負担が大きくてすみませんね、レイドラント王。ですが最初からプロを呼ぶより、王達で一からやられたほうが民衆は盛り上がるでしょう。やはり俺の考えは間違って無かった…!

 いい感じですね。それでは平和の祭典はこれでいきましょう。王達だけでなく他に何組か楽団を募集して、楽しい音楽祭にしましょうね!」


「そうじゃな!」「おう!」「仕方ない、やるか!」と、3人は返事をした。


 なお3人が使っている楽器は、全てイーサンが既存のものを改造した。日本の音楽番組で見たものを参考にして。彼は手先が器用であった。こうして3人は、現代で言うところの

 カイザー王=ギター

 ダンデ王=ドラム

 レイドラント王=ボーカル兼ピアノ

 を、担当する事となった。


 また、イーサンもプロデューサーとして関わっていたがなんだかんだ楽しくなり、結局ウッドベース担当として参加する事にした。




 それから半年後。

 各国に周知し、着々と準備が進められ…平和の祭典・音楽祭は開催する事となった。第一回目の会場は、アイシス国の城下町の広場である。

 その会場には案内を手に持った男女、仁亜とアイザックの姿があった。


「いや〜、まさかこっちの世界でフェスが楽しめるなんて!嬉しい〜!!」


「?よくわからないが、ニアが楽しそうで俺も嬉しいぞ」


 二人で仲良く、祭典の始まりを待つのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