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ユメモノガタリ~2~  作者: 久川 りつき
5/51

ー雰囲気ー



「そこまでだ!


お前等、



少しはシオンの体を考えろ。」





突然と、アカズサさんの怒声により、


凍りついていた空気が一気に砕かれた。




**・・・・!!!!!




も、申し訳ございません、アカズサ様!!!**





ケケちゃんは、睨み付けるアカズサさんに、



何度も何度も謝罪して、



私が何かを言う前に、



ちらりと私を見て、お辞儀をすると、



壁の中へと消えていってしまった。





・・・あ、服のお礼、ちゃんと言えなかった・・・・






今度会ったら、ちゃんとありがとうと伝えたい、




・・・ーコチラ側ーの文字を、今度アカズサさんに教えてもらおうかな。




私がそんな事を考えているとは知らず、



アカズサさんは、具合を悪くしたのかと私の回りを



ぐるぐるしていた。




「!?シ、シオン大丈夫か!?



あの二人には、俺からしっかりと言っておくから、



もう少し休んだ方がいいんじゃないのか?」






・・・・・なんだか






アカズサさんって、ちょっと







お母さんみたいな事を言う時があるな。







ーー・・・フフッーーー








・・・私が思わず笑うと、



アカズサさんは、不思議そうな顔で私を見ていた。









ーーアカズサさん、私なら大丈夫です。



私、


ケケちゃんに、今日、



こんなに素敵な服をプレゼントしてもらいました。



・・髪もセットしてくれました。



せっかくおめかししたので、今日は、このまま


話し合いをしましょう、元々その予定でしたし。




あ!!あの、




それで、今度時間があったらですけど、



今度、ケケちゃんにはちゃんとお礼が言いたいので、


ーコチラーの言葉を、教えてもらえませんか?ーー





私が笑いながらそう言うと、




アカズサさんは、ひどく穏やかな顔で、



微笑み返してくれた。




「 ・・・シオンは本当に優しい子だね。



いいよ、件の事が、一段落したら、



必ず教えてあげよう。



さ、キッチンでイオリが待っているから、



行こうか。」




アカズサさんは、私をエスコートしてくれる。




その後ろで、



カンヌイさんはいつまでも、




壁の向こうを睨み続けていた。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜





一方キッチンで待っていたイオリは、




1人、考え事をしていた。






・・・・。





思えば、シオンが来てから、



今まで噛み合っていた歯車が、



不自然に合わなくなり、



しまいには音を立てて崩れていくように、




様々な出来事が一度に起こった。




そして、その中心には、いつもシオンの存在があった。





・・・・・





僕は、少し、シオンを疑っている。






・・・・だって、






アイツは、









マナと似すぎているから








僕に愛していると嘘をつき








僕を贄にして殺した










あの女と・・・・・









・・・・・・でも、






シオンは、



マナとは性格がまるで違う。





シオンは、少し話していても分かる位、


怖がりで、




意志が弱くて





自己主張の無い人間だ。






・・・・マナは、




何事にも恐れず、





意志が強く、






村人全員の、



心の支えとして生きていた。








そう、






シオンは







・・・マナじゃない。








だからこそ、



僕は、




アカズサのお気に入りだから、




手伝ってやってもいいと思ってるんだ。








・・・・・・・







・・・・・・本当に、それだけか・・・?









・・・僕は、








本当に、









シオンに








マナの姿を








重ねては、いないのだろうか・・・・・?










「・・・・・はあ、




何考えてんだよ、




・・・・・そんな訳無いじゃないか・・・・」







イオリが、自問自答していると、



キッチンのドアが開く音が響く。






「!!」






「待たせたな、



少し、ゴタゴタしててさ。




シオンを連れてきたよ。」







そう言うと、アカズサの後ろから、




雰囲気の違うシオンが顔を出した。






「・・・・・」





僕は、思わずシオンを見つめる。







ーー・・・あ、あの、




おはようございますイオリくん。



・・・・・????イオリくん???ーーー





「・・・・髪型と、



服・・・・・



変えたんだ。」





ーー!!・・・あ、はい!



ケケちゃんが作ってくれたんです、



似合ってますか?・・・ーー




そう聞いてくるシオンを、







僕は








不覚にも








ほんの一瞬だけ










キレイだと










思ってしまった。

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