ー衝突ー
ーーーーーーーおとうさまーーーーーーー
突然、凛とした声が響き渡った。
その声は
その場にいた全員の耳に木霊しているようで
「!!??」
「・・・・ああ?何だ?」
「・・だ、誰だ!?
頭の中に響いてるぞ・・・!!??」
アカズサの言うように、
その声は
ハッキリと
頭の中に
響いている。
そしてそれは
不死鳥にも聞こえたらしく
シオンに伸ばしかけた手を止めた。
〈・・・・・・・・マナ・・・・?〉
ーー・・・・・・おとうさま・・・・・
・・・・・・おねがい・・・・
・・・・・・もう・・・・
・・・こんなことは・・・・・
・・・・・・やめて・・・・・・・〉
その
悲痛な声は
不死鳥のすぐ側から現れた
青白い火の玉から発せられていた。
「・・・・・まさか
・・・まずい・・・・・こんな時に・・・!!!」
「何だあの青白い火の玉?
あれから声がしてんのか。」
「・・・・・!!!!!マナ・・・・・なのか・・・!?」
イオリはその火の玉を凝視する。
姿見は留めてはいないが
その声には
聞き覚えがあった。
あの日
殺されるのだと自覚するまで
この世の誰よりも
愛した女の声を
忘れられるはずもなかった。
〈・・・・・・・マナ・・・・・
・・・・・ではお前は・・・・
・・・・マナの器か・・・〉
火の玉は、自らがこの世に留めていた
娘だと言う事に気がついた不死鳥。
シオンは緊張する
眼前にいる
マナに瓜二つの子供が
ニセモノであると
バレてしまったのだ。
ーー・・・・・・・ーーーー
シオンは、身体中から汗が吹き出す。
〈・・・・・そうか
・・・キサマは器か・・・・・
・・・・・何故マナのふりをした・・・・
・・・・・イレモノの分際でこの私を
・・・・・騙そうなど・・・・〉
不死鳥は
先程とは比べ物にならないほどの熱波を放った
間近でそれを受けたシオンは
あまりの熱量に酸素を奪われ
苦し気に膝をつく。
ーー・・・カハッ!!!!・・・・・・ーーー
酸素の薄くなった空間で苦しむシオンを
不死鳥は冷たい眼差しを向ける。
〈・・・・・・・
マナの器として使うには
・・・・・魂は邪魔だ・・・・・〉
不死鳥の
底無しの魔力がシオンを包もうとする
その時
「シオンに手を出すなぁぁああ!!!!」
シオンの目の前に、
両手を広げたアカズサが立ちはだかった。
「チッあの馬鹿野郎がッ!!!」
「アカズサ!!!!」
アカズサがシオンの前に走り出た事で、
イオリとクロサギも
シオンの側に走り出す。
「不死鳥!!!
お前には彼女の・・・・
マナの声が届かないのか!!!
彼女はこんな事望んでないんだぞ!!!!」
〈・・・・役立たずが何をしに来た
主人に・・・・
・・・親に歯向かうつもりか・・・・
・・・・・・アカズサ・・・・〉
アカズサは、不死鳥が作り出した
かつては側近だった。
本来なら無条件で付き従う存在のアカズサは
今
主人に牙を向いている。
この事に、不死鳥は不愉快な声色を上げ
アカズサを睨み付けた。
「・・・・確かに
貴方は俺の主人であり、
・・・父だ。
でも
だからこそ
俺は
父さんに・・・これ以上業を増やして欲しくないんだ!!!!」
アカズサはそう言うなり、
不死鳥に向かって飛びかかる。
瞬間
不死鳥は片翼を素早く振り上げると
凪ぎ払いをした。
その風圧は回りの物を吹き飛ばす程。
アカズサは吹き飛ばされ
イオリとクロサギも寸での所で地面にしがみついた。
バキバキバキツ!!!
