ー希望ー
シオンを、
辛そうに見つめるアカズサは思い詰めていた。
〔約束〕を守れなかった
今の彼には
その事が重くのし掛かっている。
固く誓った〔約束〕は意図も簡単に破られ
アカズサは
また大切な人を〔裏切ってしまった〕と言う思いで
胸が張り裂けそうだった。
「・・・・・ごめん
・・・・・
・・・・・・ごめんよ・・・・シオン・・・」
「・・・アカズサ・・・」
イオリはアカズサを気づかった。
アカズサが、こんなにも意気消沈している姿など
イオリは見た事が無かった。
アカズサはイオリにとって
自身を〔生かした〕存在
もはやそれだけの関係ではなく
イオリが生前に得る事の無かった
家族のような存在であった。
「・・アカズサのくせに、
何しょげてんのさ。
くよくよ考えたって仕方ないだろう、
シオンが目覚めたら説明して、
何なら完全に(ーコチラ側ー)の者にしてしまえばいい。
今のままだとどのみち消滅してしまうんだ。
僕達とーコチラ側ーに住めばいいんじゃないの。」
イオリは、
努めて普段通りに言葉を紡いだ。
「・・・・イオリ・・・・・
・・・・・でも・・・・・
・・・・・俺は・・・・・・」
「さて、そろそろ私達は失礼します。
シオンの事、
頼みましたよ?」
そうこうしていると、
〈管理者〉達は各々話を済ませて、
1人
また1人と消えていった。
「・・・・けっ
うざい連中がいなくなって精々したぜ。」
それまで、黙っていたクロサギが口を開いた。
「・・・・クロサギ、
お前はこれからどうするんだい」
イオリの質問に、クロサギは怪訝そうな顔をした。
「ああ?
何でテメェに教えなきゃいけねぇんだよ。
クソ親父は始末したんだ。
胸糞悪いテメェ等と一緒にいる意味は
もうねぇ。」
クロサギはそう言うと、
腰掛けていた大岩から腰を上げると
スタスタとイオリに近づいてきた。
「・・・・何」
「だからテメェに用はねぇ
・・・・おいガキ
いつまで寝てんだ」
クロサギは、眠るシオンの頬をつねる。
一瞬イオリはシオンからクロサギを引き剥がそうと
体を緊張させたが、
よく見ると
つねっているように見えるが
頬をソッと摘まんでいるだけのようだ。
「テメェに言った(約束)があんだろうが、
それを済ませねぇと
俺は離れられねぇんだよ、だから起きろ。」
クロサギはそう言うと、
シオンの体に触れた。
すると、シオンの体に白いオーラが包む
突然の事にアカズサとイオリが驚いていると
クロサギは、
さも嫌そうに二人を見やった。
「・・・何じっと見てんだよ気色悪ぃな」
ー・・・・・・んっ・・・・・ーー
「・・!!??」
「!!シオン」
シオンは、
ゆっくりと目を開けた。
その瞳も、
もうマナのそれでは無くなり
元のシオンであった事に安堵する二人。
「・・・シオン・・・・」
「・・・寝坊助、やっと起きたね。」
二人は笑顔でシオンを覗き混む
シオンは、しばらく呆然としていたが
「おい、俺様が直々に起こしてやったんだ、
何か言う事あんだろ」
ーー!!!!????
あ!!
・・・・ありがとう・・・・ございます。ーー
シオンは、起き抜けにクロサギの機嫌が悪い事に焦り
状況が掴めないまま
直ぐにお礼を述べた。
「テメェは覚えてねぇだろうが、
オワリは封印した。」
ーー・・・・!!??え!!??
・・・じ・・・じゃあ・・・成功したんですか・?!ーー
「でだ、
俺はテメェに〔約束〕があったから
起こしたんだが」
ーー・・・・・〔約束〕・・・ですか・・?ーー
シオンは、
クロサギと〔約束〕なんかしただろうかと
頭を捻っていたが、
クロサギはシオンを起こすと
その頭の上に
急に
ポンッと手を置いたのでシオンはビクリとした。
ーー!!??ーー
「・・・・・よく頑張った」
「「!!??」」
シオンの頭を撫でながら放った
クロサギの言葉には
シオンを始め
さしもの二人もカチリと固まった。
それは
恐らくクロサギ自身
産まれて初めて
他人を労り誉めた瞬間でもあった。
ーー・・・・・あ・・・・ありがとうございます・ーーー
シオンはあまりの状況に面食らったが、
誰かに誉めて貰えるのは
正直に嬉しい事であったので
素直にお礼を述べた。
「これで〔約束〕は果たした。
もう会うことは無ぇだろ。
じゃあな」
クロサギは、シオンに別れを告げると、
アカズサとイオリの方を向く事無く山を降り始めた。
「!!お、おいクロサギ!!!
俺を
・・・俺を殺すんじゃないのか!?」
慌てて引き留めようとすると、
クロサギはつまらなそうか顔をしながら
アカズサの方を振り返った。
「あー、そのつもりだったがよ
よく考えたら
テメェみたいな弱っちいヤツをぶっ殺しても
つまらねぇからな。
まぁ
・・テメェが強くなったら殺しに来てやるよ。」
と、そう言葉を言い残し、
今度こそクロサギは山を下り消えた。
「・・・クロサギ」
「・・・結局、
敵なのか味方なのか
分からないまま行っちゃったな
クロサギのヤツ。」
イオリはクロサギが消えた方を見ながら、
呆れたように呟いていると、
アカズサは
顔を歪めながらシオンの前にたった。
ーー・・・???アカズサさん?
・・・・どうかしたんですか?・ーーー
「・・・シオン、
実は・・・・
お前に話さなきゃいけない事があるんだ。」
ーー・・・・・はい。ーー
アカズサの
悲しそうな顔に何かを察したのか
シオンは努めて真剣に耳を傾けた。
「・・・不死鳥が持っていた
・・・シオンの・・・
(声)と(縁)の事なんだ・・・ 」
と
そこに
〈アカズサ様~!!〉
「!!??」
ーー・・・・・あれ?
・・・・あの人は・・・・・・ーーー




