プロローグ
一面の焼け野原。
そこにあったはずの街は、ほとんどが消し飛び、草木すらない焼地が、一面に広がっている。
空には、ドロドロとした暗雲が拡がっており、雷鳴が鳴り響いている。
「フハハハハ!見たかぁ!これが俺の力だ!」
宙に空いたままそう叫ぶのは、自称魔王と名乗る魔人である。彼は右手を自分の前にかざして、魔力を込めると、その手が禍々しい紫色に輝き出す。
「くっ…これまでか…せめて、生徒たちだけでも逃さねばッ」
そうこぼすのは、この街1番の魔術師であり、学園のナンバーワン講師のワイド=チョーク。
防御障壁を最大限に拡げ、生徒たちを自分の後ろに避難させ、庇っている状態だ。
魔人は、自分の右手を舐めるように見ると、ワイドたちへとその手を向けて、言い放つ。
「残念だったな、ワイド=チョーク。俺様の…勝ちだ!」
そう言い終えると、紫色に輝く右手から巨大な魔法陣が現れる。
「塵と化すがいい!」
魔法陣から、強大な魔法が放たれ、ワイドたちに襲いかかる。
ーーー万事休すか。
ワイドがそう思った瞬間、目の前に光り輝く"それ"が現れた。
ーーー黒板消し!?
そのまま、全てが光に飲まれていった。