ー孤独ー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私は、まさか、
あのイオリくんが
私の服や髪型について意見を言うだなんて思わなくて、
凄くビックリしていた。
「・・・・・へぇ、
まあ、似合ってんじゃないの・・・・」
ーー・・・・・・!?!?!?・・・ーー
ど、どうしたのだろう。
今日のイオリくんは、
絶対におかしい!!!
私が固まっていると、
アカズサさんが、その様子を黙って見ていて、
「・・・・イオリ、
もしかしてお前
・・・・シオンの事を好いてんのか?」
「ブーーーーーーーッ!!!!!
ゲホッ
ゲホッ!!!!!」
アカズサさんが、真面目な顔をして仰天発言をしたので、
イオリくんは飲みかけていたミルクたっぷりのコーヒーを
見事に吹き出した。
「・・・・はぁ!?
何だよ急に!?」
イオリくんは、アカズサさんを睨みながら咳き込んでいる。
「いや、
だって、*あのイオリ*が
シオンの事を凄く誉めてるし、
そう言う事なのかと思っただけだよ。」
「*どの*僕だか知らないけど!!
この僕がシオンなんか好いている訳ないじゃないか!?
狂う程好いてんのはお前だろこの変態が!!!」
イオリくんは、
半ばキレ気味にアカズサさんに噛みついている。
・・・・これは、
完全にアカズサさんが地雷を踏んだ形になっている。
・・・・・・・・ズキッ
ーー・・・・・・???・・・・・・ーー
と、私は、胸の辺りがズキッとしたのに
違和感を覚えた。
・・・何だろう?
・・・・やっぱりまだ、調子が悪いのかな・・・
二人がギャーギャーと喧嘩を始めてしまったので、
私は、
収まるまで近くの椅子に座った。
何だか、このやり取りがすっかり見慣れてしまった自分がいる。
・・・・そんなに、時間が経ったのだろうか。
もちろん今も早く、(声)と(縁)を取り戻して、
元の場所に帰りたいと、思っている。
・・・・・はずなのに
時々、
イオリくんとアカズサさんと、このまま
三人で
ここに、いたいと思う時がある。
・・・・いやいや、何を考えてるんだろう、
二人共、転がり込んだ私の為に尽力してくれているんだ。
・・・・・。
「・・・ねぇ、
シオンちゃーん?」
ーー・・・・・!?・・・・ーー
驚いた、いつの間にか、
カンヌイさんが、
私の横の椅子に座って、
いつの間に淹れたのかコーヒーを飲みながら、
話しかけてきたのだ。
ーー・・・・何ですか・・・・?ーー
「・・・・いやぁ、
何か、
顔がねぇ
帰りたくないみたいな顔だったからさぁ?
なら俺の人形になればいいと思ってんだけど、どぅ?」
ーー・・・・・!?!?!?・・・・ーー
私は、今思っていた事を言い当てられて、
ドキリとした。
・・・・・やっぱりカンヌイさんは不気味だ、
顔を見ただけで、そんな事まで分かる物だろうか・・・・
私が動揺していると、
カンヌイさんは楽しそうに
「 そりゃあ帰りたいのか分からなくもなるよねぇ?
だって、(声)と(縁)があった頃の自分を覚えていないんでしょぅ?
それって、実はかなり怖い事だよねぇ?
もしかしたら、取り戻したとしても死んじゃってるかも知んないし
取り戻した瞬間消滅してしまう可能性だってあるからさぁ♪」
ーー・・・・・・ッーーー
カンヌイさんは、
私が触れて欲しくない不安をつついてくる。
心配で、
怖くて、
不安で・・・・
・・・誰かに、絶対大丈夫だと言って欲しくて・・・・
「 「 大丈夫(に決まってるだろ)だよ、シオン。」」
ーー・・・・・!!!!!?????ーーーーー
私が、その声に驚いて降り返ると、
そこには、さっきまで大喧嘩していたはずの
二人が私を見ていた。
・・・・・・・・ッ
「・・・・・はあ、・・・・・ったく、
そんなんだから、カンヌイ何かにつけこまれんだよ、
他でもない僕が付いてるんだ、
お前はせいぜい豪華客船にでも乗った気分で、
いればいいんだよ。」
「・・・シオン、カンヌイは精神操作が得意なんだ、
迷わされてはいけないよ、
シオンの事は、必ず俺が助けてやるから、
安心してついておいで。」
二人が、そう言ってくれる頃、
私は二人がボヤけて見えなくなってしまっていた。
ずっと
不安で
怖くて
とても
寂しかった
ニンゲンではない彼等が
それでも
大丈夫と言ってくれるのが
嬉しくて
私は
そのまま泣き崩れてしまった。
・・・・
(・・・・・フフッ
シオンちゃんは虐め概があるなぁ、
笑った顔もいいけどぉ、
やっぱり苦痛に歪む顔や、
心が壊れた時の顔が一番好き♪
・・・・ねぇシオンちゃん
俺のご主人様、
もっともっと、
俺の理想の人形になる為にもぉ
色んな顔を見せてねぇ?)
その側で、カンヌイは、
言葉には出さずとも、
その口をニマリと歪ませた。