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一夜VS婚約者

「いらっしゃいませ」

「すいません、ちょっと先に友人が入っているので……」



 俺が店員さんに、そう言うと彼女は一瞬きょとんとした顔をしたが、何かを察したのか、道をあけてくれた。上品な店なのにやたらと店員が若いのが気になったが今はそれどころではない。

 俺の視界につまらなそうな顔をしている姫奈と楽しそうにわらっている婚約者の顔が見える。もしかしたら、姫奈に拒絶をされるかもしれない、今更何をいっているんだって怒られるかもしれない。君も俺の家に来た時はこんな気持ちだったのかな? だったら姫奈ががんばれて俺ががんばれないはずはないよね。

 一瞬躊躇した俺だったが自分に喝をいれて前と進む。



「姫奈……迎えに来たよ。うちに帰ろう」

「一夜……」

「おいおい、なんなんだい、君は? 僕と彼女は関係を深めているんだ。せっかくのデートを邪魔をしないでくれないかな」



 突然現れた俺に姫奈と婚約者が困惑をしている。でも、俺が姫奈を見ると心なしか安心をしたような顔をしたのは気のせいではないだろう。




「俺は彼女の幼馴染だよ。そして彼女を愛している。そして、愛している人が不幸になるとわかっているのに引けるかよ」

「ふぅん、だからなんなんだい? ああ、もしかして、君が噂の元執事君か。話は聞いているよ。いいのかい? 君の父は黒乃家の子会社の社長なんだろ? 僕が何か言えば明日から路頭に迷うかもしれないんだぜ。いまだったら何もなかったことにしてあげてもいいんだ。君は……僕の事を色々と知っているみたいだしね」



 俺の言葉で彼も秘密を知っているときづいたのだろう、取引を持ち掛けてくる。だけど俺はもう決めたんだ。彼女を守るってさ。父に迷惑がかかるかもしれない。だけど俺は……彼女と婚約者の間に入ってタンカを切る。



「うちの会社がやばくなるってことくらいわかってるさ!! だからって今辛そうな姫奈を放って何て置けるかよ。姫奈……今度はちゃんとパフェを食べに行こう……演技じゃなくて……本当のカップルとして!!」

「一夜……それって」

「ふぅん、それが君の答えか……つまり、君は黒乃姫奈を異性として愛しており、健やかなる時も病める時も一緒にいたいと思っているという事だね」

「ああ、そうだよ。悪いか? そうだ、俺は姫奈が……大好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ちょっと、一夜……」

「なるほどね……」



 なんかやたらと説明口調だったきがするが、売り言葉に買い言葉にというわけではないが俺も大声でかえす。その様子に姫奈が恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俺の裾を掴む。大丈夫だ、心配をしなくてもお前は俺が守るさ。

 婚約者は不気味な笑みを浮かべながら胸のインナーポケットから黒い金属製の何かを出す。は? 拳銃? そして、それをこちらへとむけた。まじかよ、こいつ!!



「姫奈、俺に隠れろ!!」

「きゃっ!!」



 俺が姫奈を抱き寄せて庇うと同時に、ぱぁんという乾いた音と共に色鮮やかなテープが出てくる。え? テープ?



「姫ちゃんおめでとーーー!! よかったねぇ。幼馴染君やっと告白してくれたね!!」

「は?」

「おお、ようやくお嬢様と一夜君と結ばれましたな!! やはり幼馴染カップルは尊いですぞ」

「は? 七海さん!?」

「おめでとう、おめでとう!! やっと姫奈様と一夜君がくっつきましたね、もうもどかしかったんですから」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!」



 婚約者が拍手をして、扉から入ってきた七海さんも嬉し涙を浮かべながら、ハンカチで目を吹いており、店員さんたちが一斉に拍手をし始めた。いや、よくみたらちらほら見たことがあるやつがいるぞ。文芸部の子達や姫奈のクラスメイトじゃん。




「なあ、姫奈……これって」

「その……だましてごめんなさい……あなたが屋敷を出るって聞いてどうすればいいかわからなくなって……その告白すごい嬉しかったわよ」



 俺が呆然としながらたずねると彼女が申し訳なさそうに顔をうつむきながらそう言った。それでも、俺がどこか行くのを恐れているかのように彼女の手は俺の服の裾を握りしめている。まあ、可愛いから許すか。



先が気になる、面白そうだなって思ったらブクマ、評価、感想をいただけると嬉しいです。


特に評価はとてもありがたいです。ランキングに入ると読んでもらえる数が増えるのでモチベが向上するので……

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