木々に体を打ち付け
その木々も風圧で折れ曲がり
アカズサはゴロゴロと地面を転がって行く。
「・・・・・ガッ!!!・・・・」
「・・・・ウグッ!!・・・・ア・・・・アカズサ!!!」
「・・・・・チッ」
ーー・・・・・!!!!ーーー
シオンは、声を上げられないままアカズサを見やる
空気の少ないままで、頭が朦朧としているが
アカズサが吹き飛ばされるのが目に入り
そのまま不死鳥に視線を向ける。
ーー・・・・・や・・・・・めて・・・!!!
やめ・・・・・てくだ・・・・さ・・・!!!ーーー
不死鳥は
魔力を解放し
イオリとクロサギの足元に紋様を出現させる
「!!???」
「!!!」
〈・・・・・・目障りだ
・・・・消えろ・・・〉
不死鳥のその言葉に反応するかのように
紋様から
無数の炎の柱が突き上げ、イオリとクロサギを襲う
「・・・・・グッ・・・!!!!・・・・クソッ!!!!
何て魔力だ・・・・!!!!!」
「チッ!!!!・・・・
クソ・・・・・・ジジイがあっ!!!!!」
火柱に囲まれたイオリとクロサギは
ジリジリと迫り来る炎に必死に抵抗しているが、
どんなに魔力で結界を張っても
炎の柱はその結界を突き破って来る。
そしてその炎のあまりの熱量に、
2人は呼吸を荒げる。
「イオリ!!!
クロサギ!!!!」
アカズサは、打ち付けた体を無理矢理起こすと
イオリとクロサギが炎に包まれている事に気付き
大声を上げる
「!!!アカズサ、僕達はいいから
シオンを守れ!!!!!」
「テメェ何かの力なんざ借りなくても自力で出てやるよ!!!」
イオリとクロサギは、互いに目線を合わせる。
「・・・クロサギ・・・・
力を貸してくれ、
この火柱を退けるには僕だけの魔力じゃ無理だ。」
「・・・テメェの貧弱な魔力をあてになんかしたくねぇけど
・・・・・仕方ねぇな。
今はとっととここから出る方が先決だ。」
クロサギは、苦虫を噛み潰したような顔をした後
イオリの側に寄って手を伸ばす。
イオリも
それを見て同じく手を伸ばした。
2人は手を合わせると
静かに呼吸を合わせ
詠唱を行った。
すると、
イオリとクロサギの足元にあった不死鳥の
魔力の紋様の上に
白い紋様が広がる。
それは、目前まで迫っていた炎の柱を
ジリジリと
まるで見えない壁が広がる様に
退けていく
「・・・・・クッ・・・・やっぱり一度には無理かっ!!!!」
「おい集中しろ!!!
ただでさえ消耗の激しい詠唱なんだ
気を抜いたら灰になんぞ!!!」
その時
アカズサはシオンに近づこうと、何度も走り寄るが
その度に不死鳥によって凪ぎ払われてしまう。
ザザザァッ!!!
「ガアッ!!!」
ーー!!!!!ア・・・カズ・・・・サ・・・ん・・!!ーーー
シオンは、もう立っている事ができず、
地面に突っ伏しているが、
アカズサが吹き飛ばされるのを見て
その手をアカズサに向ける。
(・・・・やめて!!!!
・・・・・・お願い!!!!!
彼は・・・・
・・・・・・貴方の息子なのに・・・!!!!!!
彼は・・・・・・
アカズサさんは・・・・・
・・・・・私だけじゃなくて
貴方の事も守ろうとしてるのに・・・・・!!!!!!)
シオンは、地面をガリガリと掻いた。
アカズサやイオリ達が
今まさに殺されようとしているのに
何も出来ない
その自分の不甲斐なさに
シオンは涙が溢れた。
(・・・・・やめて)
バキイッ!!!
「・・・アガッ!!」
(・・・・・・やめて!)
