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3G集結

ニア達がわちゃわちゃしていた頃。


 ―アイシスとタナノフ国の国境付近。

 ここではカイザー王と近衛隊のセルゲイ、サーシャ、その他の兵士達が魔獣と戦っていた。


「思った以上に魔獣がいるのう〜。此奴らを止められなかったとは…タナノフの戦士どもは何をしておるのじゃ。もしや不測の事態があったのか………の!

 ほう、当たった当たった」


 矢を射ながら王がボヤいた。


「陛下!出すぎだ…ですって!ここはオレ達に任せろ下さい!」


「セルゲイ!言葉遣いがおかしいぞ!…ハッ?!」


 そう言いながら、セルゲイとサーシャも何とか応戦している。

 そこへ針鼠型魔獣がサーシャの乗っていた馬に針を飛ばし、刺さって驚いた馬が暴れ、落馬してしまった。


「ぐうっ……!」


「サーシャ!!くそっ!」


 サーシャは何とか体勢を整えるが、落馬した衝撃で右肩を負傷したようだ。剣をまともに握れていない。セルゲイが近づこうとするが、飛んでくる針に阻まれる。


 針鼠型魔獣がサーシャに向けて針を飛ばそうとしたその時、眉間に見事に矢が刺さり、魔獣は倒れた。放ったのは…


「陛下!!」


「…すまんのうセルゲイ。惚れた女性にイイ所を見せたかったじゃろうが…ワシが美味しい所を頂いてしまったわい」


「な、な、なんでそれをっ!」


「…最近の若者は分かりやすいヤツが多すぎぬか?まあよい、早く彼女を介抱してやるが良い」


 ハッとして一礼し、慌ててサーシャの元へ行くセルゲイ。

 フゥ、と息をついて正面を見直した王の真後ろに、突如地面から魔獣が飛び出してきた。巨大な…土竜型だ。


「なぬっ!…これはマズイのう」


 振り返った王が弓を構えるが、間に合わない。魔獣は王の元へ向かい、鋭い爪で引き裂こうとした。



 ―その時。



「耄碌したのかカイザーよ!」


 突然、魔獣の目の前に光の障壁が現れ、爪の攻撃を弾いた。そして、その眩しい光により、土竜型魔獣は怯む。


「久々に暴れるわい!うおおおおおっ!!」


 そこへ、もう一人咆哮しながら向かってくる人物がいた。その者は、自身の身の丈程もある巨大なハンマーで、魔獣の頭を勢いよく殴りつけた。


「ギャウウウウウ!!!」


 魔獣が衝撃で地面に倒れる。その隙を逃さず、カイザーは急所を矢で射抜いた。

 ちなみに矢には毒が塗られている。魔獣はしばらくその場でバタバタしていたが、やがて動かなくなった。

 王はホッとして、目の前にいた二人に礼を言った。


「危ない所をすまんのう。お主らも来ておったのか…ダンデ、レイドラントよ」


 礼を言われた片方、光り輝く頭をした褐色肌の男…タナノフ国王ダンデは、カカッ!と笑いハンマーをしまいながら答えた。


「うんにゃ、ワイは今来たところだ。王族がまとまっていると、集中して狙われると聞いたからな。息子とは離れた場所にやってきたわい!」


 もう一人のカイゼル髭をした男、マルロワ国王レイドラントも苦笑した。


「フフッ、どこも同じようですな。吾輩も、息子に危ないからと国を追い出されてな。どうせならと、妻と一緒に諸国を巡ろうとしている最中だったのだ」


 後ろの陣には妻がいるらしい。時折、後ろを振り返っていた。


「ワシら三爺がこの場所に集まるとは…なんと不思議な縁じゃろうな」


「むっ!カイザーよ、ワイを爺扱いするでない!ワイはまだ現役じゃ」


「吾輩も全く同感ですぞ。それに、カイザー王が一番年上で平均年齢上げてるではないか」


「むぅ…口答えが多いやつらじゃ。

 おや、またお客さんが来たようじゃの。準備はいいかのう?お主ら」


 三爺が振り返ると、今度は大蛇型魔獣がいる。皆、目で合図して散らばった。


 セルゲイを含む兵士達は、呆気に取られていた。各国のトップが集結し、戦っているのだ。その連携も素晴らしい。


 レイドラントが魔法で足止め、目眩しをし、ダンデがハンマーで致命傷を与える。そこへカイザーが毒矢で止めを刺す…とてもその場でチームを組んだとは思えなかった。感動して泣いている兵もいる。


「しかし、何体倒しても次々と湧いて出てくるぞ。カイザー王よ、魔獣の何体かはお主の国に行ってしまったのではないか?戻らなくても良いのか?」


 戦いながら、レイドラントが問いかけた。


「そうは言うても…此処だって、出現する魔獣の強さが上がってきておるからのう。お主らも気づいておるじゃろ。

 なあに、息子達は大丈夫じゃ。信じてワシらはワシらで戦おうぞ」


 ダンデも笑いながらハンマーを構えている。


「カカッ!そうじゃな!後でワイと息子の、どちらが多く魔獣を倒したか競うのも面白い。……では行くぞ、お主ら」



 三爺は体制を整えて、魔獣の群れへと向かっていく。



「……ハッ!お前ら何をしている?!王達に続けーー!!!」



 各国の兵士達も、慌てて英雄達に続いていった。


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