〈・・・・いい加減にしろアカズサ・・・・
・・・・・もうよい・・・
キサマの存在を私の中に還元してくれる・・・・〉
不死鳥は瞳を輝かせると
途端
アカズサとクロサギの体に無数の紋様が浮かび上がり
刹那
2人は絶叫した。
「アアアァアアアアアア!!!!!!」
「ガァァアアアアアアア!!!!!!」
〈・・・・主人に歯向かう従者など要らぬ。
消滅させ、また新たな従者を作ればよいだけの話だ・・・〉
苦しみもがく2人に、
息も絶え絶えのシオンと
イオリは目を見開く。
「!!!!クロサギ!!!!」
ーー・・・・!!!!!!ーーーーー
クロサギが詠唱を中断した事で、
下がり始めていた炎が再び燃え上がり
イオリ達を燃え尽くさんと迫る中
シオンは
苦しみから震える手をアカズサに伸ばす
ーーー・・・!!!!や・・・・・め・・・・!!ーーー
〈マナ・・・・待っていておくれ・・・
もうすぐ・・・・・お前は甦る・・・・〉
「ガァァアアアアアアア・・・!!!!!!
シ・・・・・・・・
オン・・・・・・!!!!」
アカズサの
瞳には
シオンに向けた感情の他に
親に
殺される
深い悲しみの感情が
シオンには見えた。
ーー・・・・や・・・・
ヤメテェェェエエエエエエエエエ!!!!!!!!!!!ーーーーー
その瞬間
リーーーーーンッ
その場に一際大きな鈴の音が響いたかと思うと
不死鳥の回りから
無数の白い鎖が
現れた。
シャラシャラシャラ
それは、瞬く間に不死鳥の体を覆い尽くすと
カシャァァアアンッ
それは不死鳥を縛り付けた。
〈・・・・・・なに!!!!!〉
オオオオオオオオォオオオオオオオオ!!!!!!
不死鳥は暴れ叫んたが、
その鎖は千切れる所か
揺らぎもしない。
〈・・・・・・これは
・・・・・封印の印か!!!!!
(番人)共め、図りおったな!!!!!〉
不死鳥は怒りに震える。
〈管理者〉達の魔力によって紡がれた鎖によって
不死鳥の魔力は寸断され
炎の柱も
アカズサと
クロサギへかけられた消滅の印も消えた。
ドサッ!!
「・・・・ハッ
・・・・・ハッ!!!!」
「・・・・ハアッ
・・・・・ハアッ」
イオリは、アカズサが生きている事を確認すると、
クロサギの肩を抱く。
「クロサギ!!!大丈夫か!?」
「ハアッ・・・・ハアッ・・・・・ヘッ
テメェに・・・・・
心配される・・・・・ハアッ・・・・
・・・・・・覚えはねぇ・・・・」
「強がってる場合かよ!!!
立て!!シオンとアカズサの所に行かないと!!!」
「・・・ハアッ・・・・うるせぇ・・・
・・わあってるよ・・・!!!」
クロサギはイオリを睨んだが、
担がれた腕を振りほどく力は無く
悔しげな顔をしながらズリズリと
アカズサ達の方へと歩きだした。
「ハアッ・・・ハアッ・・・!!!!
・・・
封印が・・・・・・ハアッ
・・・・間に・・・・・合ったのか・・・・」
アカズサは不死鳥の回りに張られた白く輝く鎖を
見やる。
「アカズサ!!!!!」
声がして振り向くと、そこには
炎の威力と、
自分と同様に消滅の印によって衰弱した2人がいた。
「よ、良かった・・・ハアッ
お前達無事だったか・・・・」
「シオンは!?」
イオリが慌ててシオンの方を見ると
シオンは
不死鳥の方を見たまま
立っていた。
「シオン!!!
・・・・・・???
おい!!!大丈夫か!!??」
イオリは、シオンに近づこうと一歩踏み出したが、
そこで何かに気付き
目を見開いて立ち止まる。
「??どうしたんだよイオリ?」
アカズサは、イオリの不可解な行動に疑問を投げ掛けた。
「・・・・違う・・・・
・・・・・でもそんなはず・・・・・・
・・・・そこにいるのは
・・・・・・シオンじゃない・・・・。」




